『政府・中銀の正常化路線に対する市場の評価がトルコリラを下支え』
〇今週のトルコ円、トルコ中銀利上げの余波と円安進行に週前半5.67まで上昇
〇買い一巡後はトルコ指標の不冴えやドル円急落に5.40まで下げ5.47前後で越週
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの上で推移、売りシグナルも消失、地合い好転
〇ファンダメンタルズも経済・金融政策正常化路線の継続が確認され、株価の堅調もサポートに
〇引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.70
今週のレビュー(8/28−9/1)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.55円で寄り付いた後、(1)トルコ中銀による前週のサプライズ利上げを好感したトルコリラ買い圧力の余韻や、(2)対主要通貨での円売り圧力(円キャリートレードの継続期待→ドル円が年初来高値147.38まで急上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、翌8/29にかけて、週間高値5.67円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)トルコ経済の先行き不透明感(増税+利上げの組み合わせでトルコ経済に強い下押し圧力が加わるとの思惑)や、(4)トルコ7月貿易収支(結果122.2億ドル赤字、前回52.2億ドル赤字)の赤字額急拡大、(5)トルコ8月経済信頼感指数(結果94.1、前回99.3)の冴えない結果、(6)トルコ8月製造業PMI(結果49.0、前回49.9)の冴えない結果、(7)ドル円相場の急反落(ドル円が年初来高値147.38から144円台半ばへ急反落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値5.40円まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)トルコ第2四半期GDP(結果+3.8%、予想+3.5%)の市場予想を上回る結果や、(9)良好な米経済指標を背景としたドル円相場の急反発(144円台半ばから146円台前半へと急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/2午前1時05分現在)では、5.47円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(9/4−9/8)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに反発に転じると、8/24に一時5.80円(6/26以来、約2カ月ぶり高値圏)まで急伸しましたが、今週は一転して戻り売りが活発化し、本稿執筆時点では5.47円前後まで反落する動きとなっております。但し、日足ローソク足が21日移動平均線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲下限の上側で推移していることや、長らく続いた強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転)が消失したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転が期待されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ政府・中銀による経済・金融政策正常化路線の継続(政府・当局は資本規制の撤廃や政策金利の引き上げを通じて正常化路線への転換を模索→市場からの評価を獲得→トルコ離れしていた外国人投資家がトルコアセットに回帰するとの期待感)や、(2)トルコ中銀による更なる利上げ観測(トルコ中銀は先週開催された会合で市場予想を大幅に上回る利上げを実施→声明文でもタカ派的なスタンスを強調→追加利上げを織り込む動き→トルコリラ買い)、(3)円キャリートレードの再開期待(ドル円が米雇用統計後に記録した安値144.44から146円台前半へと急反発→円キャリートレード再開の思惑→トルコリラ円連れ高)、(4)株式市場の堅調推移(トルコの主要株価指数は史上最高値更新)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
増税や大幅利上げに伴うトルコ経済の先行き不透明や、エルドアン大統領の方針転換リスク(エルドアン氏の強権発動でトルコ政府・中銀が進める正常化路線が崩れる危険性)など、不安要素も残っていますが、当面の間は、政府・中銀による正常化路線の断固継続姿勢に対する市場のプレゼンス獲得(外国人投資家マネーの流入期待)と、トルコ中銀の追加利上げ観測が、トルコリラを下支えすると見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/4に予定されているトルコ8月消費者物価指数や、トルコ8月生産者物価指数に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.70
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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