『ドル円を追いかける動きが継続中。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、週後半にかけ一時5.43まで上昇
〇ドル円の円安、トルコ株の堅調、トルコ6月財政収支の黒字転換、財務相の前向き発言が背景
〇テクニカルには上方より一目均衡表の雲垂れ下り、売りシグナルも継続、上値余地は乏しいか
〇トルコ経済の先行き不透明感、インフレ再上昇懸念、大統領の政策変更リスク等も重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇8/24トルコ中銀会合に注目、市場予想は250bpの利上げ(17.5%→20.0%)
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.50
今週のレビュー(8/14−8/18)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.37円で寄り付いたあと、早々に週間安値5.30円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)対主要通貨での円売り圧力(ドル円が昨年11/10以来となる高値146.57へ急上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)トルコ株の堅調推移、(3)トルコ6月財政収支(結果485.7億リラ黒字、前回2196億リラ赤字)の黒字転換、(4)トルコのシムシェク財務相による「2023年のトルコ経済は4.5%前後の成長を予測している」「選挙後の政治的不確実性の低下と金融・財政政策における措置は、トルコ経済への期待に好影響を与え始めている」「トルコのリスクプレミアムは700ベーシスポイントから400ベーシスポイント程度まで低下している」との前向きな発言が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値5.43円まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)ドル円相場の急反落(トルコリラ円連れ安)や、(6)世界的なリスクオフ到来(中国不動産大手の中国恒大集団がニューヨークで連邦破産法15条の適用を申請)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/19午前3時30分現在)では、5.35円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(8/21−8/25)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、約1カ月半ぶり高値となる5.43円(7/11以来の高値圏)まで上昇しました。但し、上方より一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(一巡後の反落リスクに要警戒)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(直近で発表されたトルコ7月製造業PMIは7ヵ月ぶりに好不況の分岐点となる50を下回る冴えない結果)や、(2)トルコ国内におけるインフレ率の再上昇懸念(実質金利低下に伴うリラ売り圧力)、(3)エルドアン大統領の潜在的な政治リスク(トルコ政府・トルコ中銀が進める正常化路線がエルドアン氏の一言で覆る危険性)、(4)リラ売り抑制手段の手控え観測(トルコ政府・トルコ中銀は資本規制や為替介入から距離を置くスタンス)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/23に予定されているトルコ8月消費者信頼感指数や、8/24のトルコ中銀金融政策決定会合、8/25のトルコ8月製造業信頼感指数、設備稼働率などに注目が集まります。特にトルコ中銀会合への注目度が高く、市場予想では250bpの利上げ(17.5%→20.0%)が見込まれています。利上げ幅が市場予想に達さない場合には、失望感からトルコリラ売りが再開する可能性もあるため、来週は週後半にかけてのリラ売り再開に警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.50
トルコリラ円日足
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