ドル円見通し FOMC通過後に140円を割り込んでからやや持ち直す(23/7/27)

ドル安優勢で140.14円まで下落した。FOMC後に一時140.69円まで戻したものの早々に売り込まれ139.93円へ下落、21日夕高値以降の安値を更新した。

ドル円見通し FOMC通過後に140円を割り込んでからやや持ち直す(23/7/27)

ドル円見通し FOMC通過後に140円を割り込んでからやや持ち直す

〇ドル円、7/26夜は米新築住宅販売件数がマイナスとなったことを受け、ドル安優勢で140.14まで下落
〇FOMC後に一時140.69まで戻すも早々に売り込まれ139.93へ下落、7/21夕高値141.94以降の安値更新
〇FOMCは予想通り0.25%利上げを決定、追加利上げは指標次第との姿勢示す、年内の利下げは否定
〇米長期債利回りはまちまちの動き、NYダウは上昇し36年半ぶりの13営業日続伸
〇141.70以下での推移中は一段安余地ありとし、139.93割れからは139円台中盤を試す下落を想定する
〇140.70超えからは、141.00、141.20を順次試す上昇を想定する

【概況】

ドル円は6月30日の年初来高値145.06円から7月14日安値137.24円まで下落したが、その後は持ち直しに入って18日夜のG20財務相・中銀総裁会合後に植田日銀総裁が金融緩和継続姿勢を示したことや、21日夕刻には日銀金融政策決定会合での現状維持見込み報道をきっかけに141.94円まで高値を切り上げていた。142円への挑戦は時期尚早として財務官による円安けん制やFOMCを控えて調整安に入り、26日の日中にかけてジリ安の推移が続いた。7月26日夜は5月の米新築一戸建て住宅販売件数(年換算)が前月比2.5%減の69万7000戸となり、4か月振りのマイナスだったことでドル安優勢で140.14円まで下落した。FOMC後に一時140.69円まで戻したものの早々に売り込まれ139.93円へ下落、21日夕高値以降の安値を更新した。

FOMCは予想通りに0.25%利上げを決定して9月会合以降は指標次第としたために6月時点よりは若干タカ派色が薄まったもののハト派に転換したとまでは言えないと市場は受け止めてドル安反応も限定的だった。
今夜は米4-6月期GDPや耐久財受注、ECB理事会がある。FOMCの追加利上げについては今後の指標次第とされたことで米経済指標や他主要中銀の政策姿勢によりまだしばらくはドルの強弱も定まらない可能性があるが、ドル円としては7月28日の日銀金融政策決定会合での現状維持見通しを踏まえて円安再開へ向かう可能性のある局面と考える。

【FOMC、追加利上げは指標次第、年内利下げはない】

FRB(米連邦準備制度理事会)は7月25-26日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)において政策金利を0.25%引き上げて年5.25〜5.50%とし、2001年以来およそ22年ぶり高水準とした。
前回の6月会合では11会合ぶりに金利を据え置き、年内あと2回の利上げが適切としたが、あと2回とした内の1回の利上げを決めたこととなる。ただ、次回の9月会合については指標次第で利上げも現状維持もあり得るとしたことで、6月時点からはタカ派色がやや薄まった印象を与えた。
決定は全会一致で、声明では景気判断を6月時点の「わずかな拡大」から「緩やかに拡大」と上方修正した。またパウエルFRB議長は記者会見において、今後は「会合毎に決める」、9月会合では「指標が妥当なら再び利上げするが、据え置きを選択する可能性もある」としてインフレ鈍化の度合いや労働市場の強弱等を見定める姿勢を示した。6月会合で利上げを見送った際には3月の米銀3行が破綻した影響を考慮したが、今回はその影響は限定的だったとし、労働指標の強さとインフレがなお高い水準にあることで利上げを決定したとした。

パウエル議長は「インフレはいくらか和らいだが、コアインフレは高止まりで目標の2%へは長い道のり」とし、「インフレ率を2%目標に戻すことに引き続きコミットしてゆく」と述べた。また会合毎に判断するとし、「1回おきの会合で利上げを決定するとは決めていない」、「連続した会合での利上げを議論の対象から外していない」、「9月会合では追加利上げも現状維持もあり得る」としたが、「今年の利下げはないと思う」と6月時点に続いて年内利下げを否定した。

【米長期債利回りはまちまち、ダウは13連騰】

7月26日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。FOMCの結果がややタカ派色の後退と受け止めて長期金利指標の10年債利回りは0.02%低下の3.87%、30年債利回りは0.01%上昇の3.94%、利上げに敏感な2年債利回りは0.02%低下の4.86%となった。9月ないし11月のFOMCにおける利上げ余地が残ったことで長期債利回りの低下も限定的だった。
一方でNYダウは前日比82.05ドル高と上昇、13営業日続伸となったのは1987年1月以来36年半ぶりの快挙となった。FOMCの追加利上げ余地は残ったものの利上げ見送りが続く可能性と追加利上げされても年内あと1回で来年は利下げのきっかけを探りに向かうとの楽観が株高期待を助長している。しかし、1987年といえば10月19日にブラックマンデーが発生しており、今後の株高をバブル的とすれば、楽観的な株高のピークが徐々に迫り、リーマンショックやブラックマンデーのようなことがいずれ起きないとも限らないと注意したい。ナスダックは17.28ポイント安と小幅下落している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月14日午前安値137.24円と7月18日夜安値137.71円をダブル底とした上昇が7月21日夕高値141.94円でピークとなり下落期に入ってきたが、7月24日夜に140.77円へ下げてから25日夜高値141.71円までいったん戻して一段安しているためまだ下落途中と思われる。安値形成期は31日夜にかけて想定され、28日の日銀金融政策決定会合が基調転換のきっかけになりやすいと思われる。ただし、141.20円超えからは強気転換注意とし、25日夜高値141.71円超えからは上昇期入りとして28日夕にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月26日早朝への下落で遅行スパンが悪化し、26日午後への続落で先行スパンから転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンから転落した状況が続く場合は、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月26日夜から27日早朝への安値切り下がりに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行の気配がみられるので、50ポイント以下での推移中は20ポイント以下への一段安余地ありとするが、50ポイント超えから指数自身の高値切り上げへ進む場合は上昇期入りとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月27日早朝安値139.93円を下値支持線、141.70円を上値抵抗線とする。
(2)141.70円以下での推移中は一段安余地ありとし、139.93円割れからは139円台中盤(139.65円から139.35円)を試す下落を想定する。139.50円以下は反騰注意とするが、140円以下での推移なら28日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。ただし、その場合は28日の日銀金融政策発表後の波乱に注意する。
(3)140.70円超えからは141.00円、141.20円を順次試す上昇を想定する。141円台序盤は戻り売りも出やすいとみるが、米経済指標やECB理事会を通過して急伸する場合は141円台中盤(141.35円から141.65円)へ上値目途を引き上げ、28日午前も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/27(木)
14:00 日銀金融政策決定会合(7月28日まで)
10:30 (豪) 4-6月期 輸入物価指数 前期比 (1-3月 -4.2%、予想 -0.8%)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -25.4、予想 -24.7)
21:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 175.4万人、予想 175.0万人)
21:30 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 0.0%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP・速報値 前期比年率 (1-3月 2.0%、予想 1.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (1-3月 4.2%、予想 1.3%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (1-3月 4.9%、予想 4.0%)

21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 1.8%、予想 1.0%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.7%、予想 0.0%)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 -2.7%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -20.8%、予想 -15.9%)
26:00 (米) 財務省7年債入札

7/28(金)
09:00 日銀金融政策決定会合 昼頃に結果と展望リポートを公表
08:30 (日) 7月 東京区部CPI(消費者物価指数)・生鮮食料品除く 前年同月比 (6月 3.2%、予想 2.9%)
10:30 (豪) 4-6月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (1-3月 1.0%)
10:30 (豪) 4-6月期 PPI(生産者物価指数) 前年同期比 (1-3月 5.2%)
10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.7%、予想 0.0%)
15:30 (日) 日銀植田総裁、記者会見
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感・確定値 (速報 -15.1)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 95.3、予想 95.0)
21:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (6月 6.4%、予想 6.2%)

21:30 (米) 4-6月期 雇用コスト指数 前期比 (1-3月 1.2%、予想 1.1%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 0.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 PCE(個人消費支出) 前月比 (5月 0.1%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 PCEデフレーター 前年同月比 (5月 3.8%、予想 3.0%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター 前月比 (5月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (5月 4.6%、予想 4.2%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 72.6、予想 72.6)


注:ポイント要約は編集部

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