来週の為替相場見通し:『FOMC、ECB理事会、BOJなど、米欧日の金融政策イベントに注目』(7/22朝)

ドル円は7/14に記録した約2ヵ月ぶり安値137.25(5/17以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、週末にかけて、一時141.96まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『FOMC、ECB理事会、BOJなど、米欧日の金融政策イベントに注目』(7/22朝)

『FOMC、ECB理事会、BOJなど、米欧日の金融政策イベントに注目』

〇今週のドル円、週前半に安値137.70まで下落後、週末にかけて141.96まで急伸
〇植田総裁のハト派発言、米長期金利の反発、日銀のYCC修正不要観測記事等が背景
〇ユーロドル、週前半に1.1277まで上昇するも週末にかけて1.1107まで急落
〇ドル円、6/30高値145.07と7/14安値137.25の半値戻し141.16を上方ブレイク、地合い好転
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑がサポート
〇来週は7/25−26開催の米FOMC、7/27−28開催の日銀金融政策決定会合に注目
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):140.00−144.00、(EURUSD):1.0950−1.1250

今週のレビュー(7/17−7/21)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初138.76で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の修正観測や、(2)米6月小売売上高(結果+0.2%、予想+0.5%)および、米6月小売売上高除く自動車(結果+0.2%、予想+0.3%)の市場予想を下回る結果、(3)米FRBによる金融引き締め休止観測、(4)イエレン米財務長官による「企業側の雇用需要の強さは後退した」「複数の要因がインフレを下押ししている」との慎重な発言が重石となり、翌7/18にかけて、週間安値137.70まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)植田日銀総裁による「持続的・安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」とのハト派的な発言(日銀による金融緩和の修正観測の後退→円キャリートレード解消の流れの終焉→ドル円のショートカバー誘発)や、(6)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(7)米新規失業保険申請件数(結果22.8万件、予想24.0万件)の良好な結果、(8)上記7を背景とした米長期金利の反転上昇、(9)心理的節目140.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(10)米ブルームバーグ社による「日銀は現時点でイールドカーブコントロール政策を修正する必要性は乏しいと認識」との観測報道が支援材料となり、週末にかけて、週間高値141.96まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/22午前3時45分現在)では、141.77前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1235で寄り付いた後、(1)ジェンティローニ欧州委員会経済担当委員による「2024年のインフレ率は2%に接近する見込み」「コアインフレ率の低下には時間がかかる見通し」とのタカ派的な発言や、(2)米FRBによる金融引き締め休止観測(米長期金利低下→米ドル全面安)、(3)前週末金曜日(7/14)高値1.1245突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売り、(4)イタリア中銀ビスコ総裁による「基調的なインフレは根強い」とのタカ派的な発言、(5)欧州株の底堅い動きが支援材料となり、翌7/18にかけて、週間高値1.1277(昨年2/24以来、約1年5カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)オランダ中銀クノット総裁による「7月より後の利上げはあり得るが確実というわけではない」「コアインフレは横ばい状態となったようだ」とのハト派的な発言や、(7)ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「あと25bpの利上げで十分」「インフレは低下しており更なる金融引き締めはユーロ圏経済に悪影響を及ぼす恐れ」とのハト派的な発言、(8)上記6、7を背景としたECBによる金融引き締め休止観測、(9)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(10)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値1.1107(7/12以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/22午前3時45分現在)では、1.1128前後で推移しております。

来週の見通し(7/24−7/28)

<ドル円相場>
ドル円は7/14に記録した約2ヵ月ぶり安値137.25(5/17以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、週末にかけて、一時141.96まで急伸しました。日足ローソク足が90日線や200日線に下支えされる形で綺麗に反発に転じていること(下値の堅さの再確認)や、一目均衡表雲上限がサポートとして確り機能し続けていること、強い買いシグナルを示唆する強気のパーフェクトオーダーが点灯したこと、6/30高値145.07と7/14安値137.25を結んだフィボナッチ半値戻し141.16を上方ブレイクできていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転が期待されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測の後退(米7月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率上昇および米新規失業保険申請件数の良好な結果を受けて、米FRBによる金融引き締め長期化観測が再燃→米長期金利上昇→米ドル買い再開)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測の後退(植田日銀総裁による「持続的・安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」とのハト派的な発言や、米ブルームバーグ社による「日銀は現時点でイールドカーブコントロール政策を修正する必要性は乏しいと認識」との観測報道を受けて、日銀によるYCC修正観測が後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は上記1を確認する目的で7/25ー7/26に開催される米FOMC、上記2を確認する目的で7/27ー7/28に開催される日銀金融政策決定会合に注目が集まります。前者については、25bpの利上げが決定されると共に、声明文やパウエルFRB議長記者会見でのタカ派的な見解・コメント(追加利上げの可能性の残存)が想定されます。次回利上げの有無は「データ次第」としつつも、年内2回の利上げの可能性を強く残す(排除しない)と見られることから、市場の反応は「米長期金利上昇→米ドル買い」となりそうです。後者については、植田日銀総裁によるハト派的な発言や、米ブルームバーグ社による観測記事が出ていることから、日銀は今回も金融緩和の修正(イールドカーブコントロールの許容変動幅拡大など)を見送るものと推察されます。

但し、市場では依然としてイールドカーブコントロールの許容変動幅が±0.50%から±0.75%や±1.00%へ拡大するとの見通しが根強く残っているため、見送り決定後は、失望感から円売り圧力が強まりそうです(円キャリートレードの再開)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米FOMC、日銀金融政策決定会合以外にも、米コンファレンスボード消費者信頼感指数や、米第2四半期GDP速報値、米6月PCEデフレータ、本邦7月東京都区部消費者物価指数など重要イベントが複数予定されております。

来週の予想レンジ(USDJPY):140.00ー144.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/6に記録した安値1.0833をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約1年5カ月ぶり高値となる1.1277(昨年2/24以来の高値圏)まで急伸しました。ダウンサイドに複数のサポートポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)が並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「強い」と判断できます。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)ECBによる金融引き締め長期化観測の後退(今週は複数のECB当局者よりハト派的な発言あり→ECBによる金融引き締め休止観測再燃→ユーロ売り再開)や、(2)米FRBによる金融引き締め休止観測の後退(米7月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率上昇および米新規失業保険申請件数の良好な結果を受けて、米FRBによる金融引き締め長期化観測が再燃→米長期金利上昇→米ドル買い再開)、(3)上記1、2を背景とした欧米金利差拡大とそれに伴うユーロ売り・ドル買い圧力など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が確認されます。事実、週末にかけてユーロドルは、7/12以来となる安値1.1107まで反落しました。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で7/27に予定されているECB理事会、上記2を見極める目的で7/25ー7/26に開催される米FOMCに注目が集まります。前者については、25bpの利上げが決定される一方、声明文やラガルドECB総裁からは、次回9月会合での利上げの予告が出てこないシナリオ(データ次第とのスタンスに留め、これまでのような次回利上げの予告はせず)が考えられます。市場はこれをハト派的と捉える可能性が高いことから、直後の反応は、「欧州債利回り低下→ユーロ売り」となりそうです。

後者については、上記ドル円の項目で述べた通り、25bpの利上げに加えて、声明文やパウエルFRB議長記者会見で、追加利上げの可能性を残すと見られることから、市場の反応は、「米長期金利上昇→米ドル買い」となりそうです。以上を踏まえ、当方ではユーロドル相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はECB理事会以外にも、ユーロ圏7月PMI速報値や、ドイツ7月IFO景況指数など、ユーロ圏の景況感を占う上での重要イベントが複数予定されております。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0950−1.1250

『FOMC、ECB理事会、BOJなど、米欧日の金融政策イベントに注目』

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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