ドル円見通し 年初来高値を付けた後は上昇一服感、146円挟んで乱高下
〇ドル円、8/17未明公開のFOMC議事要旨のタカ派的内容を受け午前146.54へ上昇、1/16以降の高値更新
〇その後、8/17夜145.61まで下げたのち8/18未明146.29まで戻すも、8/18午前に8/17夜安値を割り込む
〇市場は先高感を持ちながら、当局の円安許容上限を試しつつ介入警戒感で神経質な展開に入っている様子
〇昨日発表の米経済指標に対する市場反応は限定的
〇米10年債利回りは一時4.328%を付けて昨年10月のピークに迫る連騰、ダウ・ナスダックは3営業日続落
〇146円以下での推移中は下向きとし、145.35割れからは145.00前後を試す下落を想定する
〇146.30超えからは上昇再開に入ると仮定し、146.54超えからは147円を目指す上昇を想定する
【概況】
ドル円は8月16日夜の米経済指標が好調で17日未明に公開されたFOMC議事録要旨がタカ派的内容だったことで17日午前には146.54円へ上昇して1月16日安値127.22円以降の高値を更新、昨年9月22日の市場介入時高値145.89円を超えたが、その後は介入警戒感と国内10年債利回り上昇により利益確定売りに圧され、17日夜に145.61円まで下げたところから18日未明に146.29円まで戻したものの18日午前には17日夜安値を割り込んでいる。
8月17日夜にかけてはドル高が緩んでユーロやポンドが上昇したことや、国内新発10年債利回りが一時0.655%へ上昇したことにより円高優勢となり、米長期債利回りが上昇した局面で18日未明に146円台回復へ戻したものの米長期債利回りが反落に転じると支えを失って再び円高優勢となっている。
8月17日にかけての上昇は円の独歩安や円安が突出して加速している状況ではないため、政府・日銀も市場介入の正当性に欠くところであり、昨年9月22日の大規模介入時も当日高値から安値まで5円を超える急落が発生したものの翌日から上昇再開に入って10月21日高値へ一段高した経緯もあり、市場は先高感を持ちながら当局による円安の許容上限を試しつつ介入警戒感で神経質な展開に入っているようだ。
本日は米国の主要景気指標の発表がなく手掛かりに欠けるところだが、目先は146円台到達による上昇一服でやや下押ししやすい状況と思われる。
【17日夜の米経済指標に対する市場反応は限定的】
フィラデルフィア連銀による8月の製造業景況指数はプラス12.0となり、市場予想のマイナス10.0および7月のマイナス13.5を上回って2か月連続の上昇となった。
米労働省による新規失業保険申請件数は8月12日までの週間で前週比1万1000件減少の23万9000件となり、3週ぶりに改善した。失業保険受給者数は8月5日までの週間で171万6000人で前週から3万2000人増加して市場予想の170万人を上回った。
米コンファレンス・ボード(CB)による7月景気先行指数は前月比0.4%低下の105.8となり、市場予想と一致して6月の0.7%低下から改善した。同指数は1年4か月連続の低下であり、CB担当者は景気見通しの不透明さを示しているとして「今年第4四半期から来年第1四半期にかけて軽度の景気後退に陥ると予想している」と述べている。
失業保険申請件数改善発表直後にユーロなどが戻り高値を切り上げたがその後は失速しており、米経済指標が良好ならドル高反応となる状況は継続していると思われる。
【米10年債利回りは昨年10月のピークに迫る連騰、ダウは3日続落】
8月17日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%上昇の4.28%となり、一時4.328%を付けて昨年10月に付けた2021年以降のピークである4.338%に迫ったが、終盤は失速して上昇幅を削った。30年債利回りは前日比0.04%上昇の4.39%となり、一時は4.43%をつけて2011年以降の最高水準を更新した。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.04%低下の4.93%となった。一時5.00%を付けたものの失速している。
8月17日未明のFOMC議事要旨においてメンバーの大半がインフレの上ぶれリスクを懸念して追加利上げ支持姿勢を示していたことにより利上げ状態の長期化への懸念が強まっているが、利上げのピークも近いとの見方から2年債利回りは10年債等と比較して上昇力が鈍っている印象だ。
一方でNYダウは前日比290.91ドル安と下落して3営業日続落となり、8月1日高値を起点とした下落基調を続けた。ナスダック総合指数も157.70ポイント安で3営業日続落となり年初からの上昇が7月19日高値で一巡して下落期に入っている印象だ。利下げ再開時期の先送り感と米銀格下げへの懸念で金融株が売られているが、長期金利上昇を反映して米住宅ローン金利は30年固定金利で7.09%を付けて2002年4月以来の高水準に達したことも先行きへの不安をもたらしているようだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は8月7日午前安値141.51円を起点とした上昇基調を継続してきたが、8月17日午前高値146.54円の後は伸びず、17日夜安値からいったん戻して18日午前に17日夜安値を割り込んでいるため、17日午前高値を目先のピークとして調整期に入っている印象だ。15日深夜安値を基準として安値形成期は22日深夜にかけて想定するが、17日午前高値超えからは新たな上昇期入りとして24日午前にかけての上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では8月18日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し始めているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月17日午前に80ポイントへ迫ってから30ポイント台へ反落し、いったん60ポイントまで戻してから再び失速しているので、60ポイント以下での推移中は下向きとし20ポイント台への低下余地ありとみるが、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台回復を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.35円を下値支持線、146.30円を上値抵抗線とする。
(2)146円以下での推移か一時的に146円を上回っても維持できないうちは下向きとし、145.35円割れからは145.00円前後を試す下落を想定する。145円以下は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は144.70円台へ下値目途を引き下げる。146円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰へ進めないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146.30円超えからは上昇再開に入ると仮定し、146.54円超えからは147円を目指す上昇を想定する。147円手前は反落警戒とするが、146.30円を超えた後も146円台を維持するなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8/18(金)
日米韓首脳会談(キャンプデービッド)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.7%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -1.0%、予想 -2.1%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.8%、予想 -0.7%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (6月 -0.9%、予想 -2.2%)
18:00 (欧) 7月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (6月 5.3%、予想 5.3%)
18:00 (欧) 7月 コアHICP・改定値 前年同月比 (6月 5.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.2%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 0.1%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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