ドル円の上昇一服、ドル高リラ安に圧されて8月17日以降の安値を更新
〇トルコ円、8/23午前序盤は5.33をつけ8/17高値以降の安値を更新
〇対ドル、8/23午前は27.30から27.10のレンジで推移、大幅利上げ催促でリラ売り優勢の展開
〇8/24トルコ中銀金融政策委員会で、市場が納得する利上げができるかにより波乱の可能性もあると注意
〇8/21アクチャイ中銀副総裁と主要銀行幹部の会合があり、リラ保護預金制度廃止への中銀の姿勢を示す
〇5.37を下回るうちは一段安余地ありとし、5.33割れからは5.32、5.31を順次試す下落を想定
〇5.37超えからは5.39試しとするが、5.39前後は戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の8月22日は概ね5.38円から5.35円の取引レンジ、23日早朝の終値は5.36円で前日終値の5.38円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円は8月21日深夜と22日午前に146.39円へ上昇したものの8月17日午前高値146.54円超えへ進めず、米10期債利回りの低下や米中古住宅販売件数が2か月連続のマイナスとなったこともあり上値の重い展開で、22日夜に145.49円まで下げてから146.13円へ一時戻したものの22日午前にかけては145円台後半で軟調な動きとなっている。
トルコリラ円は8月10日に5.41円を付けて7月18日安値5.08円以降の高値を更新したが、ドル円が8月17日午前高値へ一段高した際は5.41円までの上昇にとどまって上値が重くなり、その後はドル円の上昇一服とドル高リラ安を見ながら右肩下がりの展開で安値を切り下げている。
8月21日午前に5.34円へ下げたところから21日深夜高値5.39円へ戻してから下落再開に入り、22日夜は5.35円で下げいったん下げ止ったものの、23日午前序盤には5.33円を付けて17日高値以降の安値を更新している。
ドル円は膠着状態であり、今週末のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演の内容次第ではドル高が勢い付く可能性もあるので、トルコリラ円もドル円に追従して一段高へ進む可能性を期待したいところだが、その前に8月24日のトルコ中銀金融政策委員会で市場が納得できる利上げを決定できるかどうかによりドル/トルコリラが波乱する可能性があると注意する。
【対ドルでは終値ベースの最安値更新、中銀への利上げ催促でリラ売り】
ドル/トルコリラの8月22日は概ね27.30リラから26.88リラの取引レンジ、23日早朝の終値は27.19リラで前日終値27.14リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀金融政策委員会が迫る中、中銀に対する大幅利上げ催促としてリラ売り優勢の展開となり、手元のデータでは取引時間中の史上最安値は8月10日安値27.34リラ以降は安値更新に至らずにいるが、その後も徐々に日々の戻り高値を切り下げており、終値ベースでは8月14日に27リラ台に乗せ、15日終値27.04リラ、21日終値27.14リラへと最安値を更新し、22日もさらに最安値更新へ進んでいる。
23日午前は27.30リラから27.10リラのレンジで推移しつつ取引時間中の最安値更新を伺う位置にある。
トルコ中銀がリラの為替差損を補填する保護預金制度の廃止へ動いていることもリラ安の歯止めを外す売り材料となっている。
【トルコ中銀、リラ保護預金制度廃止への動きを強める】
トルコ中銀は8月20日にリラ預金の為替差損を補填する制度=KKMの縮小方針を示し、従来は銀行に対して預金の一定水準をリラ保護預金制度へ転換させることを目標付けていたが、この目標を撤廃してKKM口座から通常のリラ口座へ移行する目標を新たに設定するように指導した。その一方で外貨預金に対する預金準備率を引き上げており、保護されたKKM口座から保護のない通常のリラ口座へ誘導する姿勢を示した。
KKM(リラ預金保護制度)は2021年末のリラ暴落の再に導入された時限的な措置であり今年末まで期間延長されたが、エルカン総裁体制に入ってからKKMからの脱却へ向かっている。
8月21日にはトルコ中銀のアクチャイ副総裁と主要銀行幹部多数との会合があり、中銀の姿勢が示されたという。
KKM口座は直近で1,247億ドル(3兆3,600億リラ)まで膨れ上がり、銀行預金の凡そ4分の1を占めており、6月と7月には凡そ110億ドル(3000億リラ)が為替差損の補填に使われて財政を圧迫している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月17日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、8月19日未明と21日午前に5.34円を付けてから21日深夜に5.39円へ上昇したため、22日午前時点では21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日の日中から24日午前にかけての間への上昇を想定した。また戻りは短命の可能性もあるとして5.36円割れを弱気転換注意として5.34円割れからは弱気サイクル入りとした。
8月23日午前序盤に5.34円を割り込んだため、21日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への下落を想定する。24日のトルコ中銀金融政策委員会や25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演等による波乱に注意し、それらをきっかけに反騰する場合は強気サイクル入りとするが、直前安値から0.04円を超える反騰へ進めないうちは安値試しが続きやすいとみる。
60分足の一目均衡表では8月23日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月22日夜に30ポイント台序盤へ低下してからいったん50ポイントを超えたものの再び失速しているのでまだ下落余地ありとし、下げ足が速まる場合は20ポイント台を試すとみる。強気転換は55ポイント超えからとし、その際は60ポイント台前半を試す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.33円を下値支持線、5.37円を上値抵抗線とする。
(2)5.37円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.33円割れからは5.32円、5.31円を順次試す下落を想定する。5.31円以下は反騰注意とするが、5.37円以下での推移か、直前安値から0.04円を超える反騰がみられないうちは24日午前も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)5.37円超えからは5.39円試しとするが、5.39円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 80.1)
8月24日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)
20:30 週次 外貨準備高 8月18日時点 グロス (8月11日時点 751.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8月18日時点 ネット (8月11日時点 157.5億ドル)
8月25日
16:00 8月 製造業信頼感指数 (7月 106.8)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 77.1%)
17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 11.35%)
注:ポイント要約は編集部
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