『史上最安値を再び更新。リラ売りトレンドの継続を想定』
〇今週のトルコ円、週前半に史上最安値5.09まで下落後、週末にかけ5.26前後まで持ち直す動き
〇トルコ中銀の利上げ実施と追加利上げ示唆、預金準備率引き上げ、円安進行がサポート
〇トルコ円、全てのテクニカルポイントの下側で推移、売りシグナルも継続、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済の先行き不透明感、中銀の大統領への配慮等が重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.40
今週のレビュー(7/17−7/21)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.30円で寄り付いた後、早々に週間高値5.34円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコとロシアの関係悪化懸念の高まり(トルコがスウェーデンの北大西洋条約機構加盟に合意→ロシア上院国防安全保障委員会のボンダレフ委員長は先週「挑発的な決定を下したトルコが非友好国になりつつある」と発言)や、(2)トルコ国営銀行による「リラ買い支え」の取り止め報道、(3)トルコ現地メディアによる「政策金利の引き上げ幅が不十分なものに留まる」との観測記事が重石となり、翌7/18にかけて、史上最安値5.09円まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(4)トルコ中銀による2会合連続での利上げ実施(政策金利を15.0%から17.5%へ250bp引き上げ)や、(5)声明文における追加利上げを示唆する記述(インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、必要な金融引き締めを適時かつ段階的にさらに強化する)、(6)トルコ中銀による預金準備率の15%への引き上げ決定、(7)対主要通貨での円売り圧力(植田日銀総裁によるハト派的な発言や、ブルームバーグ社によるYCC修正が見送られる可能性が高いとの観測報道→ドル円・クロス円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/22午前3時20分現在)では、5.26円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(7/24−7/28)
トルコリラの対円相場は、週央にかけて史上最安値を更新しました(対ドル相場も史上最安値を更新)。日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ7月消費者信頼感指数は前月の85.1から80.1へと急低下)や、(2)エルドアン大統領の政策転換リスク(政府・中銀は経済政策および金融政策の正常化を志向しているが、エルドアン氏の一言でこうした路線が将来的に覆るリスクあり)、(3)リラ売り抑制策の撤廃観測(リラ売り圧力を抑制する目的で導入されてきた資本規制や為替介入が撤廃されるとの思惑→事実今週も国営銀行によるリラ買い支えが取りやめられたとの観測報道あり)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。
特に上記2については、今週の利上げ幅が市場予想(500bp利上げ)を下回る250bpに留まった点からも、中銀メンバーがエルドアン氏に配慮していることが明らかであり、今後も市場の失望感を誘う材料として意識されそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ側で目立った経済イベントが予定されていないため、米FOMCや日銀金融政策決定会合に振らされる展開となりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.40
トルコリラ円日足
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.11.22
ドル円見通し 21日夜からの反落で一時154円割る、日銀総裁は12月利上げの可能性排除せず(24/11/22)
ドル円は21日深夜には153.90円まで安値を切り下げた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.22
ドル円、下落後に反発するなど底堅い動き。上昇トレンドの継続を想定(11/22朝)
21日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.07.24
トルコリラ円見通し ドル円の急伸で戻すがドル高リラ安基調は変わらず (23/7/24)
トルコリラ円の7月21日は概ね5.27円から5.19円の取引レンジ、22日早朝の終値は5.26円で前日終値の5.23円からは0.03円の円安リラ高だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.07.21
トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げ幅は予想を下回るも反応鈍く、ドル円に合わせて上昇(23/7/21)
トルコリラ円の7月20日は概ね5.24円から5.15円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.23円で前日終値の5.21円からは0.02円の円安リラ高だった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。