トルコリラ円見通し ドル円の急落で4営業日続落、当面はドル円を追いかける(23/7/28)

トルコリラ円の7月27日は概ね5.24リラから5.15リラの取引レンジ、28日早朝の終値は5.17円で前日終値の5.20円からは0.03円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落で4営業日続落、当面はドル円を追いかける(23/7/28)

トルコリラ円見通し ドル円の急落で4営業日続落、当面はドル円を追いかける

〇トルコリラ円、ドル円の下落により7/27午前に5.19へ下落、深夜にドル円反騰局面で5.24まで戻す
〇その後ドル円が一転して急落したことで、7/28早朝には5.15まで一段安となる
〇対ドル、7/27は概ね27.04から26.67の取引レンジ、引き続き史上最安値近辺での持ち合い
〇7/19安値27.16と7/21高値26.48のレンジ内での持ち合い継続だが、持ち合い放れへ進みやすい印象
〇トルコ中銀、四半期インフレ率を大幅に上方修正、実勢に即したものとなる
〇5.20超えからは、5.23前後への上昇を想定する
〇5.15割れからは、5.10を目指す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の7月27日は概ね5.24リラから5.15リラの取引レンジ、28日早朝の終値は5.17円で前日終値の5.20円からは0.03円の円高リラ安となった。
ドル/トルコリラは7月20日のトルコ中銀による連続利上げの後はやや小康状態にあり、終値ベースで7月21日に史上最安値を更新したものの取引時間中の最安値は7月19日安値27.16リラからは更新せず、最安値圏で揉み合いの様相となっている。このためトルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けている。

ドル円は7月21日の日銀現状維持見込みとの通信社報道をきっかけとした急伸で141.94円を付けて7月14日安値137.24円以降の高値としたものの、その後は当局の円安けん制発言やFOMCを控えて調整安に入り、7月27日未明のFOMCが市場予想通りに0.25%利上げを決定したものの9月会合以降については追加利上げも利上げ停止もあり得るとしたことで6月会合時からはややタカ派色が薄れたとしてドル安反応を招いたために139円台へ下落した。27日午前に139.35円まで安値を切り下げたところで目先のドル売り一巡となり、27日夜は米GDP速報が予想を上回り新規失業保険申請件数が3週連続で改善したことでドル高へと揺れ返したために141.31円まで反騰した。しかし日銀がYCCに手を加える可能性が報じられたことで急落に転じて28日早朝には138.76円まで失速した。

トルコリラ円は7月18日に5.08円まで史上最安値を大幅に更新してから円安を頼りに持ち直して7月21日に5.27円まで戻したが、FOMCを通過してのドル円の下落により27日午前には5.19円へ下落、27日深夜にドル円が反騰した局面で5.24円まで戻したもののドル円が一転して急落したことで28日早朝には5.15円まで一段安となった。
本日昼頃に日銀金融政策決定会合の結果が発表され、午後には植田総裁の会見がある。昨夜の反騰から急落に転じる乱高下の後だけに市場の反応も敏感になる可能性があるため、ドル円に合わせて急伸も一段安もあり得るところと注意する。

【対ドルでは史上最安値近辺での持ち合い続く】

ドル/トルコリラの7月27日は概ね27.04リラから26.67リラの取引レンジ、28日早朝の終値は26.94リラで前日終値の26.92リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選による先行き不安をきっかけとしたリラ売りに加えて6月22日のトルコ中銀による8.5%から15.0%への利上げを不服として暴落商状が一段と進んで7月19日には27.16リラまで史上最安値を更新したが、7月20日にトルコ中銀は2会合連続の利上げで政策金利を17.5%へ引き上げて今後も利上げを継続する姿勢を示したためにその後は新たな最安値更新を回避している。

しかし、7月21日に26.48リラへ戻したところを売られて7月21日終値26.97リラを終値ベースの史上最安値とし、7月19日安値と21日高値のレンジ内での持ち合いを続けているものの、徐々にレンジが狭まって三角持ち合いの様相であり、持ち合い放れへ進みやすい印象だ。
持ち合いは強弱の力関係が均衡していることを反映しているので上下いずれへも放れやすいものだが、下落途中の持ち合いは下落トレンド継続中の小休止にとどまって持ち合い下放れから下げ足が速まる傾向も多い。

【トルコ中銀、四半期インフレ予想を上方修正】

7月27日にトルコ中銀は2023年末のインフレ率予想を前回の22.3%から58.0%へ大幅に上方修正し、2024年末についても前回の8.8%から33.0%へ大幅に引き上げ、2025年末を15.0%とした。
トルコ中銀は四半期ベースのインフレ率等の調査報告を行ってきたが、前回の5月4日報告はカブジュオール前総裁によるものであり、インフレ率の予想についてはエルドアン大統領の「高金利は悪」とした政策姿勢を忖度したものでインフレが理想的に収まってゆくというシナリオに沿ったものだったが、ウォール街出身の銀行家としてトルコ中銀新総裁に迎えられたエルカン氏は就任時にある程度の裁量を任されているようで、大統領も当面はエルカン新総裁とシムシェク新財務相の政策については容認している。このため今回のインフレ見通しについても実勢に即したものとしたようだ。

大統領再選による5月末からの対ドルでのリラ暴落は7月19日の史上最安値までに凡そ38%の下落であり、CPI上昇率も前年との比較ではベース効果でやや減速基調にあるものの7月の前月比は全体で3.92%上昇、コア指数で3.8%上昇しておりインフレの再加速への懸念はぬぐえない。エルカン総裁は「インフレ見通しの大幅な改善が実現するまで、必要に応じて段階的に金融引き締めを強化していく」と述べており、次回の金融政策委員会でも追加利上げを行う見通しだが、まだしばらくはインフレ率が政策金利を大幅に上回る実質マイナス金利状態は解消できないと思われる。
7月27日夜に発表された週次の外貨準備高は7月21日時点のグロスで716.8億ドルとなり7月14日時点の713.8億ドルから増加、ネットでは136.8億ドルとなり前週の132.5億ドルから増加した。ネットでは外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返したことにより一時は57億ドルのマイナスまで悪化したが、エルカン新総裁体制に入ってからは市場介入をやめており外貨準備高は増加している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月21日夕刻へ急伸した後は軟調推移が続いたために7月26日午前時点では7月21日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、24日夜安値を割り込む場合は24日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとした。
7月27日午前へ続落したところから27日深夜へいったん急伸し、その後の急落で底割れしているため、27日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8月1日午前から3日午前にかけての間への下落を想定する。日銀金融政策決定会合から波乱となる可能性もあるので5.20円超えからは強気転換注意として27日夜高値5.24円試しとするが、日銀金融政策発表後も安値更新へ向かう場合は来週前半への続落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月27日深夜からの反落により遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は7月27日夜に70ポイントへ迫ってから30ポイント台へ急落した。50ポイント以下での推移中は下向きとし、下げ足が速まる場合は20ポイント以下への低下を想定するが、ドル円が急伸する場合等では50ポイント超えから60ポイント台中盤へ切り返す可能性もあると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.15円を下値支持線、5.20円を上値抵抗線とする。
(2)5.20円超えからは5.23円前後への上昇を想定する。5.23円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、ドル円が急伸する場合は5.25円試しへ上値目途を引き上げ、5.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.15円割れからは5.10円を目指す下落を想定する。ドル円が急落する場合は5.10円以下へ向かう可能性もあると注意し、5.20円以下での推移か直前安値から0.05円以上の反騰がみられないうちは週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月28日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -125.3億ドル)
 16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 101.1)
7月31日
 16:00 4-6月 四半期観光収入 (1-3月 86.9億ドル)
 17:00 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 16.2%)
8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.5)


注:ポイント要約は編集部

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