ドル円見通し 7月14日安値以降の高値更新、140.50円手前からは反落(23/7/21)

20日夜の米新規失業保険申請件数が予想外に減少したことをきっかけとしたドル高反応で21日未明に140.49円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し 7月14日安値以降の高値更新、140.50円手前からは反落(23/7/21)

ドル円見通し 7月14日安値以降の高値更新、140.50円手前からは反落

〇ドル円、7/20午前139.10まで下げるも139円台を維持して持ち直し、7/21未明140.49まで上昇
〇その後買い一巡で140円割れまで失速したが、ユーロやポンド等が下落に転じドル安に一服感
〇昨日発表の米経済指標はまちまちの結果だが、新規失業保険申請件数の減少への反応からドル高に
〇米長期債利回りは総じて上昇、NYダウは9連騰、ナスダックは反落
〇139.50を上回るうちは140.10超えから上昇再開とし、140.49超えから141円を目指す上昇を想定する
〇139.50割れを弱気転換注意とし、7/20午前安値139.10割れからは138円台前半への下落を想定する

【概況】

ドル円は7月18日のG20財務相・中銀総裁会合後の会見で日銀植田総裁が金融緩和政策継続姿勢を示したことをきっかけに138円割れの水準から19日夜高値139.99円へ上昇し、20日午前にかけては上昇一服で139.10円まで下げたものの139円台を維持して持ち直し、20日夜の米新規失業保険申請件数が予想外に減少したことをきっかけとしたドル高反応で21日未明に140.49円まで高値を切り上げた。その後は買い一巡で140円割れまで失速しているが、ユーロやポンド等が下落に転じたことでドル安に一服感が出ており、NYダウの9連騰による株買い・米国債売りによる米長期債利回り上昇も見られるため、ドル円は調整を消化しながら高値切り上げを試しやすいところと思われる。

【米経済指標はまちまちだったが新規失業保険申請件数の減少に対する反応を優先してドル高に】

7月20日に発表された米経済指標は強弱まちまちだったが、新規失業保険申請件数が予想外に減少したことやフィラデルフィア連銀景況指数の6か月先見通しが大幅な改善を示したことで為替市場はドル高に反応した。
米労働省による新規の失業保険申請件数は7月15日までの週間で前週比9000件減少の22万8000件となり2週連続の改善で市場予想の24万2000件を大幅に下回った。失業保険受給者総数は7月8日までの週間で175万4000人となり前週から3万3000人増で市場予想の172万9000人を上回ったが、新規失業保険申請件数に対して1週遅れのため新規失業保険申請件数が予想外に減少したことがサプライズ感となりドル高反応を招いたようだ。

米フィラデルフィア連銀による7月製造業景況指数はマイナス13.5となり6月のマイナス13.7から若干改善したものの市場予想のマイナス10.0を下回ったが、6か月先見通しについては6月のプラス12.7から7月はプラス29.1へと大幅に改善した。
米不動産業者協会(NAR)による6月中古住宅販売件数(年換算)は前月比3.3%減の416万戸となり2か月振りに減少し、前年同月比は18.9%減となった。販売価格の中央値は前月比3.5%上昇の41万200ドルで過去2番目の高水準となり、過去最高値だった昨年6月に対しては0.9%低下だった。
米コンファレンスボードによる6月の米景気先行指数は106.1となり5月から0.7%低下して市場予想の0.6%低下も下回った。同社は「先行指数の低下は消費者期待の低下、新規発注の弱さ、失業保険申請の増加、住宅建設減少が要因」とし、「米経済は今年第3四半期から来年第1四半期にかけて景気後退に陥るだろう」と述べている。

7月7日の米雇用統計における就業者数がさえない数字となり、7月12日と13日の米CPIおよびPPIが鈍化し、小売売上高や鉱工業生産が低調だったこと等が景気減速とインフレの鈍化傾向を示しているとして市場はドル安反応を見せてきたのだが、これらによるドル安に一服感が出ている状況と思われる。市場は7月25-26日のFOMCにおける0.25%利上げを確実視しつつ、9月以降については利上げ停止の可能性を優勢とみていたが、7月20日の新規失業保険申請件数の減少により、9月については今後の経済指標次第としてやや利上げ停止感が後退した印象もある。

【米10年債利回りは反騰、ダウは9連騰】

7月20日の米長期債利回りは総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.10%ポイント上昇の3.85%となった。7月7日に4.09%まで上昇したところから19日に3.73%まで低下してきたが、その後は持ち直しの動きを見せている。
30年債利回りは0.07%上昇の3.91%となり、7月10日に4.09%まで上昇したところから19日に3.83%まで低下したが、その後は持ち直しがみられる。利上げに敏感な2年債利回りは0.08%上昇の4.85%となり、7月6日の5.12%から7月13日に4.61%まで下げた後は持ち直している。
FRBによる年内利上げ問題について7月利上げ後の9月は据え置きになるのではないかとの見方が優勢となっていたが、指標次第では追加利上げもあり得るとの見方が再浮上している印象もある。NYダウの連騰による株買い・米国債売りにより長期債利回りに上昇圧力がかかっている側面もあるようだ。

NYダウの7月20日は前日比163.97ドル高と上昇して連騰を9営業日に伸ばした。米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期決算が好感されたこともプラス要因となったようだが、リセッションに陥らずに追加利上げも限定的なものにとどまるとの楽観を優先しているようだ。ただナスダック総合指数は294.71ポイント安と反落しており、米長期債利回りの反発を嫌い、テスラやネットフリックスの下落等が押し下げ要因となったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月19日夜の上昇で7月17日夜高値を超えたため、7月14日午前安値137.24円と7月18日夜安値137.71円をダブル底とした上昇期に入っているとし、高値形成期を7月17日夜高値を基準として20日夜から24日夜にかけての間と想定した。7月21日未明に140.50円に迫ってから140円割れへ失速しているので戻り一巡から下落に転じている可能性もあるが、20日午前安値139.10円割れを回避するうちは21日未明高値超えから141円に迫る可能性も残ると考える。
139.50円割れからは7月20日午前安値139.10円試しとし、139.10円割れからは下落期入りとみて21日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では20日夜の上昇で一時悪化していた遅行スパンが好転し、先行スパンを上回る状況も維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンに潜り込むところからは下落期入りを警戒し、遅行スパンが悪化するところからは安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込む場合は下限が下値支持線となりやすく、その後に先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開と考えるが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は7月19日夜高値から21日未明高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため反落期入りを警戒する。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.50円を下値支持線、7月21日未明高値140.49円を上値抵抗線とする。
(2)139.50円を上回るうちは140.10円超えから上昇再開とし、140.49円超えからは141円を目指す上昇を想定する。140.90円以上は反落警戒とするが、140円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)139.50円割れを弱気転換注意とし、7月20日午前安値139.10円割れからは138円台前半への下落を想定する。138.50円以下は反発注意とするが、139.10円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/21(金)
08:30 (日) 6月 CPI(全国消費者物価指数) 前年同月比 (5月 3.2%、予想 3.2%、結果 3.3%)
08:30 (日) 6月 CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (5月 3.2%、予想 3.3%、結果 3.3%)
08:30 (日) 6月 CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (5月 4.3%、予想 4.2%、結果 4.2%)

15:00 (英) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.3%、予想 0.2%)
15:00 (英) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 -2.1%、予想 -1.5%)
15:00 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 0.1%、予想 0.2%)
15:00 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (5月 -1.7%、予想 -1.6%)



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