ドル円見通し 145円台前半へ下落、8月29日夜高値147.36円以降の安値を更新(23/9/1)

ドル円は9月1日未明安値で145.34円を付けて8月30日夜安値145.55円を割り込み29日夜高値147.36円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 145円台前半へ下落、8月29日夜高値147.36円以降の安値を更新(23/9/1)

ドル円見通し 145円台前半へ下落、8月29日夜高値147.36円以降の安値を更新

〇ドル円、9/1未明安値145.34を付け8/30夜安値145.55を割り込み、8/29夜高値147.36以降の安値更新
〇8/31発表の米経済指標は総じて強めだったが、発表後に145.62から146.22へ戻すも、早々に失速
〇PCEデフレーターは3か月振り拡大だが予想通り、雇用統計を控えていることを背景に市場の反応は鈍い
〇米長期債利回りは概ね低下、NYダウは4連騰後の反落、ナスダックは5連騰
〇9/1日未明安値145.34割れからは、145円試しとみる
〇145.75超えからは強気転換注意とし、8/31夜の反発時高値146.22超えからは上昇期に入るとみる

【概況】

ドル円は9月1日未明安値で145.34円を付けて8月30日夜安値145.55円を割り込み29日夜高値147.36円以降の安値を更新した。
8月31日夜に発表された米7月PCE(個人消費支出)デフレーターが予想通りだったものの6月から前年比の伸びが加速し、週間新規失業保険申請件数が3週連続で改善、8月のシカゴPMIが7月から大幅に上昇するなど米経済指標は総じて強めだったが、ドル円は発表後に145.62円から146.22円へ戻したものの早々に失速した。8月29日の米求人件数の3か月連続低下、消費者信頼感指数の悪化、30日の米4−6月期GDP下方修正など経済指標の悪化によりFRBの年内追加利上げ確率が低下したが、31日の米経済指標はその流れを変えるほどではなく9月1日夜の米8月雇用統計を見定めたいと市場は受け止められたようだ。
ECB内でタカ派として知られるシュナーベル専務理事が「ユーロ圏の成長が想定よりも弱い」等と景気見通しへの悲観的な発言を行ったことをきっかけにユーロドルが下落してポンドもつれ安となり、クロス円全般が下落したことも円高を助長したようだ。

【米7月PCEデフレーターは3か月振りの拡大】

8月31日に発表された米7月PCE(個人消費支出)デフレーターは全体の前年比が3.3%となり予想と一致したものの6月の3.0%を上回って3か月振りの拡大となった。コア指数の前年比は4.2%で6月の4.1%を上回ったものの予想と一致、前月比は0.2%で6月および予想の0.2%と同じだった。
米労働省による新規失業保険申請件数は8月26日までの週間で前週比4000件減の22万8000件となり3週連続で改善して市場予想の23万5000人を下回った。失業保険受給者総数は8月19日までの週間で172万5000人となり前週から2万8000人増加して市場予想の170万3000人を上回った。

米MNIインディケーターズによる8月のシカゴ購買部景況指数は48.7となり7月の42.8から大幅に上昇して市場予想の44.1を大きく上回って2022年8月以来の高水準となった。
FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ指標として重視しているPCEデフレーターが前年比で再び伸びを加速させたものの予想通りだったことと、他の指標も強かったが雇用統計を控えていることもあり市場の反応は鈍かった。米金利先物市場においては9月FOMCにおいては利上げが見送られるとみられており、11月と12月のFOMCについても追加利上げの確率は5割を割り込んでいる。

【米長期債利回りは概ね低下、ダウは4連騰後に反落】

8月31日の米長期債利回りは概ね低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日と変わらずの4.11%で終了、一時は4.08%まで低下して8月22日高値4.37%以降の最低としたがその後はやや戻した。
30年債利回りは前日比0.02%低下の4.21%で終了。
利上げに敏感な2年債利回りは0.02%低下の4.87%となった。8月22日への上昇時に5.11%を付けて7月6日の5.12%へ迫ってから30日に4.84%まで低下したが、その後はやや落ち着いている。
一方でNYダウは8月25日から30日まで4連騰してきたものの31日は前日比168.33ドル安と反落、米雇用統計を控えてポジション調整的にうられた。ナスダック総合指数は15.66ポイント高と小幅上昇だったものの8月25日からの連騰を5日に伸ばした。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は8月29日夜高値147.36円へ急伸してから30日早朝に145.64円へ急落し、いったん戻してから30日深夜に145.55円へ一段安したため、8月31日午前時点では8月30日早朝安値を底割れしたことにより新たな下落期に入ったとして8月30日夕高値146.53円を超えないうちは一段安警戒とし、8月30日深夜安値を割り込む場合は9月1日深夜から6日早朝への下落継続とした。
8月31日夜の反発では31日早朝および30日夕高値に届かずに一段安しているためまだ下落途中とみる。強気転換は31日夜の反発時高値146.22円超えからとし、その際は9月1日夜から5日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月31日夜の反発時に遅行スパンが好転したもののその後の下落で悪化しており、先行スパンからの転落状態も続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし、先行スパンへ潜り込んで上限へ迫る場合は上昇再開の可能性を優先して遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性があるとみる。

60分足の相対力指数は8月30日早朝と30日深夜および1日未明に30ポイント台へ低下している。指数のボトムはほぼフラットで推移しているものの50ポイント台で繰り返し売られているため、60ポイントを超えないうちは一段安余地ありとし、30ポイント割れからは20ポイント以下を目指す下落を想定する。強気転換は60ポイント超えからとし、その際は70ポイント台後半を目指して行くとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.00円を下値支持線、145.75円を上値抵抗線とする。
(2)1日未明安値145.34円割れからは145円試しとみる。145円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、145円割れから続落する場合は144.70円台へ下値目途を引き下げ、米雇用統計後に急落する場合は144.50円以下へ下値目途を引き下げる。
(3)145.75円超えからは強気転換注意とし、31日夜の反発時高値146.22円超えからは上昇期に入るとみて146.70円、147.00円を順次試して8月29日夜高値147.36円を目指して行く上昇を想定する。

【当面の予定】

9/1(金)
10:45 (中) 8月 財新製造業PMI (7月 49.2、予想 49.3)
16:55 (独) 8月 製造業PMI・改定値 (速報 39.1、予想 39.1)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI・改定値 (速報 43.7、予想 43.7)
17:30 (英) 8月 製造業PMI・改定値 (速報 42.5、予想 42.5)
19:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加

21:30 (米) 8月 非農業部門就業者数 前月比 (7月 18.7万人、予想 17.0万人)
21:30 (米) 8月 失業率 (7月 3.5%、予想 3.5%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前年同月比 (7月 4.4%、予想 4.3%)
22:45 (米) 8月 製造業PMI・改定値 (速報 47.0)
22:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 ISM製造業景況指数 (7月 46.4、予想 47.0)
23:00 (米) 7月 建設支出 前月比 (6月 0.5%、予想 0.5%)



注:ポイント要約は編集部

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