ドル円見通し 先週末の145円割れから反騰、米長期債利回り急伸で146円台回復(23/8/22)

ドル円は米長期債利回りの一段高によりドル買い円売りが活発化して146円台を回復、深夜には146.39円を付けて8月17日高値に迫った。

ドル円見通し 先週末の145円割れから反騰、米長期債利回り急伸で146円台回復(23/8/22)

ドル円見通し 先週末の145円割れから反騰、米長期債利回り急伸で146円台回復

〇ドル円、8/21は米長期債利回りの一段高でドル買い円売りが活発化、146円台を回復
〇深夜に146.39を付けて8/17高値146.54に迫る、調整安が落ち着き一段高を伺うところか
〇米長期債利回りは総じて上昇、10年債利回りは16年ぶり高水準、ダウは反落、下落基調から抜け出せず
〇145.70以上での推移中は上向きとし、8/17高値146.54超えからは147円を目指す上昇を想定する
〇145.70以下での推移が続く場合は、145円台序盤(145.25から145.00)への下落を想定する

【概況】

ドル円は8月14日に145.57円を付けて6月30日高値145.06円を突破し、8月17日午前高値で146.54円を付けて1月16日安値127.22円以降の高値を更新したが、昨年9月22日に24年ぶり市場介入の行われた時の高値145.89円を超えたことによる高値警戒感から上昇一服に入り、18日は前日まで6連騰で上昇していた米10年債利回りが小反落したことで利益確定売りが優勢となり19日未明には145円をいったん割り込んだ。

しかし週明けの21日は欧米の長期債利回りが揃って上昇したことでドルストレートでのドル強弱はユーロドルが上昇するなどまちまちとなったが、ドル円は米長期債利回りの一段高によりドル買い円売りが活発化して146円台を回復、深夜には146.39円を付けて8月17日高値に迫った。ユーロ円やポンド円等も急伸しており、円の独歩安の様相も見られる。市場はFRBによる追加利上げの可能性がぬぐえず、8月25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演がタカ派姿勢を確認するものになることを警戒しているが、ドル円としては8月17日午前高値からの調整安が落ち着き、19日の145円割れを押し目形成として一段高を伺うところと思われる。

【米10年債利回りは16年ぶり高水準、ダウは反落】

8月21日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.08%高の4.34%へ上昇、一時は4.35%を付けて昨年10月のピークを超えて2007年11月以来凡そ16年ぶり高水準に達した。8月10日から17日へ6連騰し、18日の小反落から一段高に入っており、利上げ長期化、利下げ時期の先送り、追加利上げの可能性が意識されている。
30年債利回りは先週末比0.07%高の4.45%で一時は4.47%を付けて12年ぶり高値水準に達した。
利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.06%高の5.01%となり、徐々に7月6日に付けたこの間のピークである5.12%へ迫ってきている印象だ。

一方でNYダウは先週末比36.97ドル安と下落した。8月15日から17日へ3日続落したところから18日は25.83ドル高と小反発したものの再び反落し、一時は34248.46ドルの安値を付けて昨年10月底以降の高値である8月1日高値35679.13ドル以降の安値を更新して下落基調から抜け出せずにいる。ナスダック総合指数は8月15日から18日までの4営業日続落に対する買い戻し優勢となり206.81ドル高と戻したが、欧米の長期債利回り上昇を踏まえると下げ一服のリバウンドに留まるのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は8月17日午前高値146.54円から調整局面に入り先週末の19日未明には144.93円まで下げたが、21日深夜への上昇で146円台を回復しており、19日未明安値を起点として新たな上昇期に入った印象だ。8月17日午前高値を基準として当面の高値形成期は24日午前にかけて想定されるが、8月17日高値を超える場合は上昇が勢い付く可能性もある。また8月25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演前に調整安が入ったとしても、議長講演を通過して一段高するようだと新たな上昇期に入って先高感がさらに増す可能性もある。弱気転換は8月19日未明安値144.93円割れからが目安となる。

60分足の一目均衡表では8月21日夜への上昇により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンに潜り込んで続落し始める場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月18日午後から19日未明への下落時に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから21日深夜に70ポイント到達へ上昇した。8月17日午前高値形成時の水準にはまだ距離があるので17日午前との弱気逆行で終わる可能性もあると注意するが、50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとみる。50ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.70円を下値支持線、146.54円を上値抵抗線とする。
(2)145.70円以上での推移中は上向きとし、8月17日高値146.54円超えからは147円を目指す上昇を想定する。146.70円以上は反落注意とするが、146円台を維持しての推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)145.70円割れからは弱気転換注意とし、その後に146円台回復へ戻す場合は上昇継続とするが、145.70円以下での推移が続く場合は145円台序盤(145.25円から145.00円)への下落を想定する。

【当面の主な予定】

8/22(火)
BRICS首脳会議(8/24まで、ヨハネスブルク)
14:00 (日) 日銀 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調済 (5月 91億ユーロ)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算 (6月 416万件、予想 415万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -3.3%、予想 -0.2%)
23:00 (米) 8月 リッチモンド連銀製造業指数 (7月 -9、予想 -10)
27:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント挨拶
28:30 (米) ボウマンFRB理事、グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会参加

8/23(水)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期小売売上高 前期比 (1-3月 -1.4%、予想 -0.2%)
16:30 (独) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 38.8、予想 38.6)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 52.3、予想 51.5)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 42.7、予想 42.7)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 50.9、予想 50.5)
17:30 (英) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 45.3、予想 45.0)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 51.5、予想 50.8)
22:45 (米) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 49.0、予想 48.9)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 52.3、予想 52.5)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数・年率換算 (6月 69.7万件、予想 70.7万件)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 -2.5%、予想 1.4%)

23:00 (欧) 8月 消費者信頼感・速報値 (7月 -15.1、予想 -14.5)
23:30 (欧) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省20年債入札
米共和党大統領選候補者討論会([ウィスコンシン州ミルウォーキー)


注:ポイント要約は編集部

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