トルコリラ円見通し 円高が一服しているもののドル高リラ安継続により史上最安値を更新(23/7/19)

トルコリラ円の7月18日は概ね5.27円から5.08円の取引レンジ、19日早朝の終値は5.15円で前日終値の5.26円から0.11円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 円高が一服しているもののドル高リラ安継続により史上最安値を更新(23/7/19)

円高が一服しているもののドル高リラ安継続により史上最安値を更新

〇トルコリラ円、ドル高リラ安基調継続で7/18夕刻には5.08へ急落、史上最安値更新
〇対ドル、7/18に27リラ台に到達、7/19午前27.12リラへと最安値を更新
〇7/20トルコ金融政策委、ロイターの政策金利事前予想中央値は20.0%、予想レンジは17%ー21.5%
〇6月CPIが依然として高水準なのに対して実質金利は大幅なマイナス状態
〇インフレは再び加速期に入る可能性があり、市場は大胆な大幅利上げ継続求める
〇5.17超えからは5.20試しとみるが、5.18から5.20手前は反落警戒
〇5.12割れからは下げ再開で7/18安値5.08試し、底割れからは5.03、5.00順次試す下落期入りとみる

【概況】

トルコリラ円の7月18日は概ね5.27円から5.08円の取引レンジ、19日早朝の終値は5.15円で前日終値の5.26円から0.11円の円高リラ安となった。
ドル円は6月30日に145.06円を付けて年初来高値としたところから下落に転じて7月14日安値137.24円まで7.82円の下落幅となったが、その後は新たな安値更新を回避しており、138円割れを買われつつ139円台前半では売られる持ち合いの様相で推移している。7月18日は米小売売上高が予想を大幅に下回ったことで一時137.71円まで下げたものの植田日銀総裁がG20財務相中銀総裁会合後の会見で金融緩和政策継続姿勢を示したことで139円台到達まで買い戻されている。
しかしトルコリラ円はドル高リラ安基調の継続により7月18日夕刻には5.08円へ急落して史上最安値を更新した。その後は売り一巡で5.15円近辺まで戻しているが、中長期的な下落基調の継続感が強まっている。

【週末に取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの7月18日は概ね27.04リラから26.12リラの取引レンジ、19日早朝の終値は26.92リラで前日終値の26.10リラからは0.82リラのドル高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落に続き、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15.0%への利上げを不足としてリラ暴落が一段と進んで6月26日に26リラ台に到達し、その後は暴落商状の減速がみられていたものの先週末に26.27リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、週明けの17日には財政収支悪化や増税ラッシュを嫌気したリラ売りにより26.37リラへと最安値を更新していた。18日もこの流れは変わらずに27.04リラを付けて27リラ台に到達、19日午前には27.12リラへ最安値を更新している。終値としても7月17日終値からの大幅下落で最安値を更新した。

【利上げ催促でのリラ売り】

7月20日20時にトルコ中銀の金融政策委員会(MPC)がある。前回の6月22日会合では政策金利の週間レポレートが8.5%から15.0%へ大幅に引き上げられたが、市場予想の21%への利上げ期待を大きく裏切る水準にとどまったために利上げ発表後にリラ暴落が一段と進行した。
7月18日にロイター社がまとめたエコノミスト調査による事前予想中央値は20.0%への大幅追加利上げであり、予想レンジは17%から21.5%と広い。
7月14日にトルコ中銀が公開した国内エコノミストに対する月次サーベイでは、2023年末のドル/トルコリラ水準を1ドル28.456リラ(6月調査時は26.180リラ)で政策金利予想は3か月後に24.79%(6月時点は21.65%)、12か月後に21.48%(6月時点は19.30%)だった。

6月のCPIは前年比が全体で38.21%、コア指数では47.3%で依然として高水準にある中で実質金利は大幅なマイナス状態が続いている。CPIの前月比は全体で3.92%上昇、コア指数で3.8%上昇だったことを踏まえればインフレは再び加速期に入る可能性があり、市場は大胆な大幅利上げ継続を求めている。
かつてトルコ中銀がリラ安抑制のために19%まで利上げしたところでエルドアン大統領は中銀総裁を解任した経緯もあり、ウォール街出身の銀行家として期待されているエルカン新総裁の利上げ姿勢を大統領がどこまで許容できるのかにより、追加利上げ幅も決まってくるのだろうと思われる。結果次第ではリラの急伸もさらなる暴落もあり得るところだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月14日午前安値から反発に入ったものの7月17日午後高値からの反落で安値を更新したために18日午前時点では17日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして19日午前から21日午前にかけての間への下落を想定した。
7月18日夕刻へ急落してから戻しているため、18日夕安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて18日夕安値を直近のサイクルボトムとする。サイクルトップ形成期は19日夜から24日午後にかけての間とするが、戻りは短命の可能性もあるとみて5.12円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して18日夕安値試しとし、底割れからは21日夕から25日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では17日夕からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも大きく転落した。18日夕安値からの下げ渋りが続けば遅行スパンは好転しやすくなるが、先行スパンから転落しているうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月18日夕刻への下落で10ポイント台へ低下してから30ポイント台後半へ戻している。40ポイント超えからは50ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント台後半は反落警戒とし、30ポイント割れからは下げ再開とみて10ポイント台を再び試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.12円を下値支持線、5.17円を上値抵抗線とする。
(2)5.17円超えからは5.20円を試すとみるが、5.18円から5.20円手前は反落警戒とする。
(3)5.12円割れからは下げ再開とみて18日安値5.08円試しとし、底割れからは5.03円、5.00円を順次試す下落期入りと考える。

【当面の主な予定】

7月20日
 20:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 85.10)
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利
     週間レポレート (現行 15.0%、予想 20.0%、予想レンジ 17.0%〜21.5%)
     翌日物貸出金利 (現行 16.50%)
     翌日物借入金利 (現行 13.50%)
     後期流動性貸出金利 (現行 19.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/14時点 グロス (7/7時点 698.4億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 7/14時点 ネット (7/7時点 131.7億ドル) 
 23:30 6月 中央政府債務残高 (5月 4兆7344億リラ)
7月25日
 16:00 7月 製造業信頼感指数 (6月 108.2)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 76.8%)


注:ポイント要約は編集部

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