ドル円見通し 欧米の総合PMI悪化と米長期債利回り急低下で144.50円台へ失速(23/8/24)

ドル円は、24日未明安値で144.54円へ下落、その後も145円台回復へ進めずにいる。

ドル円見通し 欧米の総合PMI悪化と米長期債利回り急低下で144.50円台へ失速(23/8/24)

欧米の総合PMI悪化と米長期債利回り急低下で144.50円台へ失速

〇ドル円、8/24未明に144.54へ下落後145円台回復できず
〇8/23の独欧PMI悪化と米総合PMI悪化による米10年債利回り急低下が背景
〇米10年債利回りは急低下、ダウは反騰、ナスダックは8/21から3連騰
〇8/25のジャクソンホール会合における要人発言後、144円前後試しの可能性に注意
〇144.20割れからは144.00、143.80を順次試す下落を想定
〇145.25超えからは反騰入りとみて145.50-60、145.70を順次試す上昇を想定

【概況】

ドル円は8月23日夕刻の独欧のPMI悪化に続き夜の米総合PMIも悪化したことで米10年債利回りが急低下したため、24日未明安値で144.54円へ下落、その後も145円台回復へ進めずにいる。
8月4日夜の米7月雇用統計を通過した後の8月7日安値141.51円を起点として米CPIやPPIを通過しながら上昇してきたが、8月17日に146.54円を付けて年初来最高値とした後は伸びず、8月19日未明に144.93円まで下げたところからの戻りは21日深夜と22日午前の146.39円にとどまり、23日の日中は上値の重さが意識されて軟調推移に入っていたのだが、24日未明への下落で19日未明安値を割り込んだため、8月17日午前と23日午前の両高値をダブルトップ型とした下落感が強まっている。
8月25日に開催されるジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長やラガルドECB総裁らの講演内容次第では波乱する可能性もあるために目先は突っ込み警戒感も出やすいところだが、144円前後を試す可能性のあるところと注意したい。

【欧米PMIの悪化】

S&Pグローバルによる欧米の8月PMI速報値は軒並み低調でユーロ圏は2年9か月振り、ドイツは3年3か月振り、、英国が2年7か月振り、米国が半年ぶりの低水準に落ち込んだ。
ユーロ圏の8月総合PMI(購買担当者景気指数)速報値は47.0となり、7月の48.6から低下して市場予想の48.5を下回り2020年11月以来の低水準となった。製造業は7月の42.7から43.7へ改善したものの50を大きく下回り、サービス業は7月の50.9から48.3へ悪化した。
ドイツの8月総合PMI速報値は44.7となり、7月の48.5から悪化して予想の48.3を下回り2020年5月以来の低水準となった。製造業は7月の38.8から39.1へ改善したものの50を大幅に下回り、サービス業は7月の52.3から47.3へ悪化した。

英国の8月総合PMI速報値は47.9となり、2021年1月以来の低水準へ落ち込んだ。製造業は7月の45.3から42.5へ悪化、サービス業も51.5から48.7へ悪化した。
米国の8月総合PMI速報値は50.4となり、7月に52.0から悪化して6か月振り低水準に落ち込んだ。製造業は7月の49.0から47.0へ悪化して市場予想の49.3を下回り、サービス業は7月に52.3から51.0へ悪化して市場予想の52.2も下回った。

米商務省による7月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比4.4%増の71万4000戸で2か月振りに増加して前年同月比は31.5%増、販売価格中央値は前月比4.8%上昇の43万6700ドルとなり総じて良好だったものの欧米PMIの悪化に対する反応に隠れて反応は鈍かった。
米労働省は半期に一度の統計修正において2023年3月までの1年間の雇用者増加数を従来発表から30万6000人下方修正した。このうち民間が35万8000人下方修正、政府部門が5万2000人上方修正された。

【米10年債利回りは急低下、ダウは反騰】

欧米のPMI悪化により8月23日の米長期債利回りは総じて大幅低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.14%の大幅低下で4.19%となった。8月10日から17日へ6連騰し、18日の小反落から21日に一段高となり一時は4.35%を付けて昨年10月のピークを超えて2007年11月以来凡そ16年ぶり高水準に達してから失速したが、23日の急落で上昇一服感がみられる。
30年債利回りは8月22日に4.48%を付けて12年ぶり高値水準としたところから失速していたが23日は前日比0.13%低下の4.27%で終了した。2年債利回りは22日に前日比0.04%上昇の5.05%として7月13日の4.61%以降の高水準としたが、23日は前日比0.08%低下の4.97%となった。
米金利先物市場における9月FOMCでの利上げ確率は22日の13.5%から23日は11.5%へ低下した。
一方でNYダウは米長期債利回り低下を好感して前日比184.15ドル高と上昇、3日ぶりの反発となりナスダック総合指数は215.16ポイント高と上昇して21日から3連騰となった。PMIの悪化や米銀格下げ等による先行き不安があるものの、長期債利回り低下とジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演を控えて買い戻し優勢となったようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は8月21日深夜と22日午前の高値では8月17日午前高値超えへ進めずに一時145.50円を割り込むなど軟調な推移となったために23日午前時点では22日午前高値を起点として安値試しの時間帯に入っているとし、19日未明安値を基準として目先の安値形成期を25日未明にかけて想定した。
24日未明へ一段安してからも144円台後半にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、145円超えを強気転換注意とし、145.25円超えからは上昇期に入るとみて25日夜にかけての上昇を想定する。ただし8月25日夜以降はジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演等に対する反応次第とする。

60分足の一目均衡表では8月22日夜の下落で遅行スパンが悪化し、23日午後の下落で先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパンが好転するところからはいったん戻しに入るとみて先行スパンを試す上昇を想定するが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は8月24日未明への急落で20ポイントを割り込みその後も40ポイント以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは上昇再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.20円を下値支持線、145.25円を上値抵抗線とする。
(2)145円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、144.20円割れからは144.00円、143.80円を順次試す下落を想定する。143.80円以下は反騰注意とするが、145円以下での推移なら25日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)145.00円から145.25円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみるが、145.25円超えからは反騰入りとみて145.50-60円、145.70円を順次試す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

8/24(木)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 4.7%、予想 -4.0%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.6%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 171.6万人、予想 170.8万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、インタビュー
26:00 (米) 財務省30年インフレ連動債入札

8/25(金)
米ジャクソンホール会合(8/26まで)
08:01 (英) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -30、予想 -29)
08:30 (日) 8月 東京都区部CPI(消費者物価指数)生鮮食料品除く 前年同月比 (7月 3.0%、予想 2.9%)
08:50 (日) 7月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (6月 1.2%、予想 1.2%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値・季調済 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値・季調前 前年同期比 (速報 -0.6%、予想 -0.6%)
17:00 (独) 8月 IFO企業景況感指数 (7月 87.3、予想 86.8)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、インタビュー
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 71.2、予想 71.2)
23:05 (米) パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長、講演
28:00 (欧) ラガルドECB(欧州中銀)総裁、講演



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