トルコリラ円見通し ドル円を追いかけて9日早朝へ上昇するも9日午前は反落(23/8/9)

トルコリラ円の8月8日は概ね5.32円から5.25円の取引レンジ、9日早朝の終値は5.31円で前日終値の5.28円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円を追いかけて9日早朝へ上昇するも9日午前は反落(23/8/9)

ドル円を追いかけて9日早朝へ上昇するも9日午前は反落

〇トルコ円、8/9早朝5.32まで戻り高値を切り上げるも8/9午前5.27まで一時反落、上値は重い
〇中国7月輸出入前年比大幅低下、伊銀行への課税強化、米銀格下げ等、市場のリスク回避感高まりが背景
〇8/10米CPI発表を控え、目先は8/7からの上昇一服でやや下げやすいところか
〇対ドル、終値ベースで26.98リラとして最安値を更新
〇利上げペースの鈍化やリラ安、最低賃金引上げによる7月トルコCPI再加速等でリラ安基調継続
〇5.28を割り込んでも切り返すうちは上昇余地あり、5.32超えからは5.34前後への上昇を想定
〇5.28以下での推移中は下向きとし、5.26割れからは5.23前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の8月8日は概ね5.32円から5.25円の取引レンジ、9日早朝の終値は5.31円で前日終値の5.28円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラが取引時間中の最安値を繰り返し試しつつも5月末から7月中盤にかけての暴落時と比較すれば下落速度が緩やかで落ち着いているため、7月後半からのトルコリラ円はドル円の騰落を追いかける展開を続けている。
ドル円は8月3日午後高値で143.88円を付けたところから下落に転じて8月4日夜の米7月雇用統計発表からのドル安により8月7日午前に141.51円まで下げたが、米雇用統計後のドル売りを消化して買い戻し優勢となり、8月8日午後には143.43円へ上昇し、その後の143円割れを買われつつ9日未明には143.48円までわずかに高値を切り上げたが、欧米株安によるリスク回避を反映した株売り・債券買いによる米長期債利回り低下もあり上昇の勢いは鈍く、8月3日高値には届かずにいる。

トルコリラ円は7月18日安値5.08円と7月28日安値5.11円をダブル底として持ち直しに入り、4日夜の米雇用統計前に5.29円まで戻していたが、米雇用統計後の円高により5.24円へ下落し、8月7日午前にはドル/トルコリラでの安値波乱を反映して5.20円まで下げる場面がみられたが、その後はドル円の反騰に合わせて持ち直し、8日午後に5.31円を付けて9日早朝には5.32円まで戻り高値を切り上げた。しかし、9日午前に5.27円まで一時反落するなど上値の重さも見られる。
中国の7月輸出入が前年比で大幅低下したこと、イタリアの銀行への課税強化、ムーディーズによる米銀格下げ等が金融市場全般のリスク回避感を高めていることと、8月10日の米CPI発表を控えていることもあり、目先は8月7日からの上昇一服でやや下げやすいところかもしれない。

【対ドルでは終値ベースでの最安値更新】

ドル/トルコリラの8月8日は概ね27.19リラから26.75リラの取引レンジ、9日早朝の終値は26.98リラで前日終値の26.97リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
7月20日のトルコ中銀による追加利上げ以降はリラの暴落商状がやや落ち着いているものの、一時的なリラ急落水準での安値成立が続いており、8月1日に27.19リラを付けてそれまでの取引時間中最安値だった7月19日安値27.16リラを割り込み、8月2日に27.24リラ、8月4日に27.34リラへ史上最安値を切り下げている。8月8日は取引時間中の最安値更新はなかったものの、終値ベースでは7月21日と8月3日および8月7日の26.97リラに対して8日は26.98リラとして最安値を更新している。
トルコ中銀がインフレ抑制のための利上げを続けていることと財務省が財政改革のための増税を行い景気を抑制していることで金融・経済政策の正常化がアピールされているものの、利上げペースが後手に回っていることとリラ安と最低賃金引上げにより7月のトルコCPIが再び加速していること等がリラ安基調を継続させている。

【リスク回避感の高まりと欧米長期債利回り低下でドル円の上昇が抑制される可能性に注意】

トルコリラ円は5月28日のエルドアン大統領再選による先行き不安、6月22日のトルコ中銀による8.5%から15.0%への利上げを不服としたリラ売り、7月の増税ラッシュによる景気減速懸念、構造的な貿易赤字と経常赤字および財政収支の悪化、対外債務の増大、経済指標の鈍化等により7月18日安値で5.08円へ史上最安値を更新し、いったん戻したところから7月28日の日銀金融政策を巡るドル円の波乱時に5.11円まで下げたものの底割れを回避した。
ドル/トルコリラの動きがやや鈍る中でトルコリラ円はドル円を追いかける展開で推移しているものの、ドル高リラ安基調が継続していることでドル円と比較すれば戻りの勢いは鈍い。
8月8日は米銀の格下げ、中国貿易統計が冴えなかったこと等による欧米株安で欧米揃っての長期債利回り低下となったが、株売り債券買いの動きが続き、米国のインフレ鈍化傾向が顕著になれば、9月FOMCでの利上げ見送りと年内の利上げ停止の可能性が高まり、米銀破綻不安が再燃するようだと年内の利下げはないとしてきたFRBの態度がハト派的に軟化する可能性もある。

昨年11月には米CPIの大幅鈍化が「逆CPIショック」となりドル円が急落するきっかけとなったが、8月10日の米7月CPIについても予想を下回る鈍化傾向となる場合にはFRBの利上げ打ち止め感が強まり、米銀株の下落が深刻化するようだとリスク回避の円高へと風向きが変わる可能性もあるところだ。
トルコリラ円はドル円を追いかけつつ、ドル円が8月3日高値を超えて144円台を目指すなら5.30円台後半へ向かう可能性があるものの、ドル円が8月7日安値141.51円を割り込む場合は円高継続による圧迫感が強まり7月18日と7月28日の両安値によるダブル底ラインを試し、あるいは底割れしてゆく可能性も出てくるところと注意したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月3日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、8月7日午前へ下落したところから切り返しに入り8日午前に4日夜高値を超えたため、8日午前時点では7日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。
8月9日早朝へ高値を伸ばしたところから反落しているので、9日早朝高値を上抜く場合は9日午後から10日午後にかけての間への上昇を想定するが、5.28円以下での推移中は下向きとし、5.26円割れからは弱気サイクル入りとして10日午前から14日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月7日午前からの上昇継続で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、8月9日午前の反落で遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落継続の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月8日昼から9日早朝への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるので、55ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント以下への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.32円を上値抵抗線とする。
(2)5.28円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、5.32円超えからは5.34円前後への上昇を想定する。5.34円以上は反落注意とするが、5.29円を上回っての推移なら10日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.28円以下での推移中は下向きとし、5.26円割れからは5.23円前後への下落を想定する。5.23円以下は反発注意とするが、5.25円以下での推移なら10日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 9.5%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.1%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -0.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 8月4日時点 グロス (7月28日時点 723.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8月4日時点 ネット (7月28日時点 108.9億ドル)
8月11日
 16:00 6月 経常収支 (5月 -79.33億ドル)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 2.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 28.4%)
8月15日
 17:00 7月 財政収支 (6月 -2196億リラ)

8月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)


注:ポイント要約は編集部

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