ドル円、米金利低下を背景に144円台半ばへ急落。本日より注目のジャクソンホール会議
〇ドル円、イベント前調整、米長期金利急低下等に米国時間に144.59まで急落
〇ユーロドル、PMIの不冴え等に1.0802まで下落後、米金利低下に1.0862まで反発
〇ドル円、ダウンサイドに複数のサポート並び、買いシグナルも継続、下値余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズも円キャリートレード長期化への思惑など、ドル円相場上昇材料揃う
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:144.25ー145.75
海外時間のレビュー
23日(水)のドル円相場は冴えない動き。アジア時間早朝にかけて、高値145.94まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)重要イベント(ジャクソンホール会議)を控えたポジション調整(上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り)や、(2)円金利上昇に伴う円買い圧力(本邦10年債利回りが2014年1月以来の高水準となる0.67%へ上昇)、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが前日記録した2007年11月以来の高水準4.36%から4.18%へ急低下)、(4)米8月製造業PMI速報値(結果47.0、予想49.0)の市場予想を下回る結果、(5)米8月非製造業PMI速報値(結果51.0、予想52.2)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値144.59まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/24午前5時30分現在)では、144.91前後で推移しております。尚、昨日発表された米7月新築住宅販売件数(結果71.4万件、予想70.4万件)は市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。
23日(水)のユーロドル相場は下落後に急反発。(1)米金利低下に伴うドル売りが支援材料となる中、欧州時間朝方にかけて、高値1.0871まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)フランス8月非製造業PMI速報値(結果46.7、予想47.5)の市場予想を下回る結果や、(3)ドイツ8月非製造業PMI速報値(結果47.3、予想51.5)の市場予想を下回る結果、(4)ユーロ圏8月非製造業PMI速報値(結果48.3、予想50.5)の市場予想を下回る結果、(5)ユーロ圏8月総合PMI速報値(結果47.0、予想48.5)の市場予想を下回る結果(2年9ヵ月ぶり低水準)、(6)上記2、3、4、5を背景とした欧州経済の先行き不透明感と、それに伴うECBによる金融引き締め休止観測、(7)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(ドイツ10年債利回りが2.64%から2.49%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0802まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)米8月製造業PMI速報値および、米8月非製造業PMI速報値の市場予想を下回る結果や、(9)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/24午前5時30分現在)では、1.0862前後まで持ち直す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は8/17に記録した年初来高値146.57をトップに反落に転じると、昨日は一目均衡表転換線を割り込み、一時144.54まで下げ幅を広げました。ジャクソンホール会議を控えたポジション調整が足元のドル売り・円買いの背景と考えられます。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、下値余地は乏しいと判断できます(一巡後の持ち直しが期待されるチャート形状)。
ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(CMEが提供するFedWatchツールによると、年内追加利上げが依然として34.7%織り込まれている状況)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は指値オペを通じて円金利の上昇を抑制するスタンス→10年債利回りが事実上の上限である1%に到達するまでに相応の時間を要するとの見方が市場コンセンサス→円売り安心感)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード長期化の思惑など、ドル円相場のアップサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日よりジャクソンホール会議(カンザスシティー連銀主催の国際経済シンポジウム)が8/24ー8/26の日程で開催されますが、注目されるパウエルFRB議長講演は、日本時間明日8/25の午後11時5分開始となるため、本日は引き続き重要イベント(ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演)を控えた様子見ムードから、調整的な動き(ドル円ロングポジションの解消)が続きそうです。但し、同イベント通過後は重要イベント通過後のアク抜け感から、再び上昇トレンドが戻ってくる可能性があるため、例え下がったとしても下げ幅は限定的となるでしょう。
本日の予想レンジ:144.25ー145.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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