トルコリラ円見通し ドル円の続伸で10日朝に5.35円を超える、今夜の米CPIからの変動に注意(23/8/10)

トルコリラ円の8月9日は概ね5.33円から5.24円の取引レンジ、10日早朝の終値は5.32円で前日終値の5.31円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の続伸で10日朝に5.35円を超える、今夜の米CPIからの変動に注意(23/8/10)

ドル円の続伸で10日朝に5.35円を超える、今夜の米CPIからの変動に注意

〇トルコ円、目先はドル円を追いかける展開、8/10早朝に5.33、午前序盤は5.36に高値切り上げる
〇対ドル、徐々に日々の取引中心値と終値が切り下がる、終値での1ドル27リラ台も間近に
〇今夜米CPI発表からドル円が一段高ならトルコリラ円はダブル底からの反騰継続へ
〇8/10トルコ鉱工業生産、8/11経常収支発表に注目、悪化感続けば市場は積極的なリラ買い控えるか
〇8/24トルコ中銀の金融政策委員会、3会合連続の利上げが行われる見通し
〇5.36超えからは5.40を目指す上昇を想定
〇5.28割れから続落の場合は下向きとして5.25試しとする

【概況】

トルコリラ円の8月9日は概ね5.33円から5.24円の取引レンジ、10日早朝の終値は5.32円で前日終値の5.31円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ安速度がやや落ち着く中でトルコリラ円の目先はドル円を追いかける展開だが、ドル円は8月3日高値143.88円から7日午前安値141.51円まで下げたところから持ち直しに入っており、10日早朝には143.70円台へ上昇して3日高値に迫っている。
トルコリラ円は8月4日夜の米雇用統計後の円高により5.24円へ下落し、8月7日午前にはドル/トルコリラでの安値波乱を反映して5.20円まで下げる場面もみられたが、その後はドル円の反騰に合わせて持ち直しを続けており、9日早朝には5.32円まで戻り高値を切り上げた。9日午前にもドル/トルコリラにおける安値成立を反映して5.24円まで一時反落したところも買われて10日早朝には5.33円へ上昇、10日午前序盤には5.36円までさらに高値を切り上げている。

【米CPI発表からドル円が一段高ならトルコリラ円はダブル底からの反騰継続へ】

今夜の米CPIに市場の注目が集まっている。米FRBは7月FOMCにおいて0.25%利上げを決定した上で今後は追加利上げも利上げ見送りもあり得るとして指標次第の姿勢を示したが、今週に入ってからはボウマンFRB理事が追加利上げ支持姿勢を示す一方でNY連銀のウィリアムズ総裁が2024年の利下げに言及、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が当面の利上げ停止を支持する姿勢を示すなど、追加利上げへ進むのか現状維持で様子見に入るのか、FRB関係者の姿勢にばらつきがみられる。
ドル円は米CPI通過後も上昇基調が続くとの見方を優勢として8月3日高値に迫っているところだが、8月3日高値を超えればダブルトップ破りによる一段高が勢いを増し、6月30日高値145.06円超えを試す流れへ進む可能性がある。しかしCPIが予想を下回る鈍化となれば米銀格下げに対する配慮も含めて利上げ停止へ進む可能性が高まるとしてドル円がダブルトップ形成から下落に転じる可能性もある。

トルコリラ円としてはドル円が一段高へ進めばその流れを追いかけて7月18日と7月28日の両安値をダブルボトムとした上昇の継続で5.50円を目指す可能性が開けると思われるが、ドル円がダブルトップ形成から下落に転じる場合は再び7月18日の史上最安値を試し、あるいは底割れしてゆく可能性が高まると思われる。

【対ドルでは終値ベースでの最安値水準】

ドル/トルコリラの8月9日は概ね27.67リラから26.74リラの取引レンジ、10日早朝の終値は26.99リラで前日終値の26.98リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
5月末のエルドアン大統領再選とトルコ中銀による利上げ幅を不服としたリラ暴落はやや減速しているもののリラ安基調は継続している。7月20日のトルコ中銀による追加利上げの後も徐々に日々の取引中心値と終値が切り下がっており、一時的なリラ急落水準での安値成立により8月1日に27.19リラ、8月2日に27.24リラ、8月4日に27.34リラへ史上最安値を切り下げてきた。終値ベースでは7月21日と8月3日および8月7日の26.97リラに対して8日終値を26.97リラとして最安値を更新したが、9日も26.99リラへ最安値を更新しており、終値での1ドル27リラ台も間近となっている。

【トルコ経済指標の悪化感続くか、10日の鉱工業生産、11日の経常収支に注目】

トルコ中銀の金融政策委員会は8月24日であり、エルカン総裁発言を踏まえれば3会合連続の利上げが行われる見通しだが、それまではトルコ経済指標の良し悪しを見ながら最安値近辺での推移を続けつつ、一時的な安値成立での取引時間中の史上最安値更新や終値ベースでの最安値更新を試しやすい状況と思われる。
8月10日は夕刻に6月のトルコ鉱工業生産の発表があり、5月は前月比は1.1%増、前年比は0.2%減と低調だったが、6月も前月比と前年比がともに5月よりも低調となるのではないかとみられている。
7月のトルコCPIが再上昇したこと、リラ安の継続、インフレ対策での金融引き締めと最低賃金引上げ、財政悪化対策での増税ラッシュが企業コストを上昇させて製造業の伸びを抑える状況がまだしばらくは続くと思われる。
8月11日に発表予定の6月経常収支は5月の赤字79.33億ドルから黒字4.26億ドルへ改善すると予想されているが、6月の貿易収支改善を反映しているものの、7月の貿易収支速報では貿易赤字が6月の51.6億ドルから123.9億ドルへと悪化しているため7月の経常収支は再び大幅な赤字となる見込みであり、市場も積極的なリラ買いには向かえないと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月3日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、8月7日午前へ下落したところから切り返しに入り8月8日午前に8月4日夜高値を超えたため、8日午前時点では7日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし9日から10日午後にかけての間への上昇を想定した。
8月10日午前に一段高しているため高値形成期の延長入りによる上昇余地があるとみる。また今夜の米CPI発表前にいったん下げてから一段高へ進んで新たな強気サイクル入りとなる可能性があり、その際は来週中盤への上昇継続と考える。ただし、5.25円割れからは弱気サイクル入りとし、米CPIを通過して強気転換できない場合は10日深夜から15日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月7日午前からの上昇基調を継続しているので遅行スパンは概ね好転を維持し、9日午前の一時的な下落時も先行スパン下限に支えられてその後の上昇で先行スパンを上抜き返している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はその後の下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月8日昼から10日午前への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるものの、9日午前の一時的反落を切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、次に40ポイントを割り込むところからは下落期入りとみて30ポイント以下への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.28円を下値支持線、5.36円を上値抵抗線とする。
(2)5.28円を上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、5.36円超えからは5.40円を目指す上昇を想定する。5.38円以上は反落注意とするが、5.30円を上回っての推移なら11日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.28円割れから続落の場合は下向きとして5.25円試しとする。5.25円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、5.25円割れから続落の場合は5.20円を目指す下落期入りとみて11日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 9.5%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.1%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -0.2%)
 20:00 週次 外貨準備高 8月4日時点 グロス (7月28日時点 723.5億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 8月4日時点 ネット (7月28日時点 108.9億ドル)
8月11日
 16:00 6月 経常収支 (5月 -79.33億ドル)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 2.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 28.4%)
8月15日
 17:00 7月 財政収支 (6月 -2196億リラ)

8月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)


注:ポイント要約は編集部

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