トルコリラ円見通し ドル円の続伸で3連騰だが、8月2日早朝に失速(23/8/2)

トルコリラ円の8月1日は概ね5.33円から5.23円の取引レンジ、8月2日早朝の終値は5.30円で前日終値の5.28円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の続伸で3連騰だが、8月2日早朝に失速(23/8/2)

ドル円の続伸で3連騰だが、8月2日早朝に失速

〇トルコ円、8/1午前に一時的な安値を提示するも上昇基調を継続、8/2未明には5.33まで高値を伸ばす
〇8/2早朝に5.26まで下げたが、ドル円が142円台後半を買われており、ドル円騰落を追う展開
〇対ドル、8/2午前26.75ー27.14、暴落的下落速度減速するもリラ先安感変わらず最安値更新を伺う
〇7月トルコ製造業PMIは49.9、7か月振りの悪化で50を割り込む
〇トルコリラ暴落によるインフレと最低賃金引上げ等がコスト増での価格上昇招き、消費意欲の後退が背景
〇5.26以上での推移中は上昇余地ありとし、5.33超えからは5.35前後への上昇を想定
〇5.26割れからは5.23前後を試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の8月1日は概ね5.33円から5.23円の取引レンジ、8月2日早朝の終値は5.30円で前日終値の5.28円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ暴落が7月後半からやや減速しているためにトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけているが、ドル円は7月28日の日銀金融政策決定会合を挟んで乱高下したところから出直りに入り、当面の円買い材料を消化して円安基調は継続するとの見方が優勢となり7月28日から8月1日までの3連騰で、8月2日未明には高値で143.54円を付けて7月28日安値138.06円からの上昇幅は5円を超えた。しかし8月2日早朝に格付け大手のフィッチレーティングスが米国債を格下げしたことをきっかけに一時143円を割り込んでおり、連騰に対する一服感がみられる。

トルコリラ円は7月18日の史上最安値5.08円から7月21日高値5.27円まで戻したものの、ドル円の反落に合わせ7月28日には安値で5.12円へ急落した。しかし、7月18日安値割れを回避し、ドル円の上昇再開を追いかけて29日早朝に5.25円まで戻し、31日夜には5.30円へ上昇、8月1日も午前に一時的な安値提示がみられたものの上昇基調を継続して2日未明には5.33円まで高値を伸ばした。
ドル円の反落により2日午前には5.26円近辺まで下げたものの、ドル円が142円台後半を買われてしっかりしていることに支えられている。
今夜は米ADP民間雇用、3日は英中銀の政策金利発表や米ISMサービス業景況指数、4日は米7月雇用統計と重要指標の発表が続くため、トルコリラ円としてはドル円とともに7月28日以降の上昇基調を継続できるか試される。

【対ドルでは最安値圏での三角持ち合いから下放れを試す】

ドル/トルコリラの8月1日は概ね27.19リラから26.74リラの取引レンジ、8月2日早朝の終値は26.89リラで前日終値の26.90リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
8月1日午前に一時的な急落で27.17リラを付け、2日早朝にも一時的な下落で27.19リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新しているが、終値ベースでは7月21日終値26.97リラを史上最安値としてその後は最安値更新を回避している。
7月19日安値27.16リラから7月21日高値26.48リラへ戻したあとはこの高安レンジ内にとどまって徐々にレンジを縮小する三角持ち合いの様相で推移してきたが、8月1日午前と2日早朝の安値で三角持ち合いからの下放れを試しており、8月2日午前も26.75リラから27.14リラのレンジで推移しつつ最安値更新を伺っている印象だ。
エルドアン大統領再選による暴落が一服した後もトルコ中銀の利上げを不服として一段安に入り、暴落的な下落速度は減速しているもののリラの先安感は変わらないようだ。

【トルコ製造業PMIは7か月振り低下】

イスタンブール産業会議所とS&Pグローバルが8月1日に発表した7月のトルコ製造業PMIは49.9となり6月の51.5から低下した。昨年11月に45.7まで悪化したところから回復し、今年1月から6月までは強弱分岐点の50を超え、4月から6月までは51.5を続けていたのだが、7か月振りの悪化で50を割り込んだ。
トルコリラの暴落による通貨インフレと最低賃金引上げ等がコスト増を招いて製品価格の上昇となり、価格上昇が消費意欲を後退させたことで50を割り込む悪化となったようだ。好況時のインフレなら物価が上昇しても購買力の上昇も伴って企業業績も良好となるが、好況感を伴わずに通貨安と高インフレ対策での賃上げによるコスト増では企業業績も伸び悩むものだ。今回調査では新規受注が5カ月ぶりに悪化している。インフレがしっかり抑制された上で経済成長が健全に進まないことには好景気へと進む期待も萎むところだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月28日の乱高下を通過してドル円と同調して反騰入りしたとして7月31日午前時点では7月28日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7月29日早朝高値を含めて8月3日深夜にかけての間と想定した。
8月2日未明へ続伸したところから反落したため、2日未明高値で直近のサイクルトップを付けたと思われる。安値形成期は2日の日中から4日午後にかけての間と想定されるので、2日未明高値を超えないうちは一段安注意とするが、2日未明高値を超えるところからは新たな強気サイクル入りとして5日未明から9日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月29日早朝への反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも大きく上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持している。8月2日未明高値からの反落で遅行スパンは悪化しやすい位置に来ているため、遅行スパンが好転を維持するうちは上昇余地ありとするが、遅行スパンが悪化するところからは調整安継続とみて安値試し優先とする。その際は先行スパンからの転落を試す可能性があり、先行スパンから転落の場合は下げ足が速まると注意するが、先行スパンからの転落を回避する場合は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は8月2日未明に70ポイント台後半へ上昇してから50ポイント割れへ反落したため、60ポイント超えからは上昇再開とするが、60ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、45ポイント割れからは30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.33円を上値抵抗線とする。
(2)5.26円以上での推移中は上昇余地ありとし、5.33円超えからは5.35円前後への上昇を想定する。5.34円以上は反落注意とするが、5.28円を上回っての推移なら3日午前も高値試しへ進む可能性があるとみる。
(3)5.26円割れからは5.23円前後を試す下落を想定する。5.23円前後は反発注意とするが、5.26円以下での推移なら3日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月2日
 未 定 7月 貿易統計速報
8月3日
 16:00 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 3.92%、予想 9.10%、予想レンジ 6.4〜10.6%)
 16:00 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 38.21%、予想 47.30%、予想レンジ 43.5〜49.4%)
 16:00 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 3.8%)
 16:00 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 47.3%)
 16:00 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 6.50%)
 16:00 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 40.42%)
 20:30 週次 外観準備高 7月28日時点 グロス (7月21日時点 716.8億ドル)
 20:30 週次 外観準備高 7月28日時点 ネット (7月21日時点 136.8億ドル)
8月7日
 23:30 7月 財務省現金残高増減 (6月 -2063.3億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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