ドル円見通し 週末高値から上げ渋るも147円台維持、FOMCと日銀金融政策決定会合待ち(23/9/19)

ドル円は9月15日夜高値で147.94円を付けて今年1月16日安値127.22円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 週末高値から上げ渋るも147円台維持、FOMCと日銀金融政策決定会合待ち(23/9/19)

週末高値から上げ渋るも147円台維持、FOMCと日銀金融政策決定会合待ち(23/9/19)

〇ドル円、9/15夜高値で147.94を付け、今年1/16安値127.22以降の高値更新
〇9/18は日本休場で手掛かり難、午後に147.52まで下げ、147.50台から147.80手前までの横ばい推移
〇円安けん制を警戒しつつも、円安ドル高基調は続き昨年10/21天井151.94を目指す流れか
〇今週は米FOMC・日銀金融政策決定会合があり、内容次第では大きな波乱となる可能性も
〇米10年債利回り一時上昇後に反落、NYダウ・ナスダックは小幅高
〇147.25を上回るうちは上昇余地ありとし、147.94超えからは上昇継続なら148.50前後を目指すとみる
〇147.25割れからは下落期入りとみて、147円前後試しを想定する

【概況】

ドル円は9月15日夜高値で147.94円を付けて今年1月16日安値127.22円以降の高値を更新した。一部メディアによる日銀・植田総裁インタビュー記事でマイナス金利解除への言及があったことをきっかけに9月9日早朝高値147.86円から11日夕刻安値145.89円まで急落したが、市場は日銀による円安けん制の口先介入的なものとして冷静さを取り戻して12日から反騰に転じ、13日夜の米CPI発表直後に147.71円へ上昇、その後に147円を繰り返し試したところを押し目買いされてしっかりし、15日は日銀総裁インタビューに関して「植田総裁の発言と市場の解釈にギャップがある」と報じられたことをきっかけに上昇が勢い付いて15日欧州時間には147.94円へ高値を伸ばした。9月15日夜の米経済指標に対する市場反応は限定的だったが、147.60円まで下げたところを買われて147円台後半を維持して週を終えた。

週明けの9月18日は日本市場休場で手掛かりにかけ、先週末への上昇一服で午後に147.52円まで下げ、米9月NAHB住宅指数の悪化もありドル高が緩む中、147.50円台から147.80円手前までの横ばい推移を続けている。

【円安けん制を警戒しつつも年初からの上昇基調は継続か】

日銀はYCC(長短金利操作)における長期金利変動許容上限を2回引き上げてきたが、マイナス金利解除等への言及により金融緩和政策からの出口を模索している印象を強めたが、金融緩和の基本は暫く続き、米国も利上げ停止感が強まってきているものの利上げ状態の長期化が避けられない印象のため、日米金利差が拡大した状況を踏まえて円安ドル高基調は続き、昨年10月21日天井151.94円を目指す流れと思われる。
今週は9月19-20日の米FOMC(21日未明に政策金利発表、メンバーの金利予想、議長会見)、22日には日銀金融政策決定会合があり、内容次第では大きな波乱となる可能性もあるが、FOMCが追加利上げ余地を残し、日銀が出口戦略へ前のめり姿勢を示さなければ円安基調が勢い付くことも考えられる。

【先週末の米経済指標は概ね堅調】

9月15日に発表されたニューヨーク連銀の9月製造業景況指数はプラス1.9となり、8月のマイナス19.0から大幅に上昇して3か月振りの改善、市場予想のマイナス10.0を大きく上回った。新規受注は8月のマイナス19.9からプラス5.1へ改善したが、雇用は8月のマイナス1.4からマイナス2.7へ悪化、支払い価格は8月の25.2から25.8へ上昇、受取価格は8月の12.6から19.6へ上昇した。
米ミシガン大の9月消費者信頼感指数速報値は67.7となり、8月の69.5から悪化した。現況指数は8月の75.7から69.8へ悪化したが期待指数は8月の65.5から66.3へ改善した。また期待インフレ率は1年先が8月の3.5%から3.1%へ低下、5年先も8月の3.0%から2.7%へ低下した。
米FRBによる8月鉱工業生産指数は前月比0.4%上昇して7月の0.7%上昇から鈍化したものの2か月連続でプラスとなり、設備稼働率は79.7%で7月の79.5%を上回って2か月連続の上昇だった。
18日夜発表の9月NAHB住宅市場指数は45(8月50、予想49)と悪化したが市場の反応は限定的だった。

【米10年債利回り一時上昇後に反落、ダウは上げ幅削り小幅高】

9月18日の米長期債利回りは18日午前に一時急伸するもその後は失速した。長期金利指標の10年債利回りは9月15日を前日比0.05%高の4.34%で終了、14日から連騰となり、18日は午前に一時4.40%を付けて8月22日に付けた4.37%を超えて2020年以降の最高水準としたもののその後に失速して前日比0.03%低下の4.31%で終了した。
30年債利回りは15日に前日比0.04%高の4.42%で終了、18日は一時4.46%まで続伸して8月31日に付けた4.18%以降の高値を更新、8月21日に付けた4.47%に迫ったが、その後の失速で先週末比0.03%低下の4.39%に終わった。
利上げに敏感な2年債利回りは9月15日を前日比0.03%高の5.04%で終了、18日は一時5.31%をつけて2020年以降のピークである7月6日の5.12%を上抜いたが、その後の失速で先週末比0.01%高の5.05%で終了した。

9月18日のNYダウは9月15日を前日比288.87ドル安と下落、18日は先週末比6.06ドル高の34624.30ドルで終了、一時は34725.06ドルへ高値を伸ばしたものの失速した。ナスダック総合指数は15日を前日比217.72ポイント安と下落し、18日は一時13751.28ポイントまで高値を伸ばしたものの失速して先週末比1.90ポイント高の13710.24ポイントと小幅上昇に終わった。リセッションを回避して景気の堅調さが維持されているもののFOMCが徐々に迫る中でポジション調整的に売られたようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月11日の急落が一巡して11日夕刻安値145.89円から上昇期に入り、13日夜高値147.71円で戻り一巡となったものの、14日に147円を試してから一段高したため、14日深夜安値を起点として新たな上昇期に入ったと思われる。高値形成期は20日夜にかけて想定されるが、15日夜高値の後は伸びずにいるのですでにサイクルトップを付けた可能性があると注意し、147.25円割れからは弱気サイクル入りと仮定して21日深夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月15日早朝に遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返したが、15日夜高値からのジリ安で遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込んでいる。
先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合はいったん仕切り直しの下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月15日夜の上昇時に70ポイントを超えたもののその後のジリ安で50ポイントを割り込んできている。60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.25円を下値支持線、9月15日夜高値147.94円を上値抵抗線とする。
(2)147.25円を上回るうちは上昇余地ありとし、147.94円超えからはそのまま上昇が加速するのかいったん急ブレーキがかかるのか注意が必要だが、上昇継続なら148.50円前後を目指すとみる。147.50円以上での推移か、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.25円割れからは下落期入りとみて147円前後試しを想定する。当局の口先介入等により下げ足が速まる場合は146.70円台へ下値目途を引き下げる。147円以下は反騰注意とするが、147.30円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/19(火)
休場 インド
OECD経済見通し
FOMC(米連邦公開市場委員会)初日
10:30 (豪) RBA(豪中銀) 金融政策会合議事要旨
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 358億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (7月  5.3%、予想 5.3%)
18:00 (欧) 8月 コアHICP・改定値 前年同月比 (7月 5.3%、予想 5.3%)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数・年率換算 (7月 145.2万件、予想 144.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 3.9%、予想 -0.8%)
21:30 (米) 8月 建設許可件数・年率換算 (7月 144.2万件、予想 144.0万件)
21:30 (米) 8月 建設許可件数 前月比 (7月 0.1%、予想 -0.2%)
21:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
26:00 (米) 財務省20年債入札

9/20(水)
07:45 (NZ) 4-6月期 経常収支 (1
3月 -52.15億NZドル、予想 -43.98億NZドル)
08:50 (日) 8月 通関貿易収支・季調前 (7月 -787億円、予想 -6785億円)
08:50 (日) 8月 通関貿易収支・季調済 (7月 -5572億円、予想 -4411億円)
15:00 (独) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 -1.1%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.7%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 6.8%、予想 7.1%)
15:00 (英) 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 6.9%、予想 6.8%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前月比 (7月 -0.6%、予想 0.9%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (7月 9.0%、予想 9.3%)

18:00 (欧) 7月 建設支出 前月比 (6月 -1.0%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前年同月比 (6月 -0.3%)
21:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) FOMC(米連邦公開市場委員会) 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見



注:ポイント要約は編集部

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