トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しを見て5.30円へ上昇、目先はドル円を追いかける(23/8/8)

トルコリラ円の8月7日は概ね5.28円から5.20円の取引レンジ、8日早朝の終値は5.28円で先週末終値の5.25円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しを見て5.30円へ上昇、目先はドル円を追いかける(23/8/8)

トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しを見て5.30円へ上昇、目先はドル円を追いかける

〇トルコリラ円、8/7朝5.20まで下げるも、その後持ち直して8/8早朝5.28へ上昇、午前は5.30に到達
〇8/10の米7月CPIに注目しつつ、トルコ円は下落速度が緩やかなドル円の騰落を追いかける姿勢を優先
〇対ドル、8/7は概ね27.02から26.73の取引レンジ、取引時間中の安値更新回避するも終値は最安値水準
〇高インフレ収まらず、利上げ・増税と引き締め政策による悪循環も見られる
〇5.26を上回るうちは上昇余地ありとし、5.31超えからは5.33前後への上昇を想定する
〇5.26割れからは下向きとし、5.24割れからは5.22前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月7日は概ね5.28円から5.20円の取引レンジ、8日早朝の終値は5.28円で先週末終値の5.25円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラでは一時的なリラ売りによる安値を反映して史上最安値を更新しつつ終値ベースでも最安値を試す軟調な推移ながら、5月末から7月にかけての暴落商状が減速しているために、トルコリラ円はドル円の騰落を追いかけている。
ドル円は8月4日夜の米雇用統計で非農業部門就業者が予想を下回る増加にとどまり直前2か月分も下方修正されたことによるドル安反応で142円を割り込み、8月7日午前には141.51円まで安値を切り下げたが、米雇用統計への反応が一巡したことで買い戻し優勢となり、8日未明には142.57円へ上昇、8日午前には143円台回復へ続伸しており、8月3日高値143.88円からの下落一巡で買い戻し優勢の動きを見せている。

トルコリラ円は8月4日午前から午後序盤にかけて、ドル/トルコリラにおける一時的な安値波乱を反映して5.19円から5.20円の安値を付けたところから4日夜の米雇用統計前に5.29円まで戻していたが、米雇用統計後の円高により5.24円へ下落した。8月7日朝もドル/トルコリラでの安値波乱を反映して5.20円まで下げる場面がみられたが、その後はドル円の反騰に合わせて持ち直して8月8日早朝に5.28円へ上昇、8日午前は5.30円に到達している。

【8月10日の米CPI発表へ向けてドル円の騰落を追いかける】

為替市場は米雇用統計に対する反応が落ち着き、8月10日の米7月CPI(消費者物価指数)の上昇率が鈍化するかどうかに目を向けている。8月7日はNY連銀総裁が来年の利下げに言及するハト派姿勢を示す一方でボウマンFRB理事が追加利上げの必要性を強調するタカ派姿勢を見せるなど、今後のFOMCにおける追加利上げの可能性と利上げ見送りから利下げへと風向きが変わるのかどうかを見極めてゆく展開となる。
トルコリラ円はドル/トルコリラにおける中長期的なリラ安基調が変わらずとも下落速度が緩やかなドル円の騰落を追いかける姿勢を優先するが、リラの暴落商状が再開するようだとドル円の騰落にかかわらずリラ安追従へと進む可能性を抱えていると注意する。

【対ドルでは終値ベースでの最安値水準】

ドル/トルコリラの8月7日は概ね27.02リラから26.73リラの取引レンジ、8日早朝の終値は26.97リラで先週末終値の26.94リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
7月20日のトルコ中銀金融政策委員会を前に大幅利上げ催促のリラ売りにより7月19日安値で27.16リラを付けて史上最安値を更新した後は26.94リラを中心としてレンジを徐々に縮小する三角持ち合いで暴落商状にやや落ち着きがみられていたが、8月1日から4日にかけては一時的なリラ売りによる安値成立で1日安値27.19リラ、4日安値27.24リラと取引時間中の史上最安値を更新し、8月4日には27.34リラへと最安値を切り下げた。
週明けの8月7日は取引時間中の安値更新は回避したものの、終値ベースでは7月21日終値26.97リラで史上最安値とした後は8月3日終値も26.97リラとし、8月7日も26.97リラの最安値と同値水準としており、最安値更新を試す状況が続いている。

【高インフレの再燃、後手の利上げ、増税と引き締めによる景気減速感】

トルコは5月28日の大統領選挙においてエルドアン大統領が再選したが、新内閣ではシムシェク財務相やエルカン・トルコ中銀総裁の採用により従来までの非伝統的で異質なエルドアン政策から大統領の了解を取り付けた上で正常化への転換が図られている。トルコ中銀総裁は高インフレ対策として連続利上げを行い、外貨準備高を取り崩しての市場介入をやめ、財務相は財政収支の悪化に対して各種増税による改善を試みている。海外投資家を招いて経済政策の正常化については突然停止することなく継続してゆくことを強調している。

しかし高インフレは収まらず、リラ安による通貨インフレと、インフレ対策での賃上げが賃金インフレを招き、コストアップが製造業等の成長を鈍らせる悪循環も見られる。当面はインフレを抑制するに足りる追加利上げをどこまで実現できるか試される状況にある。
8月1日発表のイスタンブール小売価格上昇率は前月比9.84%、年率で63.76%となり、7月CPI上昇率は全体が前月比9.49%、前年比47.83%、コア指数は前月比9.6%、前年比56.1%と再加速している、7月の貿易統計速報では貿易赤字が6月の54億ドルから123.8億ドルへ倍増以上に膨れ上がっている。
当面は8月24日の次回トルコ中銀金融政策員会で現行の17.5%から20.0%へしっかり追加利上げされるかどうかを見定める展開と思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月3日午後に高値を更新してから8月2日夕安値を連続的に割り込んだため、4日午前時点では3日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定した。
8月7日午前へ下落したところから切り返しに入り8月8日午前には8月4日夜高値を超えてきているので、8月7日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9日夕から11日夜にかけての間への上昇を想定する。5.26円を上回るうちは上昇継続とみるが、5.26円割れからは弱気転換注意とし、5.24円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して10日朝から14日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月7日午前からの上昇継続で遅行へスパンが好転して先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月8日午前に60ポイント台へ上昇しているので50ポイント台を維持するうちは70ポイント超えを目指す上昇を想定するが、50ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.31円を上値抵抗線とする。
(2)5.26円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.31円超えからは5.33円前後への上昇を想定する。5.33円以上は反落注意とするが、5.28円を上回っての推移なら9日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.26円割れからは下向きとし、5.24円割れからは5.22円前後への下落を想定する。5.22円以下は反発注意とするが、5.26円以下での推移なら9日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 9.5%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.1%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -0.2%)
 20:00 週次 外貨準備高 8月4日時点 グロス (7月28日時点 723.5億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 8月4日時点 ネット (7月28日時点 108.9億ドル)
8月11日
 16:00 6月 経常収支 (5月 -79.33億ドル)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 2.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 28.4%)
8月15日
 17:00 7月 財政収支 (6月 -2196億リラ)

8月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 17.5%)



注:ポイント要約は編集部

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