『トルコ中銀によるタカ派サプライズでリラ買い炸裂。続伸リスクに期待』
〇今週のトルコ円、トルコ中銀のサプライズ利上げに5.86まで上昇後、週末に5.49台まで反落
〇トルコ中銀、市場予想を大幅に上回る7.5%の利上げを実施、政策金利は25%に
〇トルコ円、主要テクニカルポイント上抜け、売りシグナルも消失、テクニカルの地合い好転
〇ファンダメンタルズも経済・金融政策正常化路線の継続が確認され、中銀もタカ派姿勢を明示
〇目先はトルコ中銀の決定を評価する形で、トルコリラが上げ幅を拡大するシナリオが想定される
〇トルコリラ円相場の見通しをベアからブルに転換
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
今週のレビュー(8/21−8/25)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.36円で寄り付いたあと、(1)トルコ中銀によるトルコリラ建て為替保護預金制度(KKM)の解除の取り組み開始(トルコ中銀は経済・金融政策正常化路線の一環として2021年末にリラ安を食い止める手段とした導入された同制度を撤廃する方針)や、(2)イラク・トルコ石油相による「イラク北部のクルド人自治区からトルコのジェイハン港への石油輸送再開協議」の合意決裂、(3)トルコ8月消費者信頼感指数(結果68.0、前回80.1)の冴えない結果、(4)重要イベント(トルコ金融政策決定会合)を控えたポジション調整、(5)対主要通貨での円買い圧力(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週央にかけて、週間安値5.29円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)トルコ中銀によるサプライズ的な大幅利上げ(トルコ中銀は市場予想の250bpを大幅に上回る750bpの利上げを実施。政策金利は17.50%から25.00%へ大幅引き上げ)、(7)トルコ中銀声明のタカ派的な内容(声明文の中に「金融引き締めはインフレ見通しの大幅な改善が達成されるまでタイムリーかつ段階的に必要に応じてさらに強化される」「最近の指標はインフレの基礎的な傾向が継続的に上昇していることを示唆」とのタカ派的な記述あり)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値5.86円(6/26以来となる約2ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(9)トルコ8月景気動向指数(結果104.6、前回104.9)の冴えない結果、(10)トルコ8月設備稼働率(結果76.1%、前回77.1%)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/26午前2時15分現在)では、5.49円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(8/28−9/1)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、約2カ月ぶり高値となる5.86円(6/26以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線)を上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、トルコ政府・トルコ中銀による経済・金融政策正常化路線の継続(政府・当局は資本規制の撤廃や金融政策の引き締めを鋭意継続→市場からの評価を獲得)や、トルコ中銀による更なる利上げ観測(今会合で予想外の大幅利上げに踏み切った他、声明文でもタカ派的なスタンスを強調→米JPモルガンチェースは年末時点の政策金利を従来までの30%から35%へ上方修正)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
トルコ経済の先行き不透明や、エルドアン大統領の政治リスク(トルコ政府・トルコ中銀が進める正常化路線がエルドアン氏の一言で覆る危険性)など、不安要素も残ってはいますが、目先は今般のトルコ中銀の決定を評価する形で、トルコリラが上げ幅を拡大するシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では、トルコリラ円相場の見通しをベアからブルに転換いたします。尚、来週は8/29に予定されているトルコ7月貿易収支やトルコ8月経済信頼感指数、8/31のトルコ第2四半期GDP、9/1のトルコ8月製造業PMIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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