トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げ幅は予想を下回るも反応鈍く、ドル円に合わせて上昇(23/7/21)

トルコリラ円の7月20日は概ね5.24円から5.15円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.23円で前日終値の5.21円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀利上げ幅は予想を下回るも反応鈍く、ドル円に合わせて上昇(23/7/21)

トルコ中銀利上げ幅は予想を下回るも反応鈍く、ドル円に合わせて上昇

〇トルコ円、7/20午前安値で5.15まで下げた後上昇を継続、深夜に7/19深夜高値と同値の5.24まで戻す
〇対ドル、7/20は史上最安値更新はなかったが、26リラ台後半にとどまり最安値更新への余裕乏しい
〇トルコ中銀、政策金利を17.5%へ引上げ、予想下回るも追加利上げ姿勢強調、次回20%到達もあるかか
〇5.24超えからは5.27前後への上昇を想定するが、5.27以上は反落警戒とする
〇5.14割れからは下落期入りと仮定して、7/18安値5.08試しとする

【概況】

トルコリラ円の7月20日は概ね5.24円から5.15円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.23円で前日終値の5.21円からは0.02円の円安リラ高だった。
トルコ中銀は7月20日の金融政策員会で政策金利の週間レポレートを15.0%から17.5%へ2.5%引き上げた。市場予想は17.0%から21.5%のレンジで予想中央値は20.0%だったため、市場の期待に応えられない程度の利上げにとどまったが、追加利上げ姿勢を強調したこともあり、利上げ継続の可能性を意識して対ドルでは史上最安値更新へは進まずに安値圏にとどまっての小動きだった。このためトルコリラ円はドル円が7月21日未明にかけて上昇したことに合わせて午前安値で5.15円まで下げたところからの上昇を継続し、20日深夜には19日深夜高値と同値となる5.24円まで戻した。

ドル円は6月30日高値145.06円からの大幅下落が7月14日安値137.24円で落ち着き、7月18日夜に日銀植田総裁が金融緩和継続姿勢を示したことによる円安再開感で19日夜には140円に迫っていたが、20日午前に139.10円まで下げたところを買われ、20日夜の米新規失業保険申請件数が予想外に減少したことによる米長期債利回り上昇とドル高で21日未明には140.49円まで高値を切り上げた。しかしその後は勢いが続かずに21日午前には140円を割り込んでいる。
トルコリラ円はトルコ中銀への大幅利上げ催促によるリラ売りで7月18日には5.08円まで史上最安値を更新してきたが、予想を下回る利上げ幅だったものの追加利上げ見通しもあり、ドル円がやや持ち直し基調で推移していることで下げ渋りの様相だ。

【7月19日の史上最安値更新後は下げ一服】

ドル/トルコリラの7月20日は概ね26.97リラから26.48リラの取引レンジ、21日早朝の終値は26.73リラで前日終値の26.77リラからは0.04リラのドル安リラ高だった。
5月28日のエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落に続き、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15.0%への利上げを不足としてリラ暴落が再開したことで6月28日には26.19リラへ最安値を大幅に更新し、その後もリラ安基調は続き、7月20日のトルコ中銀金融政策委員会が迫る中で大幅利上げを催促するリラ売りにより7月19日午後には27.16リラへ史上最安値を更新してきた。

7月20日のトルコ中銀による17.5%の利上げは予想の20.0%を下回ったものの追加利上げ姿勢が強調されたことや外貨準備高の増加もあり、ひとまず中銀の利上げ継続姿勢に敬意を示してリラ売りがやや落ち着いて史上最安値更新へは進まなかったが、1ドル26リラ台後半にとどまり最安値更新への余裕も乏しい状況にある。
7月20日に発表された7月消費者信頼感指数は80.1となり6月の85.1から悪化した。6月の中央政府債務残は5兆6170億リラで5月の4兆7340億リラを上回り史上最大となった。

【トルコ中銀の利上げは市場予想を下回ったが、次回の追加利上げでの20%到達もあり得るところ】

トルコ中銀は20日、政策金利の週間レポレートを15.0%から17.5%へ引き上げた。エルカン新総裁体制に入ってから2会合連続の利上げとなり、就任前の8.5%から合計で9%の利上げとなった。主要金利では、翌日物貸出金利が16.5%から19.0%へ、翌日物借入金利が13.5%から16.0%へ、後期流動性貸出金利が19.5%から22.0%へ引き上げられた。
市場予想は20%への利上げであり、予想レンジは17.0%から21.5%だったため、予想レンジの下限に近い利上げにとどまり期待外れではあったが、次回会合で3会合連続利上げを行えば20%に届くため、市場の失望的なリラ売りはさほど見られず発表後はややリラ高での小動きだった。
トルコ中銀は「利上げを支えるために量的引き締めと信用の引き締めを行う」とし、「インフレ見通しの大幅改善が実現するまで金融引き締めは速やかかつ段階的に必要な限り一段と強化される」と声明で述べている。

利上げ発表後に公表された週次の外貨準備高は7月14日時点のグロスで713.8億ドルとなり前週の698.4億ドルから増加し、ネットでは132.5億ドルとなり前週の131.7億ドルから若干の増加となった。エルカン新総裁就任前は外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための非公式市場介入を繰り返し、一時はマイナス57億ドルのマイナス勘定に陥っていたが、エルカン総裁が外貨準備を取り崩しての市場介入をやめるとしたことにより徐々に回復している。しかし為替市場におけるスワップ残が凡そ400億ドルあり、それを加味すれば正味のマイナス勘定状態は変わらないとされている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月18日夕刻へ急落してからの反騰により、19日午前時点では18日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日夜から24日午後にかけての間への上昇を想定した。
7月20日午前にかけて5.15円まで下げたもののその後の反騰で19日深夜高値を上抜いているのでまだ上昇余地ありとするが、すでに反落警戒期に入っているので5.14円割れからは弱気サイクル入りとして21日夕から25日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月20日深夜への上昇で遅行スパンは好転を維持し、先行スパンを上抜き返しているので遅行スパン好転中は上昇余地ありとするが、次に先行スパンから転落する場合は下落期入りの可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月19日深夜高値から20日深夜高値への一段高に際して指数のピークがわずかに切り上がる程度でほぼフラットであるため上昇一巡後の反落注意とみる。60ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは20ポイント台を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.14円を下値支持線、5.24円を上値抵抗線とする。
(2)5.24円超えからは5.27円前後への上昇を想定するが、5.27円以上は反落警戒とする。
(3)5.14円割れからは下落期入りと仮定して7月18日安値5.08円試しとする。5.10円以下は反発注意とするが、5.14円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月25日
 16:00 7月 製造業信頼感指数 (6月 108.2)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 76.8%)
7月27日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会議事要旨
 20:00 トルコ中銀 四半期ベースの年末インフレ率予想調査
7月28日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -125.3億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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