南アランド週報:『CPI鈍化に伴う実質金利上昇を背景に南アランドは約3週間ぶり高値圏へ上昇』(8/26朝)

南アランドの対円相場は、8/9に記録した約1カ月ぶり安値7.51円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、8/1以来の高値となる7.87円まで急伸しました。

南アランド週報:『CPI鈍化に伴う実質金利上昇を背景に南アランドは約3週間ぶり高値圏へ上昇』(8/26朝)

『CPI鈍化に伴う実質金利上昇を背景に南アランドは約3週間ぶり高値圏へ上昇』

〇今週の南ア円、中国南ア間の貿易不均衡協議実施、南ア指標の好調等に週後半7.87まで上昇
〇BRICS首脳会議閉幕に伴うアク抜け感もサポート、BRICSは来年6か国が追加加盟
〇テクニカルには200日線や90日線、「雲」上限等主要支持帯にサポートされ買い安心感も
〇ファンダメンタルズは中国の経済の先行き不透明感、米金利上昇等が引き続き重石に
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95

今週のレビュー(8/21−8/25)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.65円で寄り付いた後、(1)中国経済の先行き不透明感(経済的な結びつきの強い南アフリカ経済の下振れ懸念)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(南アフリカから米国への資金流出圧力)が重石となり、週明け早々に、週間安値7.63円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)中国の習近平国家主席と南アフリカのラマポーザ大統領による二国間の貿易不均衡問題についての協議実施(中国は南アフリカから高品質の製品をより多く輸入するよう最善を尽くすことを発表)や、(4)南ア7月消費者物価指数(結果+4.7%、予想+4.9%、前回+5.4%)および、南ア7月消費者物価コア指数(結果+4.7%、予想+4.9%、前回+5.0%)の市場予想を下回る結果(実質金利上昇に伴う南アランド買い圧力)、

(5)中国と南アフリカによる温室効果ガスの排出削減技術・送配電・原子力発電に関する協定調印(南アフリカの国営電力会社エスコムは、中国企業と技術共有し、石炭火力発電所の温室効果ガス排出量を減らすと共に、中国企業からエスコムの送配電インフラの更新支援や、原子力発電分野における専門技術の共有を受ける方針)、(6)BRICS首脳会議閉幕に伴うアク抜け感(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国で構成されるBRICSに新たにアルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が2024年1月1日以降加わることが決定)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.87円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/26午前3時00分現在)では、7.85円前後で推移しております。

8月中旬にかけての下落局面において、200日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限といった主要支持帯に確りとサポートされたことも、南アランド買い安心感に繋がっています。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)中国経済の先行き不透明感(中国の不動産バブル崩壊懸念→中国経済の急速な悪化→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済の下押し要因)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ジャクソンホール会議を経て年内利上げ観測が再浮上→米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出圧力)、(3)金・プラチナ価格の軟調推移(米金利上昇→コモディティ価格下落→南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が残っています。

来週の見通し(8/28−9/1)

南アランドの対円相場は、8/9に記録した約1カ月ぶり安値7.51円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、8/1以来の高値となる7.87円まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「ダウ理論の上昇トレンド」も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で8/31に予定されている中国8月製造業PMI、中国8月非製造業PMI、9/1に予定されている中国8月財新製造業PMIに注目が集まる他、8/31に予定されている南ア7月生産者物価指数や、9/1に予定されている米8月雇用統計にも注目が集まります。中国経済指標が市場予想を下回る場合(中国経済下振れ→南ア経済下振れ)や、南アフリカの7月PPIが市場予想を上回る場合(南アフリカのインフレ再燃→実質金利低下→南アランド売り)、米8月雇用統計が良好な結果となる場合(年内利上げの織り込み度合上昇→米長期金利上昇→米ドル買い→南アフリカからの資金流出加速)などには、ファンダメンタルズ主導で南アランドが反落に転じるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な強さよりもファンダメンタルズ的な弱さを重視)。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95

注:ポイント要約は編集部

『CPI鈍化に伴う実質金利上昇を背景に南アランドは約3週間ぶり高値圏へ上昇』

南アランド円日足

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