『冴えないファンダメンタルズを背景に史上最安値圏での推移が継続』
〇今週のトルコ円、円安進行や露土電話会談実現に週後半にかけ5.35まで上昇
〇週末にかけてはトルコ経済指標の悪化やドル円の反落に一時5.19まで急落後5.25付近で越週
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの下側で推移、売りシグナルも継続、地合い極めて弱い
〇トルコ経済の先行き不透明感、インフレ再上昇、大統領の政策変更リスク等も重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.10ー5.40
今週のレビュー(7/31−8/4)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.25円で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の長期化観測(連日の指値オペ実施→円金利急騰を抑制する構え)や、(2)上記1を背景とした対主要通貨での円売り圧力(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)プーチン大統領とエルドアン大統領の電話会談実現(プーチン大統領は既に期限切れとなっている黒海経由の穀物輸出合意について、西側諸国がロシアの穀物輸出に対する義務を果たせば直ちに復帰する用意があると発言)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値5.35円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)トルコ7月生産者物価指数(結果+44.50%、前回+40.42%、※前年比)の伸び率加速や、(5)トルコ7月消費者物価指数(結果+47.83%、予想+47.00%、前回+38.21%、※前年比)の伸び率加速、(6)トルコ7月消費者物価コア指数(結果+56.09%、予想+54.50%、前回+47.33%、※前年比)の伸び率加速、(7)上記4、5、6を背景としたトルコリラの実質金利急低下、(8)トルコ7月貿易収支(結果123.9億ドル赤字、前回51.6億ドル赤字)の赤字額急拡大、(9)ドル円相場の急反落(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値5.19円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/5午前1時40分現在)では、5.25円前後で推移しております。
来週の見通し(8/7−8/11)
トルコリラの対円相場は、年初来安値圏での冴えない動きが続いております。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(先週発表されたトルコ7月景気動向指数、トルコ7月経済信頼感に続いて、今週発表されたトルコ7月製造業PMIも7ヵ月ぶりに好不況の分岐点となる50を下回る冴えない結果)や、(2)トルコ国内のインフレ率再上昇(実質金利低下に伴うリラ売り圧力)、
(3)エルドアン大統領による政策の180度転換リスク(政府・中銀が進める経済政策・金融政策の正常化路線がエルドアン氏の一言で方向性が180度覆る潜在的なリスク)、(4)リラ売り抑制策の撤廃観測(これまでリラ売りを抑制してきた資本規制や為替介入が撤廃されるとの思惑)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。このように、トルコリラを巡っては、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、リラ買い要因が見当たらないため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ6月経常収支以外に目立ったトルコ経済イベントが予定されていないため、ドル円相場の動きを追いかける主体性に乏しい展開となりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.10ー5.40
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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