トルコリラ円見通し 円高に押されて7月21日夕高値以降の安値を更新(23/7/27)

トルコリラ円の7月26日は5.24円から5.19円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.20円で前日終値の5.23円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高に押されて7月21日夕高値以降の安値を更新(23/7/27)

トルコリラ円見通し 円高に押されて7月21日夕高値以降の安値を更新

〇トルコリラ円、ドル円の騰落に合わせ、7/27早朝ドル円が140円を割り込んだ局面で5.19まで下げる
〇その後ドル円の下げ渋りに合わせてやや戻すも、5.22近辺にとどまる
〇対ドル、7/26は概ね26.96から26.68の取引レンジ、史上最安値近辺での持ち合い
〇本日、中銀MPC議事要旨発表、新総裁就任後の四半期インフレ予想調査がより現実的に変わるかも注目
〇5.23超えからは、5.25前後への上昇を想定する
〇5.19割れからは、5.17、5.15を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の7月26日は5.24円から5.19円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.20円で前日終値の5.23円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラの下落基調が続いているものの下落速度がやや緩んでいることで史上最安値更新へ進まずに最安値近辺での推移を続ける中、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせて動いている。
ドル円は6月30日高値145.06円から7月14日安値137.24円まで下げた後は買い戻し優勢となり、7月21日夕刻には日銀金融政策決定会合での現状維持見込み報道をきっかけに141.94円へ上昇したが、142円手前の抵抗感とFOMC等を控えたポジション調整で軟調推移に入り、FOMCでタカ派姿勢が緩むのではないかとの思惑が先行して7月26日夜に140.14円へ下落し、FOMCを挟んで140.69円まで戻してから27日早朝には139.93円まで安値を切り下げた。140円割れは買われており、今夜の米GDP速報やECB理事会、明日の日銀金融政策決定会合の内容次第では反騰入りへ向かう可能性もあるため、目先はやや下押ししやすいとしても下値は限定的な印象だ。

トルコリラ円はエルドアン大統領再選とトルコ中銀の利上げを不服とした暴落的なリラ安により7月18日に5.08円まで史上最安値を大幅に更新したが、その後はやや落ち着いている。ドル円が142円に迫った7月21日に5.27円まで戻した後はドル円の軟調推移に合わせて安値を切り下げており、27日早朝にはFOMC通過後にドル円が140円を割り込んだ局面で5.19円まで下げ、その後はドル円の下げ渋りに合わせてやや戻しているが、5.22円近辺にとどまっている。
ドル/トルコリラがやや落ち着いているため、トルコリラ円としては今夜の米経済指標やECBの利上げ姿勢の強度、明日の日銀金融政策内容次第ではドル円とともに反騰入りする可能性のあるところと思われるが、対ドルでリラの底が見えないうちはドル円の上昇に合わせて戻したところは再び売られやすいのではないかと思われる。

【対ドルでは史上最安値近辺での持ち合い】

ドル/トルコリラの7月26日は概ね26.96リラから26.68リラの取引レンジ、27日早朝の終値は26.92リラで前日終値の26.89リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選による先行き不安をきっかけとしたリラ暴落は、6月22日のトルコ中銀による8.5%から15.0%への利上げを不服として勢いを増して7月19日には27.16リラまで史上最安値を更新した。7月20日にトルコ中銀は2会合連続の利上げで政策金利を17.5%へ引き上げて今後も利上げを継続する姿勢を示したため、20日以降は取引時間中の史上最安値更新は回避されているものの、終値ベースでは利上げ後の7月21日終値26.97リラで史上最安値を更新している。

7月26日は27日未明の米FOMCに注目が集まったが、FOMCは0.25%利上げを決定して今後は指標次第で利上げ停止も追加利上げもあり得るとしたため、6月時点よりもタカ派色がやや薄まったとしてドル安反応がみられた。しかしトルコリラはさほど影響を受けずに7月25日の高安レンジ内での推移にとどまった。
7月19日の史上最安値27.16リラと7月20日の戻り高値26.48リラのレンジ内で持ち合いの様相だが、エルドアン再選による暴落が6月13日安値から6月21日までの小持ち合いから下放れて暴落再開に入り、6月の中銀利上げを不服とした暴落が6月28日安値から7月14日までほぼ横ばいの持ち合いで落ち着いたところから暴落再開に入ったように、横ばい程度の下げ渋り持ち合いでは中長期的なドル高リラ安基調が変わらない印象だ。

【今夜、中銀MPC議事要旨、四半期インフレ予想調査、外貨準備高の発表あり】

7月27日はトルコ中銀の金融政策委員会(MPC)の議事要旨効果と四半期ベースの中銀調査によるインフレ率等の予想、週次外貨準備高の発表がある。
中銀は7月20日に利上げした際に今後もインフレ抑制と経済正常化へ向けて利上げを継続するとしたが、果たして20%を超えてさらに実質マイナス金利状態を解消してゆくような政策姿勢を持っているのか試される。
四半期ベースのインフレ率等の調査報告は5月4日の前回予想では2023年7-9月期のインフレ予想を22.3%として4−6月期と同水準に据え置かれた。しかし5月末からの対ドルでのリラ暴落は7月19日の史上最安値までに凡そ38%の下落であり、CPI上昇率も前年との比較ではベース効果でやや減速基調にあるものの7月の前月比は全体で3.92%上昇、コア指数で3.8%上昇しておりインフレの再加速への懸念が強まっている。前回調査発表はカブジュオール前総裁体制によるものであり、エルドアン再選後に中銀総裁となったエルカン氏により四半期予測がより現実的なものに変わるのかどうかも注目したい。

外貨準備高はエルカン氏が総裁に就任してから外貨準備を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返してきたことが停止しており、純外貨準備高は一時マイナス57億ドルまで減少したところから直近ではプラス132.5億ドルまで改善している。外貨準備高が順調に増加することは中長期的にはリラにプラスだが、市場介入をやめたことによる増加であり、介入による歯止めがかからなくなったこともまた事実であり、最近の経済指標が弱いことも踏まえて準備高増加だけではリラ高へと流れを変えるのは難しいと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月18日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日夜から24日午後にかけての間への上昇を想定してきたが、21日夕刻へ急伸した後は軟調推移が続いたために7月26日午前時点では7月21日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、24日夜安値を割り込む場合は24日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとした。
7月26日午後の下落で24日夜安値を割り込んで27日早朝へ一段安しているため、24日夜安値を底割れしたことによる弱気サイクル入りとしてボトム形成期を27日夜から31日夜にかけての間と想定する。強気転換には5.25円に迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では7月21日夕高値からの下落で遅行スパンが悪化し、26日午後への続落で先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は7月26日夜から27日早朝への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行気配がみられるので、50ポイント以上での推移か一時的に50ポイントを割り込んでも回復するうちは60ポイント台前半への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下落継続として20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.19円を下値支持線、5.23円を上値抵抗線とする。
(2)5.23円超えからは5.25円前後への上昇を想定する。5.25円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、ドル円が急伸する場合は5.27円試しへ上値目途を引き上げ、5.24円以上での推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.19円割れからは5.17円、5.15円を順次試す下落を想定する。ドル円が急落する場合は5.15円以下へ向かう可能性もあると注意し、5.20円以下での推移なら28日午前も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月27日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会議事要旨
 20:00 トルコ中銀 四半期ベースの年末インフレ率予想調査
 20:30 週次 外貨準備高 7/21時点 グロス (7/14時点 713.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 7/21時点 ネット (7/14時点 132.5億ドル)
7月28日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -125.3億ドル)
 16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 101.1)
7月31日
 16:00 4-6月 四半期観光収入 (1-3月 86.9億ドル)
 17:00 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 16.2%)
8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.5)


注:ポイント要約は編集部

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