『インフレ鈍化に伴う実質金利上昇で約7カ月ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週の南ア円、週末にかけ7.91まで急伸
〇フィッチの格付け「BBマイナス」「安定的」との判断、南アインフレ収束、円安の進行等が背景
〇南ア円、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも継続、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも国内のインフレ鈍化期待、ロシアを巡る外交リスク後退等がサポート
〇不確実要素も残るが、来週は、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.75ー8.05
今週のレビュー(7/17−7/21)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.66円で寄り付いた後、早々に週間安値7.63円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)格付け会社フィッチが南アフリカのソブリン債格付けを「BBマイナス」「安定的」と判断したことや、(2)米FRBによる金融引き締め休止観測(年内の利上げ回数があと1回に留まるとの期待感)、(3)南ア6月消費者物価指数(結果+5.4%、予想+5.5%)の市場予想を下回る結果(2022年4月以来初めてインフレ目標の範囲内に収束)、(4)南ア6月消費者物価コア指数(結果+5.0%、予想+5.1%)の市場予想を下回る結果、(5)上記3、4を背景とした実質金利上昇とそれに伴う南アランド買い圧力の再開、
(6)南ア中銀による政策金利の据え置き決定(2021年11月以来となる据え置きを決定するも、全会一致ではなく、5名の委員のうち2名が25bpの利上げを主張→利上げ観測残存)、(7)プーチン露大統領によるBRICS首脳会議へのオンライン参加の方針示唆(外交リスク後退に伴う安堵感)、(8)対主要通貨での円売り圧力(植田日銀総裁によるハト派的な発言や、ブルームバーグ社によるYCC修正が見送られる可能性が高いとの観測報道→ドル円・クロス円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.91円(昨年12/20以来、約7カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/22午前3時10分現在)では、7.89円前後で推移しております。
来週の見通し(7/24−7/28)
南アフリカランドの対円相場は、5/12に記録した安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約7カ月ぶり高値となる7.91円(昨年12/20以来の高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)を軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ国内のインフレ鈍化期待や、(2)上記1を背景とした実質金利の急上昇、(3)ロシアを巡る外交リスク後退、(4)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)、(5)米FRBによる金融引き締め休止観測(南アフリカからの資金流出リスク後退)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(今週発表された南ア5月小売売上高は市場予想の前月比▲0.2%に対して結果が▲0.7%)や、欧米との関係悪化懸念など、不確実要素も幾つか残っているものの、ひとまず来週は、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア6月生産者物価指数以外に目立った経済イベントが予定されていないため、米FOMCや日銀金融政策決定会合を睨みながらの展開となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.75ー8.05
南アフリカランド円日足
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