トルコリラ円見通し 7月18日への急落一服、円安で12日ぶり反発 (23/7/20)

トルコリラ円の7月19日は概ね5.24円から5.12円の取引レンジ、20日早朝の終値は5.21円で前日終値の5.15円からは0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 7月18日への急落一服、円安で12日ぶり反発 (23/7/20)

7月18日への急落一服、円安で12日ぶり反発

〇トルコ円、7/20早朝終値は5.21、前日終値から0.06の円安リラ高
〇7/18安値で5.08の史上最安値を更新するも、トルコ中銀政策金利発表を控えて突っ込み警戒
〇7/18夜からのドル円上昇に支えられ買い戻し優勢になり5.20円台回復
〇対ドル、7/19午後に27.16へ史上最安値を更新、7/20午前は26.70から26.92のレンジで推移
〇今夜のトルコ金融政策発表、予想中央値の20%に届くかどうかがリラの強弱判断目安か
〇5.21超えからは上昇再開とみて5.23から5.25にかけての水準を試すとみるが、5.24以上は反落警戒
〇5.15割れからは下落期入りと仮定して7/18安値5.08試しとする

【概況】

トルコリラ円の7月19日は概ね5.24円から5.12円の取引レンジ、20日早朝の終値は5.21円で前日終値の5.15円からは0.06円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラでの史上最安値更新が続く中でトルコリラ円は7月18日安値で5.08円を付けて史上最安値を更新したが、7月20日夜のトルコ中銀政策金利発表を控えて突っ込み警戒となり、18日夜からのドル円の上昇が支えとなって買い戻し優勢となり5.20円台回復まで戻した。
日足は7月4日から7月18日まで11営業日続落してきたが、19日は下げ一服により12日ぶりの反発となった。
7月20日夜にはトルコ中銀金融政策委員会があり政策金利の追加引上げが予想されているが、高インフレにより実質的に大幅なマイナス金利状態にある中で市場が納得するだけの追加利上げを判断できるかどうか試されるところであり、利上げが評価に足りればリラの反騰入りへのきっかけとなるが、6月22日の利上げでは失望売りから暴落再開のきっかけを与えてしまっている。

【週末に取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの7月19日は概ね27.16リラから26.58リラの取引レンジ、20日早朝の終値は26.77リラで前日終値の26.92リラからは0.15リラのドル安リラ高だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落で6月13日に23.77リラへ史上最安値を大幅に更新し、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15.0%への利上げを不足としてリラ暴落が再開したことで6月28日には26.19リラへ大幅下落した。その後はリラ安の勢いがやや減速しながらも徐々に最安値更新を繰り返していたが、7月20日のトルコ中銀金融政策委員会を控えて大幅な追加利上げを催促するように再びリラ売りの勢いが増して7月18日には27.04リラを付けて27リラ台に到達し、19日午後には27.16リラへ史上最安値を更新した。
夕刻以降はリラ売り一巡でやや買い戻し優勢となったために終値ベースでは7月18日の史上最安値26.92リラから戻したが、26リラ台中盤ではリラ売りが再び優勢となり、20日午前は26.70リラから26.92リラのレンジで推移している。

【今夜、トルコ中銀の追加利上げを見定める】

7月20日20時からトルコ中銀の金融政策委員会(MPC)が開催される。市場の事前予想では政策金利である週間レポレートが現行の15.0%から20.0%へ引き上げられると予想されている。ロイター社調査による事前予想レンジは17%から21.5%であり、予想中央値の20%に届くかどうかがリラの強弱判断目安になるのだろうと思われる。
前回の6月22日における利上げは8.5%から15.0%への引上げにとどまり、市場予想の21%には遠く及ばなかったことが失望を招いてリラ暴落が再開した。

エルドアン大統領はエルカン氏をトルコ中銀の新総裁に起用し、財務相にかつての副首相経験者で市場の評価も高かったシムシェク氏を起用し、当面は彼らの政策を支持するとしたものの大統領の基本姿勢は変わらないと念を押すように発言している。大統領にとっては高金利は悪であり、利下げこそがインフレを鎮静化させてトルコ経済を活況とするのだという強固な信念があり、主要国の政策スタンスから見れば異端的な考え方を続けてきた。かつてはリラ安阻止のための利上げを繰り返して19%に達したところで中銀総裁を解任し、後継総裁が連続利下げに走って2021年12月へのリラ暴落を招いている。
今回の利上げが17%や18%程度にとどまるなら、大統領の利上げ許容限度は20%未満である可能性があり、その後の大胆な利上げが望めないとしてリラ安が勢い付く可能性があると思われる。逆に19%ないし20%まで引き上げれば市場も新総裁への敬意を表していったんリラの買い戻しに向かう可能性があると思われる。結果次第で大きく動く可能性のあるところとして注目したい。

注:ポイント要約は編集部

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】 

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】 

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月18日夕刻へ急落してからの反騰により、19日午前時点では18日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日夜から24日午後にかけての間への上昇を想定した。
7月19日午後に一時的急落を見せてから再上昇して19日深夜へ5.24円まで高値を切り上げたが、その後の反落で5.17円近辺まで下げているのですでにサイクルトップを付けた可能性があると注意し、5.21円超えからは上昇再開とするが、5.15円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して18日夕安値試しとし、底割れからは21日夕から25日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月18日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンからもいったん上抜けたが、20日午前にかけての反落で先行スパンへもぐりこんでいる。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の上昇余地ありとするが、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月19日深夜の上昇時に60ポイント台後半へ上昇したが、その後の反落で40ポイントを割り込んでいるのですでに戻り一巡から下落期に入っている可能性がある。50ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、30ポイント割れからは10ポイント台を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.15円を下値支持線、5.21円を上値抵抗線とする。
(2)5.21円超えからは上昇再開とみて5.23円から5.25円にかけての水準を試すとみるが、5.24円以上は反落警戒とする、
(3)5.15円割れからは下落期入りと仮定して7月18日安値5.08円試しとする。5.10円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、リラ安が勢い付く場合には5.05円以下へ進む可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

7月20日
 20:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 85.10)
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利
     週間レポレート (現行 15.0%、予想 20.0%、予想レンジ 17.0%〜21.5%)
     翌日物貸出金利 (現行 16.50%)
     翌日物借入金利 (現行 13.50%)
     後期流動性貸出金利 (現行 19.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/14時点 グロス (7/7時点 698.4億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 7/14時点 ネット (7/7時点 131.7億ドル) 
 23:30 6月 中央政府債務残高 (5月 4兆7344億リラ)
7月25日
 16:00 7月 製造業信頼感指数 (6月 108.2)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 76.8%)

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