『来週はトルコ中銀会合に注目。前回同様、サプライズ的な大幅利上げに要警戒』
〇今週のトルコ円、円安進行、経常赤字の拡大に週後半にかけて週間安値5.35まで下落
〇その後はトルコ中銀による追加利上げ観測等に5.47付近に持ち直して越週
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの上で推移、ダウ理論の上昇トレンドも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも金融政策正常化路線の継続、追加利上げ観測、株価の堅調がサポート
〇来週は9/21予定のトルコ中銀金融政策決定会合に注目
〇トルコリラ円相場の急伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
今週のレビュー(9/11−9/15)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.50円で寄り付いた後、(1)格付け会社フィッチによるトルコ格付け見通しの上方修正(ネガティブから安定的への引き上げ)が支援材料となり、週明け早々に週間高値5.53円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)ドル円相場の急反落(植田日銀総裁による「マイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプションがある」との発言や、Fedウォッチャーとして知られる米ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者による「FRBが今後の利上げに慎重になっている」とのツイート発信の組み合わせ→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)や、(3)トルコ7月経常収支(結果54.7億ドル赤字、予想45.0億ドル赤字)の市場予想を上回る赤字幅拡大、(4)米政府によるロシア向け追加経済制裁発表(制裁対象には軍事物資の供給に関わるトルコ拠点の企業なども含まれる)が重石となり、週後半にかけて、週間安値5.35円まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)トルコ中銀による追加利上げ観測(シムシェキ財務相は「必要であれば量的引き締めを実施する」「リラ安とインフレの時代は終わる」と発言)や、(6)ドル円相場の年初来高値更新(ドル円が週末にかけて年初来高値を再び更新→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/16午前4時35分現在)では、5.47円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(9/18−9/22)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに切り返すと、その後は一貫して底堅い動きが続いています。日足ローソク足が21日移動平均線や一目均衡表転換線、一目均衡表雲下限の上側で推移していることや、ダウ理論で見た上昇トレンドが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値は堅い)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ政府・中銀による正常化路線への転換(格付け会社フィッチによるトルコ格付け見通しの上方修正→外国人投資家によるトルコアセットへの回帰期待)や、(2)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(エルドアン大統領は先週、トルコ中銀による金融引き締め政策を容認するなど、利下げ路線から利上げ路線への転換を明言→今週はシムシェキ財務相からも「必要であれば量的引き締めを実施する」と追加利上げを示唆する発言あり)、(3)円キャリートレード継続に伴う円売り圧力(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、(4)株式市場の堅調推移(伝統的金融市場のリスクオン継続)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は9/21に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。足元でインフレの再加速が警戒される中、今回は市場予想の500bpの利上げ(25%→30%)を上回る大幅利上げ(例えば600bpや700bpの大幅利上げ)に踏み切る可能性も相応に残されているため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の急伸をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
トルコリラ円日足
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