トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服に合わせて反落(23/8/18)

トルコリラ円の8月17日は概ね5.41円から5.36円の取引レンジ、18日早朝の終値は5.37円で前日終値の5.40円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服に合わせて反落(23/8/18)

トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服に合わせて反落

〇トルコリラ円、ドル円が年初来高値を更新した8/17午前に5.41へ上昇
〇8/17夜の円高局面で5.37へ下げたのち一旦5.40まで戻すも、8/18午前にかけての円高で5.36へ一段安
〇対ドル、8/17は概ね27.21から26.85の取引レンジ、最安値近辺での推移続く
〇8/17深夜からドル高が再燃しており、ドル/トルコリラにおけるドル高圧力も継続している様子
〇週次の外貨準備高は増加傾向を維持しているものの、実質的にはマイナス状態
〇5.39を下回るうちは下向きとし、5.35割れからは5.33、5.30を順次試す下落を想定する
〇5.41超えからは新たな上昇期入りとみて、5.43、5.45を順次試して行く上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月17日は概ね5.41円から5.36円の取引レンジ、18日早朝の終値は5.37円で前日終値の5.40円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが史上最安値近辺での膠着状態に入っている中、トルコリラ円の目先はドル円を追いかける展開となっている。
ドル円は8月17日午前に146.54円へ上昇して昨年9月22日に市場介入で一時的な急落に見舞われた時の高値145.89円を超えて2022年11月以来の146円台到達となったが、市場介入への警戒感と国内10年債利回りの上昇に圧されて夜に145.61円へ下落し、米長期債利回り上昇により18日未明に146.29円まで戻したもののその後の米長期債利回り低下で反落となり18日午前序盤には17日夜安値を割り込んでいる。

トルコリラ円はドル円が年初来高値を更新した局面で5.41円へ上昇し、17日夜の円高局面で5.37円へ下げてからいったん5.40円まで戻したものの18日午前にかけての円高により5.36円へ一段安している。
8月7日以降はドル円の上昇基調に乗じて高値を切り上げ、ドル/トルコリラにおける一時的な安値成立を反映して下落したところも買われて底上げしてきたが、18日午前への下落により底上げ基調が崩れつつあるため、ドル円の調整安が長引くようだとトルコリラ円もいったん仕切り直しの下落期として安値試しへ進みやすいところと注意したい。

【対ドルでは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの8月17日は概ね27.21リラから26.85リラの取引レンジ、18日早朝の終値は27.03リラで前日終値の27.04リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。8月18日午前は27.19リラから27.00リラのレンジで推移している。
5月後半からのリラ暴落商状にやや落ち着きがみられ、取引時間中の史上最安値は8月4日安値27.34リラ以降に更新していないものの、繰り返し27リラ台前半を試し、終値ベースでは14日に27.01リラを付けて27リラ台とし、15日に27.04リラへ最安値を更新し、16日終値も27.04リラと同値となり、17日も最安値近辺にとどまっている。
米長期債利回りの上昇基調が続いており、17日夜にかけては一時的にドル高が緩んでユーロ等が上昇したものの深夜からドル高が再燃しており、ドル/トルコリラにおけるドル高圧力も継続しているようだ。

【シムシェク財務相は経成長に自信を示す】

8月15日にトルコのシムシェク財務相はトゥルキエ銀行協会の総会において、「我々が講じた(経済改革)措置はトルコ経済への期待にプラスの影響を与え始めている」と述べ、「トルコは2003年から 2022年の間に実質平均5.4%成長を実現しており、2023年についても4.5%と予想している」と改革の継続と経済成長への自信を示した。
財務相は「我々の政策原則は透明性、一貫性、予測可能性、そして国際規範の遵守だ」とし、「企業活動と為替市場はオープンなルールに基づいて前進する」としてエルドアン大統領再選前の政策姿勢からの転換をアピールした。また「国際信用格付け機関がトルコ経済についてより楽観的な見通しを明らかにし始めている」として大手格付け会社のムーディーズが今週初めにトルコの信用格付けを引き上げる見通しを示したことを歓迎した。
市場はトルコ中銀のエルカン新総裁とシムシェク財務相の手腕に期待しているものの、まだしばらく高インフレと増税ラッシュの中でリラ安基調は続くとの懸念を解消できないためにトルコリラの史上最安値を繰り返し試している状況だ。

【週次の外貨準備高は増加傾向を維持】

8月17日夜にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は8月11日時点のグロスが751.0億ドルとなり8月4日時点の742.3億ドルから増加、ネットでは157.5億ドルとなり8月4日時点の157.2億ドルからわずかに増加した。
ネットの外貨準備高は6月序盤にマイナス57億ドルとなり2002年以来のマイナス勘定に陥ったが、エルカン新総裁就任から外貨準備高を取り崩しての為替市場介入を止めて準備高増加を目指す政策転換をおこなったために徐々に改善しているが、前総裁時代からの為替市場におけるスワップ残が433億ドルあり、それを加味すれば実質的なマイナス状態にある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月7日午前安値をサイクルボトムとして9日から10日午後にかけての間への上昇を想定し、8月11日午前に一時反落してから12日早朝へ一段高したために14日午前時点では11日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして16日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定した。
8月17日午前へ続伸したものの18日午前へ反落しているため、17日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日午後から23日午前にかけての間への下落を想定する。
8月18日の上値抵抗線は5.40円手前までとするが、17日午前高値を超える場合は新たな強気サイクル入りとして22日午前から24日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月18日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月17日午前に75ポイントまで上昇してから30ポイント台へ反落しているので、50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、下げ足が速まる場合は20ポイント前後を試すとみる。強気転換には55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持して指数の高値が切り上がるような上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.35円を下値支持線、5.41円を上値抵抗線とする。
(2)5.39円を下回るうちは下向きとし、5.35円割れからは5.33円、5.30円を順次試す下落を想定する。5.32円以下は反騰注意とするが、5.38円以下での推移か、直前安値から0.05円を超える反騰がみられないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.39円から5.41円にかけての水準は戻り売り有利とするが、5.41円超えからは新たな上昇期入りとみて5.43円、5.45円を順次試して行く上昇を想定し、週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月23日
 16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 80.1)
8月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)
 20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 グロス (8月11日時点 751.0億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 8月18日時点 ネット (8月11日時点 157.5億ドル)
8月25日
 16:00 8月 製造業信頼感指数 (7月 106.8)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 77.1%)
 17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 11.35%) 



注:ポイント要約は編集部

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