帰ってきた「アメリカ人」
トランプ氏勝利翌日の市場でドル円、株は全戻ししてさらに上抜ける
昨晩の海外市場ではドル円の買戻しが進み、トランプ優勢が伝えられる前の水準を上抜けて105円台後半で東京に戻ってきました。
この流れに東京では9時過ぎに105.95のセッション高値をつけ、その後はやや売りに押される局面もあったものの、ほぼ105円台を維持しています。
また日経平均株価は1,092円高と今年一番の上げ幅となり17,344円で終了、こちらも月曜火曜の終値を上回る水準です。
トランプ氏の今後の経済政策依然不透明
衝撃のトランプ大統領誕生から約一日が経過した現在ですが、当選後のトランプ氏の情報が少ないこともあり、未だに今後のイメージがうまくまとまらず、この先政治や経済の枠組みがどう変わり、何が起きるのかのシナリオは描きにくい状況です。
さらに困惑するのが昨晩からの市場の動き、売りが中途半端だった上に全戻ししてさらに上に突き抜けたドル円や、同じく急落分を取り戻し、上抜けた日経平均等に合理的、整合的な説明が思いつきません。
トランプ氏当選後の各通貨のドルへの反応はばらばら
ちなみに、昨日来の各通貨の対ドルの反応はばらばらで、円のように
「一旦急騰してその後下げに転じてさらに投票前の水準以下となった」のは、ユーロくらいのもので、
「一旦急騰してその後もとの水準に売られた後やや買い戻されて中間くらいの水準で落ち着いた」→ポンド
「一旦急落してその後少し買い戻されてはいるものの元の水準まで戻っていない」→南アフリカランド、トルコリラ等の新興国通貨、メキシコペソなどもこのパターン。
「一旦急落して少し戻したけれどその後もさらにずるずると売られて安値を更新している」→ニュージーランドドル
と完全にまちまちです。
このような状況ですので、対円でクロス取引をされていた方は全く通貨ごとに違う動き方をしてさらに困惑されたことでしょう。
短期の行って来いはシステム売買のなせる業か?
それにしても円や日本株の動きが言われているようにトランプ氏の選挙運動中の一貫性に乏しい経済政策を信じ、景気浮揚を期待しての結果であるとするのであれば、
中国を為替操作国認定することを公言し、対円でもドル高を決して許容しようとしない姿勢を市場はなぜ無視するのか?
そもそも、クリントン氏のメール問題が再捜査されるだけであれほどリスクオフに走った為替相場のトランプリスクへの危機感・不透明感は演説一回で本当に解消したのか??
仮に最終的には経済の波及効果等でそういうことになるのだとしても、政策の詳細も明らかにならない現在、その判断がなぜ一日以内に確信を持ってできてしまうのか???
それらに対する回答としては、選挙や今後の政策とは無関係のシステム売買しか思いつきません。昨日の円や、日本株の相場の動きは、売っていても買っていても損失の出やすいパターンでした。そんな中でブレグジット投票時の為替や株の動き、先日のポンド急落を人工知能でメキメキ学んだシステム売買のプログラムが、雑音に惑わされることなく冷静に売買ポイントを判断して利益を上げたというあたりが正解ではないでしょうか?
あの「アメリカ人」が帰ってきたのか
ところで、今後のアメリカについて今のところひとつだけなんとなく漠然と思い浮かぶイメージがあります。
昔90年代より少し前のころ、まだ日本がNo.1と信じていた時代にわれわれ日本人が持っていて、その後日本の衰亡とともに否応なく修正を迫られたイメージとしての「アメリカ人」。
粗野で繊細さと知性に欠けて、そのくせ力だけはあって強引に物事を自分のいいように進める迷惑な「アメリカ人」。
彼らがついに帰ってきたのではないかと。
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