8/17高値超えへ進めずに足踏み、週末のFRB議長講演待ちで慎重
〇ドル円、8/23早朝にかけては145円台後半で小動き
〇8/25ジャクソンホール会合でのFRB議長及びECB総裁講演を控え市場全般が慎重な動き
〇リッチモンド連銀総裁が追加利上げの可能性を示唆したことがドル高要因に
〇対して7月米中古住宅販売件数が2か月連続のマイナスになったことはドル安要因
〇S&Pグローバル・レーティングス、8/21にキーコープなど米中堅地銀5行の格付けを1段階引き下げ
〇米10年債利回り、8/22は4.37%まで高値を伸ばしてから失速し4.33%で終了、NYダウは続落
〇145.49以上での推移中は上昇余地あり、146.13超えからは146.40、146.50前後への上昇を想定
〇145.49割れからは145円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は21日深夜と22日午前に高値で146.39円を付けたものの年初来高値である8月17日午前高値146.54円超えへ進めず、欧米長期債利回りの低下局面で145.49円へ下落、米長期債利回りが反発したところでいったん146.13円まで戻したものの146円台を維持できず、23日早朝にかけては145円台後半で小動きとなっている。
リッチモンド連銀のバーキン総裁が米経済の再加速と追加利上げの可能性を示唆したことはドル高要因だったが、7月の米中古住宅販売件数が2か月連続のマイナスとなったことはドル安要因となった。欧米揃って10年債利回りは低下したが、独10年債利回りの低下により米独10年債利回り格差が昨年12月以来の水準に拡大したことでユーロドルが急落してポンドドルもつれ安したが、クロス円の下落がドル円の上値を抑えた印象もある。8月25日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演およびラガルドECB総裁講演を控えて市場全般が慎重な動きに入っている。
米不動産業者協会(NAR)による7月の中古住宅販売件数(年換算)は前月比2.2%減の407万戸となり、市場予想の415万戸を下回り2か月連続のマイナスとなった。前年同月比は16.6%減。販売価格中央値は前月比0.8%低下、前年比1.9%値上がりの40万6700ドルだった。
【リッチモンド連銀総裁、追加利上げの可能性示唆】
米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は8月22日に予想以上に好調な米小売売上高や消費者信頼感の上昇により、「米経済成長が再加速するシナリオが台頭している」、「インフレが高止まりし、経済が勢いを増す場合には追加利上げによる金融引き締めの根拠となる」と述べた。同総裁は9月会合については未定としたものの、「現在の政策金利の水準を踏まえれば10年債利回りが4%を超えることが過度に不適切とは思えない」として長期債利回り上昇を肯定する姿勢も示した。
【米銀の格下げ】
大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングスは8月21日にキーコープやコメリカ、バレー・ナショナル・バンコープ、アソシエイテッド・バンコープ、UMBフィナンシャル・コーポレーションをそれぞれ1段階格下げした。5行はいずれも総資産においては中堅銀行にあたる。
8月7日にムーディーズ・インベスターズ・サービスがM&Tバンクなど米中堅・中小銀行10行を格下げし、フィッチ・レーティングスは8月15日のCNBCインタビューで「米銀大手JPモルガン・チェースを含む約70行の信用格付けについて引き下げる可能性がある」と警告的な発言をしている。
【米10年債利回りは高値切り上げ後に反落、ダウは続落】
8月22日の米長期債利回りは10年債と30年債が低下したが2年債利回りは上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%低下の4.33%で終了した。8月10日から17日へ6連騰し、18日の小反落から21日は前日比0.08%高の上昇で高値で4.35%を付けて昨年10月のピークを超えて2007年11月以来凡そ16年ぶり高水準に達したが、22日は4.37%まで高値を伸ばしてから失速した。
30年債利回りは0.05%低下の4.40%で終了。21日は0.07%高の4.45%へ上昇して一時は4.47%を付けて12年ぶり高値水準に達したが、22日は一時4.48%へ続伸してから失速した。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.04%上昇の5.05%で終了、7月13日の4.61%を起点とした上昇を継続して7月6日に付けたこの間のピークである5.12%へ迫ってきている。
一方でNYダウは前日比174.86ドル安と下落した。8月15日から17日へ3日続落して18日に25.83ドル高と小反発したが勢いが続かず21日の36.97ドル安からの続落となった。米銀格下げや長期債利回り上昇基調を懸念して8月1日の年初来高値35679.13ドル以降の下落基調を続けている。ナスダック総合指数は21日の206.81ポイント高から22日も8.28ポイント高とわずかながら続伸した。7月19日の年初来高値を起点とした下落に対して売られ過ぎ警戒感からポジション調整的な買い戻しがやや優勢のようだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は8月19日未明の145円割れから反騰したが、21日深夜と22日午前の高値では17日午前高値超えへ進めずに一時145.50円を割り込むなど軟調な推移であり、目先は22日午前高値を起点として安値試しの時間帯に入っている印象だ。19日未明安値を基準とすれば目先の安値形成期は25日未明にかけて想定される。ただし、8月22日午前高値146.39円超えからは上昇再開として29日午前にかけての上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では8月22日夜の下落で遅行スパンが悪化したが、先行スパンからの転落は回避している。遅行スパン好転からは上昇再開とみるが、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。
60分足の相対力指数は8月22日夜に30ポイント台へ低下してからいったん50ポイントを超えたが再び失速している。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、60ポイント以下での推移中はまだ下落余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント弱を試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.49円を下値支持線、146.13円を上値抵抗線とする。
(2)145.49円以上での推移中は上昇余地ありとし、146.13円超えからは146.40円、次いで146.50円前後への上昇を想定する。146.50円前後は反落警戒とするが、146円台を維持しての推移なら24日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)145.49円割れからは145円前後への下落を想定する。145円以下は反騰注意とするが、145.49円を下回っての推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8/23(水)
16:30 (独) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 38.8、予想 38.7)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 52.3、予想 51.5)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 42.7、予想 42.6)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 50.9、予想 50.5)
17:30 (英) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 45.3、予想 45.0)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 51.5、予想 51.0)
22:45 (米) 8月 製造業PMI・速報値 (7月 49.0、予想 49.3)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI・速報値 (7月 52.3、予想 52.2)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数・年率換算 (6月 69.7万件、予想 70.4万件)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 -2.5%、予想 1.0%)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感・速報値 (7月 -15.1、予想 -14.3)
23:30 (欧) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省20年債入札
米共和党大統領選候補者討論会(ウィスコンシン州ミルウォーキー)
8/24(木)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 4.7%、予想 -4.0%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 171.6万人、予想 170.0万人)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、インタビュー
26:00 (米) 財務省30年インフレ連動債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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