ドル円の調整安に合わせやや軟調だが5.22円以上を維持してしっかり
〇トルコ円、7/26日早朝終値は5.23、ドル円騰落を追う展開で戻り高値切り下がり気味の持ち合い相場
〇対ドル、7/26早朝終値は26.89、26リラ台は繰り返し売られ最安値近辺での推移にとどまる
〇トルコ中銀、7/25にクレカ月額上限金利引き上げなどインフレ抑制へ向け金融引き締め政策継続
〇7月からの増税ラッシュもあり、トルコ内需が抑制され経済成長率の低迷が続く可能性も懸念
〇5.27超えからは5.30前後への上昇を想定、FOMCからドル円急伸なら5.30円台前半への上昇を想定
〇5.22割れからは下落期入りとして5.19、5.17を順次試す下落を想定
〇FOMCを通過してドル円急落の場合、5.10円台前半へ向かう可能性もあるとみる
【概況】
トルコリラ円の7月25日は概ね5.26円から5.23円の取引レンジ、26日早朝の終値は5.23円で前日終値の5.24円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラは史上最安値近辺での推移が続いているもののトルコ中銀による7月20日の利上げ後は下落速度が鈍っており、トルコリラ円はドル円の騰落を追いかける展開に入っている。
ドル円は6月30日高値145.06円から7月14日安値137.24円まで大幅下落したところから持ち直しに入り、7月18日夜のG20財務相・中銀総裁会合後の会見で植田日銀総裁が金融緩和継続姿勢を示したことで直前安値137.71円から19日夜に140円手前へ上昇し、21日夕刻には日銀現状維持見込みとの通信社報道をきっかけに141.94円へ急伸したが、神田財務官の円安けん制発言やFOMC等の重要イベントを控えて142円台へ進むのを時期尚早として下落している。
24日夜に140.77円まで下げたところから25日夜には141.71円まで戻したものの26日早朝には140.80円台へ下げており、FOMCが迫る中で141円以下では買われつつも上値の重い展開となっている。
トルコリラ円はエルドアン大統領再選やトルコ中銀の利上げを不服としたトルコリラの暴落により7月18日には5.08円まで史上最安値を大幅に更新したが、その後はリラ安の勢いが減速する中でドル円が反騰入りしたために21日のドル円急伸時に5.27円まで戻り高値を切り上げた。その後はドル円が上昇一巡で軟調推移となったために24日夜には5.22円へ下落し、25日夜にかけてドル円が戻した局面で5.26円へ上昇したが26日早朝には5.23円まで失速しており、7月21日夕刻高値以降は5.22円台まででしっかりしつつ、戻り高値が切り下がり気味の持ち合い相場となっている。
7月27日未明のFOMC声明およびパウエル議長会見において、6月会合で示された年内あと2回の利上げが適切で年内の利下げはないと強調されたタカ派姿勢が緩むのか継続するのかにより、金融市場全般が大きく動くため、トルコリラ円はドル円の急伸ないし急落に備えつつ、ドル円とともに7月21日高値を超える場合には5.30円台回復を目指す上昇期に入る可能性を考えるが、逆にFOMCを通過してドル円が急落する場合には5.22円台の下値支持線割れから5.20円、5.15円を順次試して行く下落期に入ることも懸念される。
【対ドル下落速度はやや減速するものの最安値近辺での推移にとどまる】
ドル/トルコリラの7月25日は概ね27.11リラから26.65リラの取引レンジ、26日早朝の終値は26.89リラで前日終値の26.92リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選による先行き不安をきっかけとしてリラは暴落商状に陥って1ドル23リラ台へ乗せ、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15.0%への利上げを不服として1ドル26リラ台到達へと暴落商状がさらに進み、7月20日のトルコ中銀金融政策委員会を控えた利上げ催促によるリラ売りで7月19日には27.16リラまで史上最安値を更新し、終値ベースでは7月21日終値26.97リラで史上最安値を更新した。
7月19日以降は取引時間中の史上最安値更新には至らずにいるものの26リラ台は繰り返し売られており、リラの下落速度はやや減速しているものの最安値近辺での推移にとどまっている。
トルコリラは為替市場全般の値動きには左右されないことも多いが、27日未明のFOMC、27日夜のECB理事会と重要イベントが続いて金融市場全般が波乱となりやすいため、それらを通過してドル安反応の場合はトルコリラの安値が抑えられやすいとしても、ドル全面高の場合にはリラ売りが勢い付く可能性もあると注意したい。
【トルコ中銀による金融引き締め強化】
トルコ中銀は7月20日に政策金利の週間レポレートを15.0%から17.5%へ引き上げた。エルカン総裁就任後は6月22日に当時の8.5%から15.0%へ引き上げており、2会合連続の利上げとなったが、今後も金融引き締めを継続するとした。市場は6月時点で21%への利上げを予想し、7月20日会合についても20%への大胆な利上げを期待していたが、結果は期待外れだったものの、今後も2.5%ずつの利上げを継続して20%台に到達する可能性が示されたためにリラ売りにもやや一服感がみられる。
トルコ中銀は7月25日にクレジットカードの現金利用と当座貸越口座に対する月額上限金利を従来の1.91%から2.89%へ引き上げた。また輸出・投資・農業融資を除くリラの商業融資についての月間伸び率上限を従来の3%から2.5%へ縮小した。また一般ローンの伸び率上限は3%に据え置いたものの、自動車ローンの伸び率上限を従来の3%から2%へ引き下げた。
これらは政策金利の引き上げに続く金融引き締め政策であり、中銀がインフレ抑制へ向けた動きを継続している印象を与えたが、引き締めによりトルコの内需が抑制されれば景気減速を招きかねない。
7月20日に発表された7月消費者信頼感指数は6月の85.1から80.1へ低下したが、7月25日の7月製造業信頼感指数も6月の108.2から106.8へと低下している。7月に入ってからは増税のラッシュもあり、トルコ経済成長率の低迷が続く可能性も懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月18日夕刻へ急落してからの反騰により、19日午前時点からは18日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日夜から24日午後にかけての間への上昇を想定してきたが、21日夕刻へ急伸した後は軟調推移が続いているので7月21日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。
7月24日夜安値から戻して再び反落しているところのため、24日夜安値を割り込む場合は24日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとして27日夜から31日夜にかけての間への下落を想定する。
7月21日夕高値を超える場合は24日夜ないし直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして26日夕から28日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月21日夕高値から右肩下がりの展開のため遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しつつあるが、両スパンとも好転しやすい位置にあるため方向感に欠ける。7月21日高値を超える場合は一段高がさらに発展するとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、両スパンそろっての悪化中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月24日夜と26日早朝の安値時には40ポイントを試しつつ底固さを見せているので、40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは勢いを増して70ポイント台へ進む可能性がるとみるが、次に40ポイントを割り込むところからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.22円を下値支持線、5.27円を上値抵抗線とする。
(2)5.27円超えからは5.30円前後への上昇を想定する。5.29円以上は反落警戒とするが、5.22円以上での推移なら27日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。FOMCからドル円が急伸する場合には5.30円台前半への上昇を想定する。
(3)5.22円割れからは下落期入りとして5.19円、5.17円を順次試す下落を想定する。5.22円以下での推移なら27日の日中も安値試しへ向かいやすいとみるが、FOMCを通過してドル円が急落する場合は5.10円台前半へ向かう可能性もあるとみる。
【当面の主な予定】
7月27日
20:00 トルコ中銀 金融政策委員会議事要旨
20:00 トルコ中銀 四半期ベースの年末インフレ率予想調査
7月28日
16:00 6月 貿易収支 (5月 -125.3億ドル)
16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 101.1)
7月31日
16:00 4-6月 四半期観光収入 (1-3月 86.9億ドル)
17:00 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 16.2%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.5)
注:ポイント要約は編集部
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