ドル円、ややハト派的なパウエルFRB議長発言を受けて一時140円を割り込む場面も(7/27朝)

26日(水)のドル円相場は冴えない動き。

ドル円、ややハト派的なパウエルFRB議長発言を受けて一時140円を割り込む場面も(7/27朝)

ドル円、ややハト派的なパウエルFRB議長発言を受けて一時140円を割り込む場面も

〇ドル円、FOMC後のハト派なパウエル議長発言に一時139.94まで下落、140円台前半で推移
〇パウエル議長の9月利上げ見送りの可能性言及に反応、他の発言には全般反応薄
〇ユーロドル、FOMC後一時1.1107まで反発、下値堅く1.10台後半での推移
〇ドル円、下方向に「雲」上限控え、強気のパーフェクトオーダーも継続点灯、下値余地乏しい
〇パウエル議長は米9月再利上げの可能性も否定せず、日米金利差拡大への思惑がドル円を支持
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:139.50ー141.50

海外時間のレビュー

26日(水)のドル円相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値141.19まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)重要イベント(米FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合)を控えたポジション調整や、(2)国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストであるピエールオリビエ・グランシャ氏による「日本の物価には上振れリスクがあるため、日銀は現在のイールドカーブコントロール政策から脱却すべき」との提言発表、(3)米6月新築住宅販売件数(結果69.7万件、予想72.5万件)の市場予想を下回る結果、

(4)米FOMCの予想通りの結果(FF金利の25bp利上げ)、(5)パウエルFRB議長による「9月は利上げの可能性も、利上げなしの可能性もある」との慎重な発言(利上げなしの可能性に触れたことに市場が反応)、(6)上記5を背景とした米長期金利の低下幅拡大が重石となり、日本時間早朝4時過ぎに、安値139.94まで下落しました。

引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/27午前5時35分現在)では、140.35前後で推移しております。尚、パウエルFRB議長は上記発言以外にも、「今後も会議ごとに決定を下していく」「6月消費者物価指数の減速は歓迎だがそれは1カ月だけ」「FEDは今年利下げしないだろう」「FOMCの何人かが来年の利下げを期待している」「インフレが低下すればそこが利下げの時期」「スタッフはもはや今年の景気後退を予測していない」などの発言を行いましたが、市場の反応は限定的となりました。

26日(水)ユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.1037まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)重要イベント(米FOMCやECB理事会)を控えたポジション調整や、(2)米経済指標の冴えない結果、(3)パウエルFRB議長によるややハト派的な発言、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1107まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/27午前5時35分現在)では、1.1086前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円はややハト派的なパウエルFRB議長発言を受けて一時139.94まで下落しました。但し、ダウンサイドに強力なサポート水準として意識されている一目均衡表雲上限が控えていることや、強い買いシグナルを示唆する強気のパーフェクトオーダーが継続点灯していること等を踏まえると、テクニカルに見て、ここからの更なる下落は容易では無いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長は次回9月FOMCで利上げをしない可能性に言及した一方、9月に利上げを行う可能性にも言及しているため、当該発言を以って、ハト派的と捉えるのは時期尚早。あくまでデータ次第とのスタンスを変えていないため、今後出てくるインフレ指標や労働指標が強ければ9月FOMCでの追加利上げを一気に織り込むリスクあり)や、(2)日銀による金融緩和の継続観測(植田日銀総裁による直近の発言や、ブルームバーグによる観測記事などを踏まえると、今週末に予定されている日銀金融政策決定会合では金融緩和の修正が見送られる公算大)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑、(4)株式市場の堅調推移(米金利が上昇しても米株が崩れていない→リスク選好の円売り要因)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はECB理事会(21:15)やラガルドECB総裁記者会見(21:45)に注目が集まります。ECBは25bpの利上げを決定する一方、次回会合(9月ECB理事会)での追加利上げの予告は行わないと見られることから、市場はこれをハト派的と解釈し、「欧州債利回り低下→ユーロ売り→ドル買い」の経路で、ドル円には上昇圧力がもたらされると考えられます。また、本日は米国側でも、米4-6月期GDP速報値(21:30)、米6月耐久財受注速報値(21:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、米カンザスシティ連銀7月製造業活動指数(24:00)など重要イベントが目白押しとなります。米経済の力強さが示される場合には、米金利上昇に伴うドル買い圧力と、米株上昇に伴うリスク選好の円売りの組み合わせでドル円が一気に反発に転じるシナリオも想定されるため、本日海外時間はドル円のアップサイドリスクに特に警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:139.50ー141.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、ややハト派的なパウエルFRB議長発言を受けて一時140円を割り込む場面も

ドル円日足

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