『来週は南アフリカの重要イベント目白押し。一巡後の反落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、中国経済の復調期待、米FRBによる追加利上げ観測後退週央7.86まで上昇
〇その後は南ア指標悪化、米指標の好調に7.79前後で推移
〇南ア円、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも継続、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズは中国の経済の先行き不透明感、米金融引き締め長期化観測等が重石に
〇来週は南ア8月CPI、7月小売売上高、南ア中銀政策金利発表に注目
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
今週のレビュー(9/11−9/15)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.73円で寄り付いた後、早々に週間安値7.66円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)中国8月新規人民元建て融資(結果1.36兆元、予想1.20兆元)の市場予想を上回る結果(前月比4倍の水準)や、(2)中国の新たな景気刺激策への期待感、(3)上記1、2を背景とした中国経済の復調期待(中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済のポジティブ要因)、(4)米消費者物価コア指数(結果4.3%、予想4.3%、前回4.7%)の伸び率鈍化(2021年9月以来最小の水準)、
(5)上記4を背景とした米FRBによる追加利上げ観測後退が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.86円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)南ア7月鉱業生産(結果▲3.6%、予想+0.5%、前回+1.3%)の市場予想を大幅に下回る結果や、(7)米経済指標(米小売売上高、米生産者物価指数、米新規失業保険申請件数)の良好な結果(米年内利上げ観測再燃)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/16午前4時25分現在)では、7.79円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア7月製造業生産(結果+2.3%、予想+4.8%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(9/18−9/22)
南アランドの対円相場は、9/6に記録した安値7.61円をボトムに切り返すと、今週半ばにかけて、一時7.86円まで反発しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)を上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」が継続点灯していること、6/19高値・7/31高値・8/29高値を起点としたトリプルトップの完成が失敗に終わったこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)中国経済の先行き不透明感(中国と経済的な結びつきの強い南アフリカの景気下振れ要因)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(南アフリカから米国への潜在的な資金流出圧力)、(3)南アフリカの交易条件悪化懸念(金・プラチナ価格の冴えない動き)、(4)南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア7月製造業生産は冴えない結果。国営電力会社エスコムによる電力負荷制限の更なるステージ引き上げの思惑や、9/6付けで実施された南アフリカのガソリン価格・ディーゼル価格の引き上げも南アフリカ経済の懸念要因)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は南ア8月消費者物価指数や、南ア7月小売売上高、南ア中銀(SARB)政策金利発表に注目が集まります。南ア8月消費者物価指数や南ア7月小売売上高が市場予想を下回る場合や、南ア中銀(SARB)会合にて2会合連続の据え置き(8.25%→8.25%)が決定される場合には、「南アフリカのインフレ鈍化+景気下振れ→利上げサイクルの完全終了→来年早々の利下げ織り込み開始」の思惑から、南アランド円相場に強い下押し圧力が加わる恐れもあるため、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
注:ポイント要約は編集部
南アフリカ円日足
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