『中国経済の回復期待とインフレ鈍化に伴う実質金利上昇が南アランドを下支え』
〇今週の南ア円、週初8.06まで上昇後、週末にかけ7.72まで反落、8台回復しての越週
〇週末は日銀会合後のドル円の動きに左右される
〇南ア円、主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも継続、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも国内のインフレ鈍化期待、中国経済回復期待等がサポート
〇南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
今週のレビュー(7/24−7/28)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.88円で寄り付いた後、(1)中国経済の回復期待(中国共産党は7/24に開催した中央政治局会議の中で内需拡大に向けた経済刺激策を発表)を背景に、翌7/25にかけて、週間高値8.06円(昨年11/30以来、約8カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(3)南ア5月景気先行指数(結果108.4、前回110.3)の冴えない結果、(4)日銀金融政策決定会合でのサプライズ的な金融緩和微修正(これまで0.5%としてきた10年物国債金利の変動幅上限を市場動向に応じて超えることを容認すると共に、連続指し値オペの利回りを1.0%に引き上げることを決定→市場は事実上の金融緩和修正と解釈)、(5)上記4を背景とした円金利の急上昇(対主要通貨での円買い圧力)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.72円まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)南ア6月生産者物価指数(結果+4.8%、予想+5.8%)の市場予想を下回る結果や、(7)植田日銀総裁によるハト派的な見解発表、(8)上記7を背景とした日銀による金融緩和の長期化観測(日銀金融政策決定会合後に作られた円ロングポジションの巻き戻しを誘発→円キャリートレード再開の思惑)、(9)南ア6月財政収支(結果367億ZAR黒字、予想185億ZAR黒字)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/29午前1時30分現在)では、8.01円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(7/31−8/4)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約8カ月ぶり高値となる8.06円(昨年11/30以来の高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ国内で広がるインフレ鈍化期待(前週のCPIに続いて今週はPPIの鈍化も確認)や、(2)上記1を背景とした南アランドの実質金利急上昇(投資家による南アランドへの投資妙味拡大)、(3)中国経済の回復期待(中国と経済的な結びつきの強い南アフリカの景気下支え期待)、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の底堅い動き(南アフリカの交易条件改善期待)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア6月貿易収支以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、中国経済指標(中国7月製造業PMI、同非製造業PMIなど)や、米国経済指標(米7月ISM製造業指数、同非製造業指数、同雇用統計など)を睨みながらの神経質な展開が続きそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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