トルコリラ円見通し ドル円の反騰で5.30円台後半へ切り返すも勢い鈍る
〇トルコ円、8/21はドル円上昇を追いかけ深夜5.39へ上昇したが、リラ安を意識して8/22午前は失速気味
〇対ドル、8/21は概ね27.20から26.91の取引レンジ、8/22午前には27.30を付けて最安値に迫る
〇終値ベースでは8/21は27.14をつけ、最安値更新
〇8/24のトルコ中銀金融政策委員会、市場予想は20.0%への引上げ
〇5.36を上回るうちは一段高余地ありとし、5.39超えからは5.41前後への上昇を想定する
〇5.36割れからは5.34試しとし、5.34割れからは5.32前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月21日は概ね5.34円から5.39円の取引レンジ、22日早朝の終値は5.38円で先週末終値5.36円から0.02円の円安リラ高だった。
トルコリラ円はドル/トルコリラにおけるリラ安を気にしつつも目先はドル円の騰落を追いかけている
ドル円は8月17日午前に146.54円を付けて年初来高値を更新してから上昇一服となり19日未明安値144.93円へ下落したが、21日は米長期債利回りが上昇したことによるドル買い円売りに加え、欧州各国の長期債利回りも上昇したためにポンド円やユーロ円等のクロス円が総じて大幅上昇したことで円安感が強まり深夜には146.39円を付けて17日午前高値に迫り、その後も146円台前半でしっかりして17日高値超えを伺う位置に来ている。
トルコリラ円は7月28日の日銀金融政策決定会合直後の乱高下で5.12円まで反落したところを起点として上昇再開に入り、8月12日には5.41円まで高値を伸ばしたところで上昇が頭打ちとなり、ドル円が年初来高値を更新した8月17日も5.41円の同値にとどまり、19日未明へドル円が下げた局面で5.34円まで安値を切り下げた。週明けの21日はドル円の上昇を追いかけて深夜に5.39円へ上昇したが、リラ安を意識して22日午前は失速気味となっている。
今週は8月25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演とECBのラガルド総裁講演に注目が集まる。欧米長期債利回りの上昇基調が続いているため、米欧揃ってタカ派姿勢ならドル円の上昇が勢い付く可能性がある。トルコリラ円としては8月24日にトルコ中銀が市場の期待を裏切らない追加利上げを決定できるかどうか注目されるが、ジャクソンホール会合後の動向もかなり重要になると思われる。
【対ドルでは終値ベースの最安値更新、中銀へ利上げを催促】
ドル/トルコリラの8月21日は概ね27.20リラから26.91リラの取引レンジ、22日早朝の終値は27.14リラで先週末終値の27.03リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
8月21日は欧米の長期債利回りが揃って上昇したため、ドル円が146円台回復へ反騰する一方でユーロドルが上昇するなどドルの強弱はまちまちだったが、リラの先安感と8月24日のトルコ中銀金融政策委員会が迫る中での利上げ催促的なリラ売りが優勢となった。
取引時間中の史上最安値は8月4日安値27.34リラ以降は更新されていないものの、22日午前には27.30リラを付けて最安値に迫っている。終値ベースでは徐々に最安値更新が進行しており、8月14日に27リラ台に乗せて15日の終値27.04リラで最安値を更新したが、21日は27.14リラへと最安値を更新している。
日々の騰落幅はブレも大きいが、8月10日安値26.54リラ以降は徐々に安値が切り下がっている。7月20日のトルコ中銀金融政策委員会が迫った7月19日に当時の最安値を更新するリラ安が勢い付いた経緯もあるので22日と23日はリラ売りが進みやすい局面かもしれない。8月20日にトルコ中銀がリラの為替差損保護預金制度の縮小から解除へ向かう姿勢を示したこともリラ売り要因となっているようだ。
【トルコ中銀の追加利上げ、予想は20.0%への引上げ】
トルコ中銀は8月24日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを現行の17.5%から2.5%引き上げて20.0%とすると予想されている。ロイター通信社調べでは、17人のアナリストの予想レンジは18.0%から20.5%、予想中央値は20.0%となった。
5月28日に再選されたエルドアン大統領はウォール街銀行家のエルカン氏をトルコ中銀新総裁に任命し、エルカン総裁はインフレ抑制のための正常的な対策としての利上げに着手し、就任後最初の会合だった6月22日に政策金利を8.50%から15.0%へ引き上げ、7月20日の会合では17.5%へと引き上げて今後も追加利上げを行う姿勢を示した。
6月会合においては市場が20%への大胆な利上げを期待していたために利上げ幅を不服としてリラは暴落商状に陥ったが、7月会合では前日の7月19日までリラの最安値更新が続いたものの利上げ後は暴落商状が落ち着いた。
8月18日にトルコ中銀が発表した国内企業家等に対する月次調査においては、政策金利は3か月後に25.0%へ引き上げられるものの1年先は23.25%へ若干低下するとの予想だった。会合毎に2.5%の利上げを行って25%まで上昇したところでいったんピークを付けるとの見方だが、その一方で為替レートは2023年末には1ドル29.822リラへ下落して30リラに迫るという見通しだった。
トルコ中銀が期待に応えて2.5%利上げを決定してさらに追加利上げする姿勢を強調すればリラ安が落ち着く可能性もあるが、2.5%利上げに踏み切れない場合は失望感からリラ安が再び勢い付く可能性もあるだろう。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月11日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定していたが、8月17日午前へ続伸してからの反落により18日午前時点では17日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
8月19日未明と21日午前に5.34円を付けてから21日深夜に5.39円へ上昇したため、21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日の日中から24日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、戻りは短命の可能性もあるので5.36円割れを弱気転換注意として21日午前安値5.34円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月21日深夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後はやや伸び悩みとなっている。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパンが一時的に悪化しても先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月21日夜に60ポイント台後半へ上昇したものの22日午前には50ポイントを割り込んでいるので戻り一巡から下落期に入っている可能性がある。55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント前後を試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.36円を下値支持線、5.39円を上値抵抗線とする。
(2)5.36円を上回るうちは一段高余地ありとし、5.39円超えからは5.41円前後への上昇を想定する。5.41円以上は反落注意とするが、5.38円を上回っての推移なら23日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.36円割れからは5.34円試しとし、5.34円割れからは5.32円前後への下落を想定する。5.33円以下は反発注意とするが、5.36円以下での推移が続く場合は23日午前も安値試しへ進みやすいとみる。5.34円を割り込む場合は23日から24日の日中にかけて安値試しが続きやすくなるとみる。
【当面の主な予定】
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 80.1)
8月24日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)
20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 グロス (8月11日時点 751.0億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 ネット (8月11日時点 157.5億ドル)
8月25日
16:00 8月 製造業信頼感指数 (7月 106.8)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 77.1%)
17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 11.35%)
注:ポイント要約は編集部
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