トルコリラ円見通し 一時的な安値を除いて5.40円台中心の小動き(23/9/15)

トルコリラ円の9月14日は概ね5.48円から5.36円の取引レンジ、15日早朝の終値は5.46円で前日終値の5.47円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 一時的な安値を除いて5.40円台中心の小動き(23/9/15)

トルコリラ円見通し 一時的な安値を除いて5.40円台中心の小動き

〇トルコ円、9/14午後に一時的に安値5.36を付けるも早々に切り返し、9/15早朝にかけて5.47近辺へ戻す
〇概ね5.40近辺を下値支持線、5.50以上で売られる持ち合いの様相、持ち合い放れのきっかけ探るところ
〇対ドル、9/14は概ね27.11から26.72の取引レンジ、8/24の急騰幅を解消する動きが継続
〇世界銀行、トルコへの融資規模拡大を発表
〇5.45を上回るかうちは上昇余地ありとし、5.49超えからは5.52前後への上昇を想定する
〇5.45割れから続落の場合は5.43試しとし、5.43割れからは5.40、5.37を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月14日は概ね5.48円から5.36円の取引レンジ、15日早朝の終値は5.46円で前日終値の5.47円からは0.01円の円高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の超大幅利上げを決定したことをきっかけに8月24日高値5.77円へ急伸した後は揺れ返しの下落に入り、9月1日には5.41円へ下落し、9月11日にドル円が乱高下した際に5.43円へ下落、その後も一時的な安値提示で13日早朝には5.42円を付けるなど5.40円台序盤を繰り返し試してきた。
9月14日は午後の一時的な安値提示で5.36円を付けて5.40円を割り込む場面も見られたが、早々に元の水準へ切り返し、15日早朝にかけては5.47円近辺へ戻している。

一時的な高値や安値によりイレギュラーな値段の成立もたびたび発生しているが、概ね5.40円近辺を下値支持線とし、5.50円以上では売られる持ち合いの様相であり、持ち合い放れのきっかけを探るところと思われる。ドル円が148円手前の抵抗感を突破して一段高へ進めば円安による押し上げで8月24日高値を再び試す上昇期に入る可能性も考えられるが、ドル円の上値が重い中でドル/トルコリラが8月24日の急騰幅を解消して一段安に入る場合はリラ安による圧迫で持ち合い下放れへ向かう可能性も考えられる。
来週は9月19−20日に米FOMC、9月21日夜にトルコ中銀金融政策委員会、9月21-22日に日銀金融政策決定会合と重要イベントが続く。

【8月24日急騰幅を解消する動き続く】

ドル/トルコリラの9月14日は概ね27.11リラから26.72リラの取引レンジ、15日早朝の終値は26.86リラで前日終値の26.92リラからは0.06リラのドル安リラ高だった。
8月24日にトルコ中銀が超大幅利上げを決定したことをサプライズとして当日安値27.27リラから高値25.02リラへ急騰したが、高インフレと高金利、増税と成長鈍化、貿易収支や経常収支および財政収支の悪化等によるリラの先安懸念は払しょくできないとして8月25日からは連日のように揺れ返し的なドル高リラ安が続いており、9月12日は安値で27.10リラを付けて8月24日以降の安値を更新し、13日は終値ベースで8月24日以降の最安値とした。9月14日は27.11リラへ安値を更新したが、9月15日午前は27.13リラから26.86リラのレンジで推移しており8月24日の急騰幅を解消する動きが続いている。

【世界銀行によるトルコ融資】

世界銀行のロペス・トルコ局長は、「トルコ経済は正しい方向に向かっており、世界銀行は来週から今後3年以内にトルコへの融資を倍増し、総額350億ドルに達する見込みだ」と述べた。
ロペス局長は170億ドルの基本融資のほかに追加融資として180億ドルが提供され、そのうち60億ドルが政府への直接的な信用供与に、残りの120億ドルが民間部門の支援に割り当てられるとした。
トルコにとっては慢性的な貿易赤字と経常赤字に加え財政収支の悪化と中央政府の債務がうなぎのぼりに拡大していることが潜在的な危機感をもたらしており、これまでは中国やUAE等による通貨スワップやロシアによる産業投資等による支援に頼ってきた。外資の支援が望まれる中で世銀が融資規模を拡大したことはトルコにとっては大きなプラスと思われる。

【外貨準備高は増加】

9月14日夜に発表された週次の外貨準備高は9月8日時点のグロスで792.7億ドルとなり9月1日時点の787.7億ドルから増加、ネットでは162.8億ドルとなり9月1日時点の161.5億ドルから若干増加した。
エルカン総裁就任前のトルコ中銀が外貨準備高を取り崩してリラ安阻止のための市場介入を繰り返してきたことにより6月初旬にはネットの外貨準備高がマイナス57億ドルへと悪化したが、エルカン体制に入ってからは外貨準備高を取り崩しての市場介入を止めて増加を目指す方針へ転換したことで徐々に改善してきている。
ただし、トルコ中銀が市場介入を行わなくなったこと、2021年12月のリラ暴落時に導入されたリラ預金の為替差損を補填する保護預金制度の縮小が進んでいることによりリラ売り圧力は変わらないという印象だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月11日の乱高下が落ち着いて戻しに入ったために11日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定したが、14日午前時点では5.45円割れから続落に入る場合は下向きとして11日安値5.43円試しとし、底割れから続落する場合は弱気サイクル入りとした。
9月14日午後に一時5.36円まで急落してから戻しているため、いったん弱気サイクル入りしたものの11日安値から3日目となる14日午後安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたと思われる。トップ形成期は15日深夜から20日未明にかけての間と想定するが、5.42円割れからは下げ再開とみて19日午後から21日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンは実線と交錯を繰り返して方向感に欠ける。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月14日午前に30ポイント近辺へ急落してから持ち直しているので、45ポイント以上を維持するうちは60ポイント台への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.43円を下値支持線、5.49円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、5.49円超えからは5.52円前後への上昇を想定する。5.45円以上を維持するなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.45円割れから続落の場合は5.43円試しとし、5.43円割れからは5.40円、5.37円を順次試す下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.43円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月15日
 16:00 トルコ中銀企業調査 年末の為替・CPI・政策金利予想値
9月20日
 23:30 8月 トルコ中央政府債務 (7月 5兆8230億リラ)
9月21日 
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%)



注:ポイント要約は編集部

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