ドル円の反騰で4連騰、暴落商状に一服感
〇トルコ円、8/2夕刻にドル円反落に合わせ5.27まで下落、ドル円反騰により8/3早朝5.32まで切り返す
〇ドル円が一段高へ進めばトルコリラ円も一段高へ追従してゆきやすい局面
〇対ドル、リラ暴落が小康状態にあるものの、8/2午前も取引時間中の最安値更新
〇本日夕のトルコ7月CPI、8/4米雇用統計発表内容によって対ドルでのリラ安が勢い付く可能性も
〇5.27以上での推移中は上昇余地ありとし、5.33超えからは5.35前後への上昇を想定
〇5.27割れからは5.25、5.23を順次試す下落を想定
トルコリラ円の8月2日は概ね5.32円から5.24円の取引レンジ、3日早朝の終値は5.31円で前日終値の5.30円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ暴落商状がやや落ち着く中でトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけている。
ドル円は7月28日の日銀金融政策決定会合を挟んだ乱高下で付けた安値138.06円からの反騰を継続して8月2日未明には143.54円へ高値を伸ばしてきたが、2日早朝に大手格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債を格下げしたことをきっかけに143円を割り込み、日経平均の大幅下落や国内新発10年債利回りの上昇を見て夕刻安値142.21円まで下げたが、米国格下げによる米国債売り・利回り上昇により米10年債利回りが上昇したことで切り返しに入り、夜の米ADP民間雇用者が予想を大幅に超える増加となったことでドル全面高となる中で2日深夜には143.47円へ戻して夕刻への下げ幅をほぼ解消した。
トルコリラ円は7月18日の史上最安値5.08円から7月21日高値5.27円へ戻してから下落に転じ、28日にドル円が乱高下した局面で5.12円を付けたものの史上最安値更新を回避し、ドル円の反騰に合わせて8月2日未明には5.33円まで高値を伸ばしてきた。2日夕刻にかけてはドル円の反落に合わせて(一時的な安値提示で5.24円の安値を付けたところを除いて)5.27円まで下落していたが、ドル円の反騰入りにより3日早朝には5.32円まで切り返している。
ドル円と同調した動きのため、ドル円とともにダブルトップに終わる可能性もあるものの、ドル円が一段高へ進めばトルコリラ円も一段高へ追従してゆきやすい局面と思われる。
今夕はトルコ7月CPIの発表があり、内容次第では対ドルでのリラ安が勢い付く可能性もあると注意する。夜には米四半期労働生産性や週次の新規失業保険申請件数、ISM非製造業景況指数の発表等があり、為替市場も動きやすいところだが、大きく動く本番は8月4日の米雇用統計を見てからとなろうか。
【対ドルでは取引時間中の最安値更新】
ドル/トルコリラの8月2日は概ね27.24リラから26.73リラの取引レンジ、3日早朝の終値は26.96リラで前日終値の26.89リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
7月19日に史上最安値を27.16リラまで切り下げてから7月21日高値26.48リラへ戻したあとはこの高安レンジ内にとどまって徐々にレンジを縮小する三角持ち合いの様相で推移してきたが、8月1日には27.19リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、2日午前も27.24リラへ最安値を更新している。いずれも一時的な安値提示が成立したもので早々に元の水準へ押し戻しており、取引の中心レートは27リラ弱から26.70リラ台での推移だが、エルドアン大統領再選とトルコ中銀による利上げ幅を不服としたリラ暴落が小康状態にあるものの、徐々に安値を切り下げる流れが続いている。終値ベースでは7月21日の26.97リラが史上最安値であり、その後も最安値近辺にとどまっている。
8月2日は早朝の米国債格下げからリスク回避感が強まり、夜の米ADP民間雇用者大幅増による米長期債利回り上昇でドル全面高の様相となり、ユーロやポンドおよび豪ドルの下落が目立ったが、トルコリラもドル高に圧迫されている印象だ。
【今夕にトルコの7月CPI発表あり】
8月3日16時にトルコの7月CPI(消費者物価指数)の発表がある。事前予想では全体の前月比が6月の3.92%から9.10%へと大幅に加速し、前年同月比も6月の38.21%から47.30%へと加速する見通しとされている。
トルコ政府はインフレ対策として最低賃金の引上げを行っており6月下旬に34%引き上げ、公務員給与や退職年金の引上げも行ってきた。また2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の影響や財政収支の悪化に対処するために増税ラッシュとなっており、7月5日に一般法人税を20%から25%へ、金融機関の法人税を25%から30%へ引き上げ、7月7日には国外から持ち込まれる携帯電話登録料が3倍に引き上げられ、賭博税の増税、パスポートや労働許可証等の政府発行手数料の50%引き上げ、7月10日からは付加価値税(VAT)を8%のカテゴリーを10%に、18%のカテゴリーを20%に引き上げ、7月15日にはガソリン税も引き上げた。
賃金インフレと増税によるコストアップが7月および8月以降のインフレを再加速させる可能性が高まっている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月28日の乱高下を通過してドル円と同調して反騰入りしたとして7月28日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8月3日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、8月2日未明へ続伸したところから反落したために2日午前時点では2日未明高値で直近のサイクルトップを付けたとした。また安値形成期を2日の日中から4日午後にかけての間とし2日未明高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
8月2日夕刻へ続落してからの反騰で2日未明高値に迫っているため、2日夕安値を直近のサイクルボトムとしてすでに新たな強気サイクル入りしていると仮定し、8月2日未明高値超えからは5日未明から9日未明にかけての間への上昇を想定する。
ただし、ダブルトップ形成に終わる可能性もあるので8月2日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では一時的な安値提示においては先行スパンへ潜り込んだものの概ね先行スパンを上回った状況を維持しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、一時的ではない連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月2日夕刻への下落で30ポイント台へ低下したが、その後の反騰で60ポイント到達まで戻しているので、50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えへ挑戦する可能性ありとし、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント台前半への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.27円を下値支持線、5.33円を上値抵抗線とする。
(2)5.27円以上での推移中は上昇余地ありとし、5.33円超えからは5.35円前後への上昇を想定する。5.34円以上は反落注意とするが、5.29円を上回っての推移なら4日午前も高値試しへ進む可能性があるとみる。
(3)5.27円割れからは5.25、5.23円を順次試す下落を想定する。5.24円以下は反発注意とするが、5.27円以下での推移なら4日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月3日
16:00 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 3.92%、予想 9.10%、予想レンジ 6.4〜10.6%)
16:00 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 38.21%、予想 47.30%、予想レンジ 43.5〜49.4%)
16:00 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 3.8%)
16:00 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 47.3%)
16:00 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 6.50%)
16:00 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 40.42%)
20:00 週次 外貨準備高 7月28日時点 グロス (7月21日時点 716.8億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 7月28日時点 ネット (7月21日時点 136.8億ドル)
8月7日
23:30 7月 財務省現金残高増減 (6月 -2063.3億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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