トルコリラ円見通し 超大幅利上げによる急伸からの揺れ返し続く(23/8/31)

トルコリラ円の8月30日は概ね5.44円から5.52円の取引レンジ、31日早朝の終値は5.47円で前日終値と変わらなかった。31日午前は5.43円から5.48円のレンジでやや軟調な推移。

トルコリラ円見通し 超大幅利上げによる急伸からの揺れ返し続く(23/8/31)

トルコリラ円見通し 超大幅利上げによる急伸からの揺れ返し続く

〇トルコ円、8/30はドル円急落局面で5.44まで下げ、8/31早朝ドル円が戻したことから5.48まで戻す
〇その後は右肩下がりの展開、今晩の米PCEデフレーター発表後の波乱の可能性に注意
〇対ドル、8/30は概ね26.28から26.79の取引レンジ、安値を切り下げ急伸幅の過半を解消している状況
〇トルコ経済指標の低調さが目立つなか、本日トルコGDP発表、鈍化が予想される
〇5.50以下での推移中は一段安余地ありとし、5.44割れからは5.40前後を試す下落を想定する
〇5.50超えからはいったん戻しに入るとみてから、5.53前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月30日は概ね5.44円から5.52円の取引レンジ、31日早朝の終値は5.47円で前日終値と変わらなかった。31日午前は5.43円から5.48円のレンジでやや軟調な推移。
8月24日夜にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げを決定したことをサプライズとして対ドルでリラが急伸し、トルコリラ円も直前の5.34円近辺から5.77円へ急伸したが、買い一巡後は揺れ返しの下落に入っており、徐々に安値の切り下がる展開となっている。
8月30日は米ADP民間雇用者数が予想を下回る増加にとどまり、米4-6月期GDP改定値が予想外に下方修正されたことでドル円がいったん急落したためにトルコリラ円も5.44円まで安値切り下げ、31日早朝へドル円が戻した局面で5.48円まで戻したものの、少量成立による一時的な高安を除けば戻り高値が切り下がりその後の安値も切り下がる右肩下がりの展開が続いている。
トルコリラ円の目先はドル円の流れを追いかけやすいところだが、今夜は米FRBが重視するPCE(個人消費支出)デフレーターの発表から波乱含みとなる可能性があると注意する。

【対ドルでは超大幅利上げによる急騰後の揺れ返しでリラ安基調】

ドル/トルコリラの8月30日は概ね26.28リラから26.79リラの取引レンジ、31日早朝の終値は26.69リラで前日終値の26.55リラからは0.14リラのドル高リラ安だった。31日午前は26.61リラから26.80リラのレンジで推移している。
8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げで政策金利を25%へ引き上げたことをサプライズとして直前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したが、リラ買いが一巡してからは揺れ返しの反落が続いており、徐々に安値を切り下げて急伸幅の過半を解消している。

【今夕、トルコGDPの発表あり】

トルコ中銀の超大幅利上げによるサプライズ後は、トルコ経済指標の低調さが目立っている。
8月25日は8月設備稼働率が7月の77.1%から76.1%へ低下、8月の製造業信頼感指数が7月の106.8から105.0へ悪化、7月の海外観光客数は前年比で6月の11.35%増から7.25%増へ鈍化した。
8月29日の7月貿易収支確報は122.2億ドルの赤字で6月の52.2億ドルの赤字から倍増以上となり、8月の経済信頼感指数は7月の99.3から94.1へ悪化した。

5月末からのリラ暴落は速度が落ち着き、中銀の超大幅利上げでいったんリラ買いが入ったものの中長期的なリラ安感の解消には至らずにいる。高金利と7月から始まった増税ラッシュによるトルコ景気への悪影響も懸念されているが、8月31日夕刻には4−6月期GDPの発表があり、市場の事前予想では前年同期比が1-3月の4.0%から3.5%へ鈍化すると見込まれている。
9月4日には8月のトルコ消費者物価指数の発表があるが、前月比は7月の9.49%から7.00%へと若干鈍化するものの高水準にとどまり、前年同月比は7月の47.83%から55.90%へ加速すると見込まれている。
当面はトルコ中銀による追加利上げ姿勢を踏まえつつもファンダメンタルズの悪さを意識してリラ安がぶり返す流れへ進みやすい局面と考える。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀の超大幅利上げにより急伸したために25日午前時点では24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を24日夜から29日未明にかけての間としたが、25日夕刻に弱気転換目安とした5.55円を割り込んだため、28日午前時点では24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日午前から31日午前にかけての間への下落を想定した。
一時的な安値を除いて8月30日夜へ安値切り下がりを続けているのでまだ下落途中とみる。また30日早朝を直近のサイクルボトムとして底割れからすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性も考えられるので5.50円以下での推移中は一段安警戒とする。ただし、5.50円超えからはいったん強気サイクル入りするとみて31日の日中から9月4日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンからの転落と遅行スパンの悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行パンに潜り込むところからは上昇期入りと仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月30日早朝への下落で30ポイント台へ低下してから40ポイント台を回復しているものの50ポイントには届かずにいるのでまだ下落余地ありとみる。50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.44円を下値支持線、5.50円を上値抵抗線とする。
(2)5.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、5.44円割れからは5.40円前後を試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円を下回っての推移なら9月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.50円超えからはいったん戻しに入るとみてから5.53円前後への上昇を想定する。5.53円以上は戻り売りにつかまりやすいとみるがドル円が急伸する場合には5.57円試しへ上値目途を引き上げる。また5.50円以上での推移なら31日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月31日
 16:00 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.3%)
 16:00 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 4.0%、予想 3.5%)
9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 49.9)
9月4日
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 9.49%、予想 7.0%)
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 47.83%、予想 55.9%)
 16:00 8月 コアCPI 前月比 (7月 9.6%)
 16:00 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 56.1%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 8.23%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 44.5%)



注:ポイント要約は編集部

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