トルコ円 トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、29日深夜はドル円急落に圧される(23/8/30)

トルコリラ円の8月29日は概ね5.47円から5.68円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.47円で前日終値の5.53円からは0.06円の円高リラ安だった。

トルコ円 トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、29日深夜はドル円急落に圧される(23/8/30)

トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、29日深夜はドル円の急落に圧される

〇トルコ円、大幅利上げ後の買い一巡後は利上げの悪影響や増税による景気への圧迫感から戻り売り優勢
〇8/30早朝ドル円急落に圧迫され5.47まで安値切り下げ、8/30午前は戻りを試しつつあるが上値重い印象
〇対ドル、リラ急騰一巡で26リラ台中盤を中心の揉み合い
〇7月貿易収支確報、貿易赤字が122.2億ドルで6月赤字の52.2億ドルから倍以上の悪化
〇ロイター、9/1発表の8月CPI市場予想公表、前月比が7月の9.49%から7.0%へと若干鈍化するも高水準
〇5.57以下での推移中は一段安余地ありとし、5.47割れからは5.45、5.43を順次試して行く下落を想定
〇5.56から5.57までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、5.57超えからは5.60を目指す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の8月29日は概ね5.47円から5.68円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.47円で前日終値の5.53円からは0.06円の円高リラ安だった。
8月24日夜にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げで政策金利を17.5%から25.0%へ大幅に引き上げたことをきっかけにリラ買いが殺到したためにトルコリラ円は直前の5.34円近辺から5.77円へ急伸したが、買い一巡後は大幅利上げによる悪影響や7月に導入された増税による景気への圧迫感から戻り売り優勢となり、28日、29日と安値の切り下がりが続いている。

ドル円は29日夜高値で147.36円へ急伸して昨年11月以来の高値水準としたが、米求人件数や消費者信頼感が予想以上に悪化したことで30日早朝には145.64円まで急落した。30日午前は146円台回復へ持ち直しているものの、今夜からADP民間雇用、米GDP改定値、31日に米PCE(個人消費支出)デフレーター、9月1日に米雇用統計と重要指標発表が相次ぐために波乱含みで推移しやすいと思われる。
トルコリラ円は急伸一巡によりやや軟調推移だが、29日夕刻安値5.50円から円安により5.53円へ上昇するも、ドル円の急落に圧迫されて30日早朝には5.47円まで安値を切り下げている。8月30日午前はドル円の持ち直しを見ながら戻りを試しつつあるが、上値の重い印象だ。

【対ドルでのリラ急騰一巡、26リラ台中盤を中心の揉み合い】

ドル/トルコリラの8月29日は概ねリ25.79ラから26.64リラの取引レンジ、30日早朝の終値は26.55リラで前日終値の26.50リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。30日午前は26.46リラから26.61リラのレンジで推移。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけに直前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したが、リラ買い一巡による反落で26日早朝に26.62リラへ反落して急伸幅の凡そ3分の2を削った。
8月29日は午前の一時的なリラ買いで25.79リラを付けたものの早々に元の水準へ持ち直し、26.64リラへドル高リラ安の推移となった。
8月24日のリラ急伸を解消したわけではないので、リラ買い材料の二の矢、三の矢があればリラの持ち直しも見えてくる可能性があるが、トルコ経済のファンダメンタルズの悪さを踏まえると、さらなる強力なカンフル剤的リラ買い材料が欲しいところだ。

【トルコ7月貿易赤字が急増】

トルコ統計局が8月29日に発表した7月のトルコ貿易収支確報では、貿易赤字が122.2億ドルとなり6月赤字の52.2億ドルから倍以上の悪化となった。輸入は323億ドルで6月の261億ドルから増加、輸出は200.8億ドルで6月の208億ドルから減少したために赤字が拡大した。
貿易赤字は今年1月に142.74億ドルで過去最悪となり、その後も5月に125.53億ドルとなるなど若干のブレはあるものの悪化傾向が続いている。
2023年1-7月期の累計では輸出が前年同期比0.7%減の1432億8700万ドル、輸入が5.0%増の2160億2700万ドル、1-7月累計の貿易赤字は730億3900万ドルで前年同期からは18.1%増と悪化した。

1-7月累計の主要輸出先はドイツの123.78億ドル、米国の84.89億ドル、イタリアの72.65億ドル、英国が69.58億ドル、イラクが60.65億ドル。輸入元はロシアが283.84億ドル、中国が268.41億ドル、ドイツが162.78億ドル、スイスが142.49億ドル、米国が91.45億ドルだった。輸出は欧米に依存しつつ輸入ではロシアと中国の比率が高い。
貿易赤字が続けば経常収支の悪化も続く。

【トルコの8月CPIは前年比55.9%と予想】

9月1日にトルコの8月CPI(消費者物価指数)の発表があるが、8月29日にロイター通信社が公表した市場予想では前月比が7月の9.49%から7.0%へと若干鈍化するものの高水準にとどまり、前年同期比は7月の47.83%から55.90%へと加速する見込みとなっている。
7月時点ではコアCPIの前年比が56.1%で全体の47.83%を大幅に上回っており、変動の激しいエネルギーや食品関連を除いた基底のインフレ率上昇感が強まっている。7月に付加価値税やガソリン税等の増税ラッシュもあったため、トルコ中銀も年末まではインフレ上昇が続く可能性があると認めているように、しばらくは高インフレと追加利上げの戦いとなりそうだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀の超大幅利上げにより急伸したために25日午前時点では24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を24日夜高値を含み25日の日中から29日未明にかけての間とし、5.55円を割り込む場合は弱気サイクル入りとしたが、25日夕刻に5.55円を割り込んだため、28日午前時点では24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日午前から31日午前にかけての間への下落を想定した。
一時的な安値を除いて8月30日早朝へ安値切り下がりが続いているためまだ下落途中とみるが、5.57円超えからは強気サイクル入りと仮定して30日の日中から31日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月29日午後への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンに潜り込むところからは上昇期入りと仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月30日早朝への下落で30ポイント台へ低下してから40ポイント台を回復しているものの50ポイントには届かずにいるのでまだ下落余地ありとみる。50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.47円を下値支持線、5.57円を上値抵抗線とする。
(2)5.57円以下での推移中は一段安余地ありとし、5.47円割れからは5.45円、5.43円を順次試して行く下落を想定する。5.43円以下は反騰注意とするが、5.50円を下回っての推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.56円から5.57円までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、5.57円超えからは5.60円を目指す上昇を想定する。5.60円以上は反落注意とするが、5.57円を上回っての推移なら31日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月31日
 16:00 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.3%)
 16:00 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 4.0%、予想 3.5%)
9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 49.9)
9月4日
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 9.49%、予想 7.0%)
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 47.83%、予想 55.9%)
 16:00 8月 コアCPI 前月比 (7月 9.6%)
 16:00 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 56.1%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 8.23%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 44.5%)


注:ポイント要約は編集部

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