トルコリラ円見通し トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、週明けも様子見の動き(23/8/29)

トルコリラ円の8月28日は概ね5.55円から5.50円の取引レンジ、29日早朝の終値は5.53円で先週末終値の5.51円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、週明けも様子見の動き(23/8/29)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の超大幅利上げによる急伸一巡、週明けも様子見の動き

〇トルコ円、一時的に不安定なレート提示がみられるものの、8/28は概ね5.50台前半中心で揉み合い
〇8/24夜の急騰一巡後の修正安もやや落ち着いて、戻りを試しつつある印象
〇対ドル、8/28は26.50台を中心とした揉み合い推移、8/29午前にかけて再びリラ高優勢の気配
〇トルコ中銀、インフレ解消への決意示す、増税と利上げによる景気への悪影響も懸念される
〇5.53以上での推移中は上昇余地ありとし、5.60を連続的に超える場合は5.65を目指す上昇を想定する
〇5.53割れからは下向きとし、5.49割れからは5.45、5.43を順次試して行く下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月28日は概ね5.55円から5.50円の取引レンジ、29日早朝の終値は5.53円で先週末終値の5.51円からは0.02円の円安リラ高だった。
8月24日夜にトルコ中銀が政策金利を市場予想の3倍となる7.5%の引上げでそれまでの17.5%から25.0%へと大幅な利上げを決断したことをビッグ・サプライズとしてトルコリラ円は利上げ前の5.34円近辺から5.77円へ急伸した。しかしパニック買いが一巡した後は7月からの増税ラッシュと今回の大幅利上げによるトルコ景気への悪影響が懸念されて修正安に入り、25日は夕刻に5.50円へ下落した。
週明けの8月28日は午前に一時的な高安で5.70円と5.44円を付けたものの早々に元の水準へ戻しており、概ね5.50円台前半中心で揉み合いとなった。8月29日午前にも一時的な高値で5.70円を付け5.57円へ失速するなど不安定なレート提示がみられるが、24日夜の急騰一巡後の修正安もやや落ち着いて戻りを試しつつある印象だ。

【対ドルでのリラ急騰一巡するも29日午前にかけて再びリラ高気配】

ドル/トルコリラの8月28日は概ね26.57リラから26.27リラの取引レンジ、29日早朝の終値は26.50リラで先週末終値の26.55リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。29日午前は26.13リラから26.51リラのレンジで推移している。
8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げを決定したことでリラ買いが殺到したため、発表前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したが、リラ買いが一巡したことで25日夕刻には26.56リラへ反落し、利上げ後の急伸幅に対して凡そ3分の2を削った。
8月28日は26.50リラ台を中心とした揉み合いで推移していたが、29日午前序盤は再びリラ高がやや優勢の動きを見せている。

【トルコ中銀、インフレ解消への決意示す】

8月28日、トルコ中銀は「段階的かつ断固とした」措置により2024年の持続可能なインフレ低下開始を確実にする地ならしに向けたロードマップに沿って政策を実施していると表明した。
トルコのCPI(消費者物価指数)前年比は6月に38.21%へ鈍化したものの7月は47.83%へ再加速し、前月比は9.49%上昇しており、トルコ中銀は2023年末にかけては58%へ上昇するとの見通しを示しているが、エルドアン大統領再選後にトルコ中銀新総裁に就任したエルカン氏は6月と7月、8月の3会合連続利上げによりインフレ抑制への姿勢を示している。トルコ中銀は今後もインフレを抑制するために適時かつ段階的に必要なだけ引き締めを行うと表明しているが、市場は30%から35%まで政策金利が引き上がるのではないかとみている。

トルコ財務省は7月に付加価値税の増税等を相次いで決定して財政赤字削減への努力を開始し、トルコ中銀も利上げのほかに外貨準備高の増加や、リラ預金の為替差損補填を行う保護預金制度の縮小による市場の正常化に取り組んでいる。
シムシェク財務相は9月19日にゴールドマン・サックスのNY本社で投資家向けプレゼンを行い、ロンドン、モロッコ(IMFイベント)、日本、シンガポール、香港等で政策正常化をアピールする予定としている。こうした努力が海外投資家のトルコへの目線を改善することに役立てはリラ安もある程度落ち着くことも考えられるが、増税と利上げによる景気への悪影響も懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀の超大幅利上げにより急伸したために25日午前時点では24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を24日夜高値を含み25日の日中から29日未明にかけての間とし、5.55円を割り込む場合は弱気サイクル入りとしたが、25日夕刻に5.55円を割り込んだため、28日午前時点では24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日午前から31日午前にかけての間への下落を想定した。
28日と29日午前の一時的な乱高下を除けば28日午後安値から上昇しているためすでにサイクルボトムを付けた可能性があると注意し、一時的な高値を除いて5.60円を超えないうちは一段安余地ありとするが、5.60円を連続的に超える場合は強気サイクル入りとして29日夜から31日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月29日午前への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上回り始めているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが再び悪化するところからは下落再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月24日夜の急騰で80ポイント台後半へ上昇してから40ポイント近辺まで急低下したが、その後は60ポイント超えへ戻しているので、50ポイントを上回るうちは70ポイント台後半への上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて40ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.49円を下値支持線、5.60円を上値抵抗線とする。
(2)5.53円以上での推移中は上昇余地ありとし、5.60円を連続的に超える場合は5.65円を目指す上昇を想定する。5.65円以上は反落警戒とするが、5.55円以上での推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.53円割れからは下向きとし、5.49円割れからは5.45円、5.43円を順次試して行く下落を想定する。5.45円以下は反騰注意とするが、5.53円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月29日
 16:00 7月 貿易収支 (6月 -51.6億ドル)
 16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 99.3)
8月31日
 16:00 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.3%)
 16:00 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 4.0%)
9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 49.9)
9月4日
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 9.49%)
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 47.83%)
 16:00 8月 コアCPI 前月比 (7月 9.6%)
 16:00 8月 コアCPI 前年同月比 (7月 56.1%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 8.23%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 44.5%)



注:ポイント要約は編集部

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