『CPI鈍化に伴う実質金利上昇を背景に南アランドは約3週間ぶり高値圏へ上昇』
〇今週の南ア円、中国南ア間の貿易不均衡協議実施、南ア指標の好調等に週後半7.87まで上昇
〇BRICS首脳会議閉幕に伴うアク抜け感もサポート、BRICSは来年6か国が追加加盟
〇テクニカルには200日線や90日線、「雲」上限等主要支持帯にサポートされ買い安心感も
〇ファンダメンタルズは中国の経済の先行き不透明感、米金利上昇等が引き続き重石に
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95
今週のレビュー(8/21−8/25)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.65円で寄り付いた後、(1)中国経済の先行き不透明感(経済的な結びつきの強い南アフリカ経済の下振れ懸念)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(南アフリカから米国への資金流出圧力)が重石となり、週明け早々に、週間安値7.63円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)中国の習近平国家主席と南アフリカのラマポーザ大統領による二国間の貿易不均衡問題についての協議実施(中国は南アフリカから高品質の製品をより多く輸入するよう最善を尽くすことを発表)や、(4)南ア7月消費者物価指数(結果+4.7%、予想+4.9%、前回+5.4%)および、南ア7月消費者物価コア指数(結果+4.7%、予想+4.9%、前回+5.0%)の市場予想を下回る結果(実質金利上昇に伴う南アランド買い圧力)、
(5)中国と南アフリカによる温室効果ガスの排出削減技術・送配電・原子力発電に関する協定調印(南アフリカの国営電力会社エスコムは、中国企業と技術共有し、石炭火力発電所の温室効果ガス排出量を減らすと共に、中国企業からエスコムの送配電インフラの更新支援や、原子力発電分野における専門技術の共有を受ける方針)、(6)BRICS首脳会議閉幕に伴うアク抜け感(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国で構成されるBRICSに新たにアルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が2024年1月1日以降加わることが決定)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.87円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/26午前3時00分現在)では、7.85円前後で推移しております。
8月中旬にかけての下落局面において、200日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限といった主要支持帯に確りとサポートされたことも、南アランド買い安心感に繋がっています。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)中国経済の先行き不透明感(中国の不動産バブル崩壊懸念→中国経済の急速な悪化→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済の下押し要因)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ジャクソンホール会議を経て年内利上げ観測が再浮上→米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出圧力)、(3)金・プラチナ価格の軟調推移(米金利上昇→コモディティ価格下落→南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が残っています。
来週の見通し(8/28−9/1)
南アランドの対円相場は、8/9に記録した約1カ月ぶり安値7.51円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、8/1以来の高値となる7.87円まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「ダウ理論の上昇トレンド」も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります。
こうした中、来週は上記1を見極める目的で8/31に予定されている中国8月製造業PMI、中国8月非製造業PMI、9/1に予定されている中国8月財新製造業PMIに注目が集まる他、8/31に予定されている南ア7月生産者物価指数や、9/1に予定されている米8月雇用統計にも注目が集まります。中国経済指標が市場予想を下回る場合(中国経済下振れ→南ア経済下振れ)や、南アフリカの7月PPIが市場予想を上回る場合(南アフリカのインフレ再燃→実質金利低下→南アランド売り)、米8月雇用統計が良好な結果となる場合(年内利上げの織り込み度合上昇→米長期金利上昇→米ドル買い→南アフリカからの資金流出加速)などには、ファンダメンタルズ主導で南アランドが反落に転じるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な強さよりもファンダメンタルズ的な弱さを重視)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2023.08.28
ランド円ショートコメント(23/8/28)
実際のレンジは安値が7.61レベル、高値が7.84レベルと、予想よりもランド高に動いた一週間となりました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2023.08.21
ランド円ショートコメント(23/8/21)
実際のレンジは安値が7.52レベル、高値が7.66レベルと、予想レンジ内でかなり狭いレンジでの動きに留まりました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。