トルコリラ円見通し 円高とリラ安に圧迫されて続落(23/9/1)

トルコリラ円の8月31日は概ね5.49円から5.44円の取引レンジ、9月1日早朝の終値は5.44円で前日終値の5.47円から0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高とリラ安に圧迫されて続落(23/9/1)

トルコリラ円見通し 円高とリラ安に圧迫されて続落

〇トルコ円、8/30夜安値5.44から8/31夜高値5.49へ戻すも9/1早朝には5.44を割り込む右肩下がりの展開
〇対ドル、8/31は概ね26.80から26.41の取引レンジ、徐々に27リラへ迫る
〇昨日発表のトルコGDPは予想上回るも市場の反応は鈍い、純外貨準備高は減少
〇5.49以下での推移中は一段安余地ありとし、5.43割れからは5.40前後を試す下落を想定する
〇5.49超えからはいったん戻しに入るとみて、5.53前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月31日は概ね5.49円から5.44円の取引レンジ、9月1日早朝の終値は5.44円で前日終値の5.47円から0.03円の円高リラ安だった。
トルコ中銀による市場予想の3倍となる超大幅利上げをサプライズとして急伸した後はドル/トルコリラではリラ安がぶり返して急伸幅の過半を解消しているが、やや落ち着いた動きのためにトルコリラ円はドル/トルコリラの動きを気にしつつもドル円を見ながらの展開に入っている。

ドル円は8月29日に147.36円を付けて年初来高値としたところから米求人件数の減少等により30日早朝安値145.64円へ急落し、30日夜に145.55円へ安値を切り下げたが、31日夜は米PCE(個人消費支出)デフレーターが6月から7月へ前年比の上昇がみられ新規失業保険申請件数も3週連続で改善したものの、FRBの利上げ停止感を阻害するほどではないとして一時的な上昇後に9月1日未明安値145.34円へ一段安した。9月1日午前はやや戻しているとろだが、30日夕高値から戻り高値切り下がり基調にあるため、強気転換には31日夜の反発時高値146.22円を超えて今夜の米雇用統計を強気で通過する必要がありそうだ。

トルコリラ円は8月24日夜のトルコ中銀による超大幅利上げにより直前の5.34円近辺から5.77円へ急伸したが、その後は戻り高値を切り下げては安値も切り下がる右肩下がりの展開で推移しており、30日夜安値5.44円から31日夜高値5.49円へ戻したものの9月1日早朝には5.44円を若干割り込んでいる。上昇再開に入るには戻り高値切り下がり基調から抜け出す必要があるため、まずは31日夜高値を超えて5.50円台を回復する上昇が欲しいところだ。

【対ドルでは超大幅利上げによる急騰後の揺れ返しでリラ安基調】

ドル/トルコリラの8月31日は概ね26.80リラから26.41リラの取引レンジ、9月1日早朝の終値は26.65リラで前日終値の26.69リラからは0.04リラのドル安リラ高だった。9月1日午前は26.72リラから26.60リラのレンジで推移している。
8月24日にトルコ中銀が超大幅利上げを決定したことをサプライズとして直前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したが、リラ買いが一巡した後は高金利と7月からの増税ラッシュによる今後への悪影響を意識して揺れ返しのリラ安に入っており、31日も26.80リラまで安値を切り下げて徐々に27リラへ迫ってきている。

【トルコGDPは予想上回る前年比3.8%増】

8月31日夕に発表されたトルコの4-6月期GDPは前年同期比3.8%増となり1-3月期の3.9%増から若干低下したものの市場予想の3.5%を上回った。前期比は1-3月の0.1%減から3.5%増へ持ち直した。
持ち直した背景は家計支出の拡大が輸入増を招いたためだが、貿易赤字により押し下げられた側面もあるようだ。
4-6月期はエルドアン大統領再選を目指して最低賃金や年金・公務員給与支給の増額等が行われ、高インフレと比較すれば実質マイナス金利状態にあることが消費拡大に寄与したが、再選後にリラは暴落し、7月からは財政再建のための増税ラッシュが始まって中銀の連続上げあり、10-12月期のGDPは大きく鈍化する可能性もあるとみられているため、今回の発表に対する市場の反応は鈍かった。

【純外貨準備高は減少】

8月31日に発表された週次の外貨準備高は8月25日時点のネットで143.37億ドルとなり8月18日時点の157.2億ドルから減少した。6月序盤にマイナス57億ドルまで悪化してから増加に転じ、8月11日時点で157.5億ドルまで拡大してきたが2週連続の減少となり増加ペースがピークアウトしている印象がある。
トルコ中銀はエルカン新総裁体制に入ってから外貨準備高を取り崩してリラ安を抑制するための非公式市場介入を止めて外貨準備高増加に努めてきたが、為替スワップ取引における中銀のドル売り残が8月30日時点で486.7億ドルあるため、リアルな純外貨準備高はまだマイナス領域にある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀の超大幅利上げにより急伸したために25日午前時点では24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてトップ形成期を24日夜から29日未明にかけての間としたが、25日夕刻に弱気転換目安とした5.55円を割り込んだため、28日午前時点では24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日午前から31日午前にかけての間への下落を想定した。
8月30日夜安値5.44円から31日夜に5.49円まで戻してから失速しているため、30日夜安値を直近のサイクルボトム、31日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして9月4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、31日夜高値を上抜く場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて9月1日の日中から5日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンから転落した状況が続いているので、先行スパンへ潜り込んでその上限を目指す上昇へ進めないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込んでから続伸する場合は強気転換注意として遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性があるとみる。

60分足の相対力指数は8月30日夜から31日早朝への下落時に指数のボトムが切り上がっているので40ポイント以上での推移中は60ポイント台を目指す上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.43円を下値支持線、5.49円を上値抵抗線とする。
(2)5.49円以下での推移中は一段安余地ありとし、5.43円割れからは5.40円前後を試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.49円超えからはいったん戻しに入るとみて5.53円前後への上昇を想定する。5.53円以上は戻り売りにつかまりやすいとみるがドル円が急伸する場合には5.57円試しへ上値目途を引き上げる。また5.49円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 49.9)
9月4日
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 9.49%、予想 7.0%)
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 47.83%、予想 55.9%)
 16:00 8月 コアCPI 前月比 (7月 9.6%)
 16:00 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 56.1%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 8.23%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 44.5%)
9月7日
 20:30 週次 外貨準備高
 23:30 8月 財務省現金残



注:ポイント要約は編集部

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