トルコリラ円見通し 欧米PMI悪化による円高で続落、今夜のトルコ中銀利上げ幅に注目(23/8/24)

トルコリラ円の8月23日は概ね5.37円から5.31円の取引レンジ、24日早朝の終値は5.32円で前日終値の5.36円から0.04円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 欧米PMI悪化による円高で続落、今夜のトルコ中銀利上げ幅に注目(23/8/24)

欧米PMI悪化による円高で続落、今夜のトルコ中銀利上げ幅に注目

〇トルコ円、ドル円上昇頭打ちとドル高リラ安基調継続で右肩下がりの展開、8/24は5.30割り込む
〇対ドル、8/23は概ね27.29から26.95の取引レンジ、最安値近辺での推移
〇8/23発表のトルコ消費者信頼感指数、インフレの再加速や増税ラッシュ等を受け急激に悪化
〇本日の政策金利発表、予想中央値20.0%を下回る利上げの場合リラ売り招きやすいか
〇5.29割れからは5.27、5.25を順次試す下落を想定
〇5.33超えからは5.35試しとするが、5.35前後は戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の8月23日は概ね5.37円から5.31円の取引レンジ、24日早朝の終値は5.32円で前日終値の5.36円から0.04円の円高リラ安となった。
トルコリラ円はドル/トルコリラ動向を気にしつつ目先はドル円の騰落を追いかけているところだが、ドル円は欧米のPMIが軒並み低水準となり米長期債利回りが急低下したために24日未明安値で144.54円を付けて8月19日未明安値144.93円を割り込み8月17日午前高値146.54円以降の安値を更新した。
8月21日深夜と22日午前の高値で146.39円まで戻したものの高値更新へ進めずに上値が重くなり、23日は国内10年債利回り上昇でジリ安の推移に入っていたが、欧米の総合PMIがそろって予想を下回る悪化となりFRBやECBによる追加利上げ姿勢を後退させるとの思惑で欧米長期債利回りが揃って低下した。

トルコリラ円は8月10日と8月17日に5.41円を付けて7月18日安値5.08円以降の高値としたものの、その後はドル円の上昇が頭打ちとなったこととドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調の継続で右肩下がりの展開となり、24日未明へドル円が一段安したところで5.31円へ下落、いったん戻したものの24日午前には5.30円を割り込む続落気配となっている。
今夜はトルコ中銀の金融政策員会があり、市場の事前予想では政策金利が現行の17.5%から20.0%への引き上げが見込まれているものの、予想を下回る利上げ幅に留まる場合は失望からリラ安が勢い付きかねないと注意する。為替市場全般は8月25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長やラガルドECB総裁らの講演内容に関心が向かっている。

【対ドルでは最安値近辺での推移】

ドル/トルコリラの8月23日は概ね27.29リラから26.95リラの取引レンジ、24日早朝の終値は27.18リラで前日終値の27.19リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。24日午前序盤は27.26リラから26.99リラのレンジで推移している。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落は6月22日のトルコ中銀利上げ幅を不服として1ドル27リラ台へ進行し、7月20日にトルコ中銀が追加利上げをした後は下落基調を続けながらも下落速度が減速している。手元のデータでは取引時間中の史上最安値は8月10日安値27.34リラ以降は最安値更新を回避しているものの日々の取引中心値は切り下がっており、22日は終値ベースの最安値を27.19リラへ更新し、23日も最安値近辺に付けている。

【トルコ消費者信頼感指数は急激に悪化】

8月23日にトルコ統計局が発表した8月消費者信頼感指数は68.0となり7月の80.1から大幅に悪化した。2021年末へのリラ暴落により2021年12月に68.9へ悪化してからいったん持ち直したものの2022年6月には63.4へ低下して2010年以降の最低とし、リラ安が落ち着いたことで2023年5月には91.1まで急速に改善していた。しかしエルドアン大統領再選、インフレの再加速、7月に入ってから財政再建のための増税ラッシュとなったことで消費者心理が急速に悪化したことが示された。
付加価値税やガソリン税等の増税と7月のトルコCPIが上昇再開感を示したこと、大統領再選からのリラ安が収まらないことの影響は今後の消費者心理悪化を継続しかねないと懸念される。

【トルコ中銀は市場の期待に応える利上げを決定できるか】

トルコ中銀は8月24日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを現行の17.5%から2.5%引き上げて20.0%とすると予想されている。市場予想レンジは18.0%から20.5%で予想中央値が20.0%となっている。
トルコ中銀のエルカン総裁はインフレ抑制のための利上げに着手し、就任後の6月22日会合で政策金利を8.50%から15.0%へ引き上げ、7月20日会合では17.5%へ引き上げて今後も追加利上げを行う姿勢を示した。2.5%ずつの利上げが繰り返されれば20%へ到達した後も25%を目指して連続利上げへ向かう可能性が高まると思われるが、20%を下回る利上げに留まる場合は利上げを嫌うエルドアン大統領の意向も踏まえて今後の追加利上げが難しくなったり小幅な利上げに留まる可能性が高まるためにリラ売りを招きやすいと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月19日未明と21日午前に5.34円を付けてから21日深夜に5.39円へ上昇したために22日午前時点では21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、5.34円割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、8月23日午前序盤に5.34円を割り込んだために21日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への下落を想定した。
8月24日午前へ続落しているので引き続きボトム形成中とみるが、前回ボトムから3日を経過したので5.33円超えからは強気転換注意として5.35円を試す上昇を想定する。ただし、トルコ中銀の利上げに対する市場反応次第では反騰も一段安もあり得るところと注意する。

60分足の一目均衡表では8月23日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月23日深夜に20ポイント台序盤へ低下してから下げ渋っているものの40ポイント以下にとどまっているのでまだ下落余地ありとし、下げ足が速まる場合は10ポイント台を試すとみる。強気転換は50ポイント超えからとし、その際は60ポイント台前半を試す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.29円を下値支持線、5.33円を上値抵抗線とする。
(2)5.33円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.29円割れからは5.27円、5.25円を順次試す下落を想定する。5.25円以下は反騰注意とするが、5.33円以下での推移か、直前安値から0.03円を超える反騰がみられないうちは25日午前も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)5.33円超えからは5.35円試しとするが、5.35円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)
 20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 グロス (8月11日時点 751.0億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 ネット (8月11日時点 157.5億ドル)
8月25日
 16:00 8月 製造業信頼感指数 (7月 106.8)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 77.1%)
 17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 11.35%) 


注:ポイント要約は編集部

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