トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。リラ売りトレンドの継続を想定』(7/22朝)

トルコリラの対円相場は、週央にかけて史上最安値を更新しました(対ドル相場も史上最安値を更新)。

トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。リラ売りトレンドの継続を想定』(7/22朝)

『史上最安値を再び更新。リラ売りトレンドの継続を想定』

〇今週のトルコ円、週前半に史上最安値5.09まで下落後、週末にかけ5.26前後まで持ち直す動き
〇トルコ中銀の利上げ実施と追加利上げ示唆、預金準備率引き上げ、円安進行がサポート
〇トルコ円、全てのテクニカルポイントの下側で推移、売りシグナルも継続、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済の先行き不透明感、中銀の大統領への配慮等が重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.40

今週のレビュー(7/17−7/21)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.30円で寄り付いた後、早々に週間高値5.34円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコとロシアの関係悪化懸念の高まり(トルコがスウェーデンの北大西洋条約機構加盟に合意→ロシア上院国防安全保障委員会のボンダレフ委員長は先週「挑発的な決定を下したトルコが非友好国になりつつある」と発言)や、(2)トルコ国営銀行による「リラ買い支え」の取り止め報道、(3)トルコ現地メディアによる「政策金利の引き上げ幅が不十分なものに留まる」との観測記事が重石となり、翌7/18にかけて、史上最安値5.09円まで下落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(4)トルコ中銀による2会合連続での利上げ実施(政策金利を15.0%から17.5%へ250bp引き上げ)や、(5)声明文における追加利上げを示唆する記述(インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、必要な金融引き締めを適時かつ段階的にさらに強化する)、(6)トルコ中銀による預金準備率の15%への引き上げ決定、(7)対主要通貨での円売り圧力(植田日銀総裁によるハト派的な発言や、ブルームバーグ社によるYCC修正が見送られる可能性が高いとの観測報道→ドル円・クロス円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/22午前3時20分現在)では、5.26円前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(7/24−7/28)

トルコリラの対円相場は、週央にかけて史上最安値を更新しました(対ドル相場も史上最安値を更新)。日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ7月消費者信頼感指数は前月の85.1から80.1へと急低下)や、(2)エルドアン大統領の政策転換リスク(政府・中銀は経済政策および金融政策の正常化を志向しているが、エルドアン氏の一言でこうした路線が将来的に覆るリスクあり)、(3)リラ売り抑制策の撤廃観測(リラ売り圧力を抑制する目的で導入されてきた資本規制や為替介入が撤廃されるとの思惑→事実今週も国営銀行によるリラ買い支えが取りやめられたとの観測報道あり)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。

特に上記2については、今週の利上げ幅が市場予想(500bp利上げ)を下回る250bpに留まった点からも、中銀メンバーがエルドアン氏に配慮していることが明らかであり、今後も市場の失望感を誘う材料として意識されそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ側で目立った経済イベントが予定されていないため、米FOMCや日銀金融政策決定会合に振らされる展開となりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.40

『史上最安値を再び更新。リラ売りトレンドの継続を想定』

トルコリラ円日足

注:ポイント要約は編集部

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