ドル円の騰落を追いかけているが5.40円に抵抗感
〇トルコ円はドル円上昇に支えられ底上げ基調継続、対ドルは8/15終値ベース27.04リラ、最安値更新
〇ドル円が本邦当局介入により昨年9/22のように5円規模の反落してもバーゲンハント買い見込まれる
〇トルコリラ円も高値7.95から安値7.64へ0.31下落後は下げ渋り、10/21高値8.17へ一段高
〇8/15発表のトルコ6月財政収支は485.7億リラの黒字、過去最大の月次赤字となった前月から改善
〇新財務相と中銀新総裁による金融政策正常化は評価されるも、増税ラッシュでの先行き不安付きまとう
〇5.36上回るうちは上昇余地あり、5.40超えからは5.42前後を試す上昇想定
〇5.36割れからは5.33前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の8月15日は概ね5.39円から5.36円の取引レンジ、16日早朝の終値は5.38円で前日終値の5.37円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ安は継続しているものの5月末から7月半ばにかけての暴落商状がやや落ち着いているため、トルコリラ円はドル円の騰落を見ながら動いているところだ。
ドル円は8月15日夕刻に145.86円を付けて年初来高値を更新したが、昨年9月22日の政府・日銀介入時高値145.89円に迫ったことによる高値警戒感で上昇一服感がみられ、昨夜は米銀格下げ見通し等により深夜には145.09円まで下げたが145円台を維持してしっかりしている。
トルコリラ円は7月18日安値5.08円まで史上最安値を更新した後はリラ暴落がやや落ち着いたことによりドル円の上昇に支えられており、7月28日に日銀金融政策決定会合後の乱高下で5.12円へ反落したところをダブル底とした上昇基調を続けている。
ドル/トルコリラにおける安値成立を反映して一時的な安値を付ける場面が再三見られるものの8月7日午前安値を起点として底上げ基調を継続しており、8月12日早朝に5.40円を付けた後は高値更新へ進めずにいるものの、15日深夜にかけてドル円が反落した局面で5.36円へ下げたところを買われてしっかりしている。
【ドル円とトルコリラ円は昨年9月22日の市場介入での急落を翌日から切り返す】
トルコリラ円はドル/トルコリラにおける急変に注意しつつ、ドル円の動向を追いかける展開を続けると思われる。
ドル円が昨年9月22日の市場介入時高値を超えて146円台へ上昇する場合、強い口先介入があったとしても実弾介入がなければ市場は挑発的に円安を追求すると思われるので一時的な反落は押し目買いされやすく、実弾介入の場合には昨年9月22日のように直前高値から5円規模の反落が入ったとしてもバーゲンハント買いされるのではないかと思われる。
トルコリラ円は昨年9月22日の乱高下では高値7.95円から安値7.64円へ0.31円の下落となったが、その後は下げ渋って10月21日高値8.17円へ一段高している。
【対ドルでは終値ベースの最安値更新が続く】
ドル/トルコリラの8月15日は概ね27.07リラから26.76リラの取引レンジ、16日早朝の終値は27.04リラで前日終値の27.01リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落により大統領選直前の5月26日終値19.93リラから6月13日安値23.77リラへ暴落し、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15.0%への利上げを不足として6月28日安値26.19リラへ暴落し、その後は暴落商状がやや落ち着いているものの8月4日には取引時間中の史上最安値を27.34リラへ切り下げ、終値ベースでは8月9日に26.99リラ、8月10日に27.00リラ、14日に27.01リラ、15日も27.04リラと最安値更新を繰り返している。
エルドアン大統領再選後の組閣において起用されたシムシェク財務相とトルコ中銀のエルカン新総裁による金融政策正常化を市場は評価しており、トルコ中銀がインフレ抑制のための利上げ継続姿勢を強調し、外貨準備高を取り崩して市場介入を繰り返してきた愚行をやめて外貨準備高が増加に転じていること、財務相を中心とした財政健全化のための増税がリラ暴落商状を落ち着かせているといえるが、これまでの施策ではまだ不十分であり、中銀による市場介入をやめたことは市場原理に基づいてリラ安を継続させやすく、増税ラッシュによる景気の落ち込みへの不安も付きまとうところだ。
【財政収支は一時改善】
8月15日に発表されたトルコの6月財政収支は485.7億リラの黒字となった。5月は2196億リラの赤字となり今年2月の1706億リラを超えて過去最大の月次赤字となったが、6月は観光収入の改善により経常収支が2021年10月以来の黒字となるなど、収支の改善がみられるところだ。
月次の財政収支は短期的な黒字を計上してから過去最大の赤字を更新するような悪化を繰り返しており、月次変動幅は2020年以降に急激に拡大している。
7月に増税ラッシュが発生し、付加価値税や賭博税、携帯電話の海外からの持ち込み登録料の引き上げ、ガソリン税などの引上げも相次いでおり、7月以降の財政収支が改善傾向を継続するようだと市場も安心するが、増税が財政収支改善に寄与しないようだと先行き不安がかえって拡大することにもなりかねない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月7日午前安値をサイクルボトムとして9日から10日午後にかけての間への上昇を想定してきたが、8月11日午前に一時反落してから12日早朝へ一段高したために、14日午前時点では11日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして16日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定した。
8月15日夜に反落したものの5.36円へ下げてから持ち直しているのでまだ上昇余地ありとするが、15日夜安値5.36円割れからは弱気サイクル入りとして16日の日中から18日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12日早朝高値から伸び悩みのために遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンに潜り込むところからは下落期入りを警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月14日夜以降の高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから一時40ポイント台序盤へ低下したが、その後に50ポイント台を回復しているのでまだ上昇余地ありとするが、次に45ポイントを割り込むところからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.36円を下値支持線、5.40円を上値抵抗線とする。
(2)5.36円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.40円超えからは5.42円前後を試す上昇を想定する。5.42円以上は反落注意とするが、5.36円を上回っての推移なら17日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.36円割れからは5.33前後への下落を想定する。5.33円以下は反発注意とするが、5.36円を割り込んでの推移なら17日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月17日
20:30 週次 外貨準備高 8月11日時点 グロス (8月4日時点 742.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8月11日時点 ネット (8月4日時点 157.2億ドル)
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 80.1)
8月24日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)
注:ポイント要約は編集部
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