欧州のポイントは英国（週報2016年11月第二週）

8日の大統領選挙後、トランプ次期米大統領の新政権への期待でドルが急上昇しました。
トランプ次期米大統領に対して、市場の期待が懸念を上回っています。

7日は、前週引けの1.1139からギャップダウンの1.1058で始まり、直後7日の高値の1.1110を付けました。その後はじりじりと穏やかに値を下げ、海外時間に入り7日安値の1.1026まで下押ししました。その後1.1039でひけました。

8日は、前日引けの1.1038で始まり、この日も穏やかにじりじりと上昇し8日の高値の1.1067をつけました。その後海外時間に入り穏やかな下げに転じ、8日安値の1.1008まで下押ししました。その後1.1025で引けました。
7日も８日も米大統領選挙という大きなイベントを控え、方向感がハッキリしない日で、選挙の結果待ちの様子です。

9日は前日引けの1.1025ではじまり、その後は米大統領選挙の開票状況をにらみながらの動きとなりました。民主党候補のヒラリー・クリントン氏が一時リードしたところでドル買い・ユーロ売りになり1.0990まで下落。しかし、その後、共和党候補のドナルド・トランプ氏が逆転し、トランプ氏勝利の可能性が高まると、日経平均株価は大きく下落、一時1059円安、ドル売り・ユーロ買いが急速に強まり、一時1.0990から9日の高値1.1300まで上昇しました。
その後、海外時間に入り、当選後のトランプ氏の勝利演説が穏当だったと好感され、一時1.96％まで米10年債利回りが上昇し、一転ドル買いが優勢になり、再度1..0906まで下落し1.0910で引けました。

10日は、前日引けの1.0907で始まり、日中は穏やかに10日高値の1.0953まで上昇、その後はやはり穏やかに10日安値の1,0864まで下押ししました。NY時間に入っても同レベルを同意なく横ばいの結果、1.0892で引けました。
　

ポイント：ユーロ自体に材料乏しい中、トランプ氏の発言に一喜一憂するドル相場に左右されそうです。
　　　　　ドル以外はポンドに注目で、下値模索の動きは緩むものの戻りは鈍いでしょう。


ＣＭＥ通貨先物ポジション状況：11月1日時点
　　　　　(11月1日) 　　　(10月25日)　　　 (10月18日)
円 　　　　　43160　　　　　　44595　　　　　 36991
ユーロ　　▲137385　　　　▲123856　　　　▲109268
ポンド　　　▲82961　　　　▲83962　　　　　▲91558

シカゴIMM：投機・投資家筋のポジションで11月8日付けのデータはベテランズデーの影響で14日に発表の予定。
過去最高の買い持ち高は、2007年5月15日　+119,538、
過去最高の売り持ち高は、2010年2月9日　-57,152

シカゴVIX指数：投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
14.17（-0.57）VIX指数は下落しての引け。ダウが史上最高値を更新する動きとなったことを背景に、リスク志向の動きが強まりました。トランプ新大統領に対する期待が懸念を上回っていると見ます。
2016年最大は32.09、過去最大は2014年の31.06、過去最安は1993年の8.89、直近では2006年の9.39

今回の米大統領選は、共和党のトランプ氏が勝利という、市場の予想とは反対の結果となりました。
この後の相場のカギは、トランプ次期米大統領です。
トランプ次期米大統領は選挙期間中から、保護主義的な政策を前面に打ち出す旨を主張していました。
よて、世界経済の不確実性が高まるとの懸念が強ると想定されます。、

今年６月のブレグジットと、8日のトランプ次期米大統領の誕生には、共通点があるのでしょうか？
それとも全く別々の事象として把握した方が良いのでしょうか？

実は今年が大きな複数年毎の、世界の変化によるものだと思っています。
よく言われるところのサイクルです。
その意味では、英国民の意識が高まってEU離脱を決めたのも必然であり
次期米大統領が、トランプ氏でも、クリントン氏となっていても
今年、来年のポピュリズムの流れ、保護主義の流れは起こるべくして起きた事と思います。

と想定すれば、このあとユーロ圏で起こる、オランダ、ドイツ、フランス等の政治日程は
まず恐れく政治的分極化への流れが本流であると考えられまる。
となってくるとどうしてもユーロの上値は重くなると想定されます。

そんな中、足元では、トランプ次期米大統領の言動に一喜一憂するドル相場に
ユーロの動きは左右される相場が続きそうです。
　　　　　
予想レンジは、1.0650~1.1100　と見ます。