ドル円見通し 7月21日の急伸一巡で調整安、FOMC待ちへ(23/7/26)

ドル円は、25日夜に141.71円まで戻していたものの勢いに欠けて26日早朝には140.80円台へ下げて24日夜安値割れへ余裕が乏しくなっている。

ドル円見通し 7月21日の急伸一巡で調整安、FOMC待ちへ(23/7/26)

7月21日の急伸一巡で調整安、FOMC待ちへ

〇ドル円、7/27未明FOMCが迫る中で上昇一巡による調整的な下落入り、7/26早朝140.80円台へ下げる
〇米住宅関連5月データは底固い、住宅ローン金利上昇や景気減速による圧迫感はあるが堅調さ取り戻すか
〇住宅関連統計の強さは住宅価格上昇によるインフレ長期化を連想
〇米金利先物市場はFOMCの0.25%利上げほぼ確実視、声明や議長会見でタカ派姿勢維持の可能性を懸念
〇NYダウ、2017年2月以来の12連騰、利上げ終了プロセスを織り込み株高継続感が勢い増す
〇140.77割れからは140円台序盤(140.30から140.00)を試す下落を想定
〇FOMC通過して141.71超える場合は142円台へ進み、143円台へ向かう流れと考える

【概況】

ドル円は7月14日安値137.24円からの持ち直しを続け、7月18日に日銀植田総裁がG20財務相・中銀総裁会合後の会見で金融緩和維持姿勢を述べたことで直前安値137.71円から19日夜に140円へ迫り、21日夕には7月27-28日の日銀金融政策決定会合で現状維持見通しとの通信社報道をきっかけに141.94円まで急伸した。しかし神田財務官による円安けん制もあって142円台へは進めず、27日未明のFOMCも迫る中で上昇一巡による調整的な下落に入り、24日夜に140.77円まで下げたところから25日夜に141.71円まで戻していたものの勢いに欠けて26日早朝には140.80円台へ下げて24日夜安値割れへ余裕が乏しくなっている。
7月25日夜は米住宅関連表やコンファレンスボードの消費者信頼感指数が市場予想を上回ったものの27日未明のFOMCが迫っていることで市場の反応は限定的だった。

【独景況指数は悪化、米住宅関連と消費者信頼感指数は良好】

7月25日夕刻発表のドイツIFOによる7月企業景況感指数は87.3となり、6月の88.6から低下して市場予想の88.0を下回って3か月連続の悪化となった。24日に発表が相次いだS&Pグローバルによる独欧の製造業及び非製造業のPMIが総じて悪化したことも含めて欧州は金融引き締めによる景気減速感が根強い状況だ。このためユーロドルは25日夜に1.1021ドルへ下落して昨年9月底0.9536ドル以降の最高値となった7月18日夕高値1.1275ドル以降の安値を更新した。
一方で米経済指標は概ね良好だった。5月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前月比1.0%上昇となり市場予想の0.7%を上回り、前年同月比は1.7%低下だったものの4月と変わらずで市場予想の2.2%低下を上回った。住宅ローン金利の上昇や景気減速による圧迫感があるものの5月のデータは底固さを示しており、今後は堅調さを取り戻して行く可能性を示したようだ。

米連邦住宅金融局(FHFA)による5月住宅価格指数は前年同月比2.8%上昇で4月の3.1%から鈍化して2021年5月以来の低い伸びだったが、前月比は4月と同じ0.7%上昇だった。
米コンファレンスボードによる7月消費者景気信頼感指数は117.0となり、6月の110.1から大幅に上昇して2021年7月以来の高水準に達して市場予想の111.8も上回った。現況指数は6月の155.3から160.0へ、期待指数は80.0から88.3へ上昇、向こう半年間の景気見通しでは「改善する」が6月の14.6%から17.1%へ上昇し、「悪化する」は17.7%から14.0%へ低下した。
住宅関連統計が予想より強かったことは住宅価格上昇によるインフレの長期化を連想させ、消費者信頼感指数の上昇はリセッションへの懸念を後退させるものとして発表後は米長期債利回り上昇反応がみられたもののFOMC前のために動きは鈍かった。

【米長期債利回りはまちまち、ダウは12連騰】

7月25日の米長期債利回りはまちまちの動き。指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.89%で終了、一時は米経済指標が予想を上回ったことで3.92%へ上昇したものの勢いは続かなかった。30年債利回りは前日と変わらず3.93%、利上げに敏感な2年債利回りは0.04%低下の4.88%となった。NYダウの12連騰による株買い・債券売りによる利回り上昇圧力が続いていることも影響している。
米金利先物市場では今週のFOMCにおける0.25%利上げをほぼ確実視しているが、9月は据え置かれ、11月に追加利上げされる可能性は3割台とみているようだが、FOMCが声明や議長会見で追加利上げが適切としてタカ派姿勢を維持する可能性も懸念しているところと思われる。
一方でNYダウは前日比26.83ドル高と小幅上昇だったが2017年2月以来となる12連騰となった。金融引き締めによる景気減速は限定的で利上げの終了プロセスを織り込んできていることで株高継続感が勢いを増している。ナスダック総合指数も85.69ポイント高と上昇した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月14日午前安値137.24円と7月18日夜安値137.71円をダブル底として上昇期に入り、7月21日の日銀現状維持見通し報道をきっかけに141.94円へ急伸したが、142円超えへ進むのは時期尚早とみて上昇一巡となりやや下落基調で推移している。7月24日夜の反落時安値140.77円から25日夜高値141.71円までいったん戻してからの反落では24日夜安値割れを回避しているが、24日夜安値割れからは下落が長引く可能性がある。
FOMC反応次第では波乱となるだろうが、FOMCから急伸の場合は直前安値を起点とした新たな上昇期として7月21日高値超えからは28日夕にかけての上昇を想定するが、FOMCを通過して下落継続の場合は31日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月26日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンの下限まで下げているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンから転落した状況が続く場合は、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開から一段高へ進む可能性のあるところとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月26日早朝への下落で40ポイントを割り込んでいるので50ポイント台回復へ切り返せないうちは一段安余地ありみる。FOMCを弱気で通過する場合は10ポイント台への低下もあり得ると注意するが、逆に強気で通過の場合は70ポイント超を目指す反騰へ進む可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月24日夜安値140.77円を下値支持線、7月25日夜高値141.71円を上値抵抗線とする。
(2)140.77円割れからは140円台序盤(140.30円から140.00円)を試す下落を想定する。FOMCから下落反応の場合は139円台中盤以下へ急落する可能性もあると注意する。FOMCを通過して手探りの動きが続く場合、141.71円超えから上昇再開へ、140.77円以下での推移なら下落継続と考える。
(3)FOMCを通過して141.71円を超える場合はそのまま142円台へ進み、143円台へ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

7/26(水)
10:30 (豪) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 5.6%、予想 5.4%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (1-3月 1.4%、予想 1.0%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (1-3月 7.0%、予想 6.2%)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・改定値 (速報 113.8)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・改定値 (速報 109.5)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数(年率換算) (5月 76.3万件、予想 72.5万件)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 前月比 (5月 12.2%、予想 -5.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 5.00-5.25%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、記者会見

7/27(木)
日銀金融政策決定会合(7月28日まで)
10:30 (豪) 4-6月期 輸入物価指数 前期比 (1-3月 -4.2%、予想 -0.8%)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -25.4、予想 -24.5)
21:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 175.4万人、予想 175.0万人)
21:30 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 0.0%、予想 -0.1%)

21:30 (米) 4-6月期 GDP・速報値 前期比年率 (1-3月 2.0%、予想 1.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (1-3月 4.2%、予想 1.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (1-3月 4.9%、予想 4.0%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 1.8%、予想 1.0%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.7%、予想 0.1%)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 -2.7%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -20.8%)
26:00 (米) 財務省7年債入札


注:ポイント要約は編集部

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