ドル円見通し 先週末からは138円割れ買われる持ち合いで6/30以降の大幅下落一服(23/7/19)

ドル円は、6月の米小売売上高が市場の予想を下回ったことで直後に137.71円へ下落したところを買われて19日未明に139.13円まで戻した。

ドル円見通し 先週末からは138円割れ買われる持ち合いで6/30以降の大幅下落一服(23/7/19)

先週末からは138円割れを買われる持ち合いで6/30以降の大幅下落一服

〇ドル円、139円台へ戻すところは売られるが138円割れを買い拾われ138円台中心の持ち合いで推移
〇米6月小売売上高、市場予想を大幅に下回るもドル売り反応は限定的
〇インフレの鈍化傾向が続き、7月以降は利上げ停止へ進むのではないかとの見方が市場では優勢
〇植田総裁の安定的2%物価目標に距離あるとの発言、YCCに修正なしとの見方強めドル円上昇の支えに
〇7/18米長期債利回りはまちまち、NYダウは7連騰
〇138.50を上回るうちは139.40超えから、139.60から140円手前を目指す上昇を想定
〇138.50割れからは7/17夜安値137.71試しとし、安値更新からは7/14午前安値137.24試しとする

【概況】

ドル円は6月30日に145.06円まで上昇したところで頭打ちとなり、7月6日から13日まで6営業日続落して14日には137.24円まで安値を切り下げたが、その後は大幅下落一服となり、139円台へ戻すところは売られるものの138円割れを買い拾われて138円台中心の持ち合いで推移している。
7月18日は6月の米小売売上高が市場の予想を下回ったことで直後に137.71円へ下落したところを買われて19日未明に139.13円まで戻した。その後は138円割れを買われて139円台序盤へ戻している。
G20財務相・中銀総裁会合後の会見で植田日銀総裁が「物価見通しの前提が変わらない限りは全体のストーリー(金融緩和政策)は不変」と述べたことも金融緩和政策の修正懸念を後退させてドル円の反発に寄与した。

【米経済指標は鈍化傾向】

7月18日に米商務省が発表した6月小売売上高は前月比0.2%増となり5月の0.5%増(速報の0.3%増から上方修正)から鈍化して市場予想の0.5%増を大幅に下回った。このため発表直後にはドル売り反応がみられたが、予想を下回ったものの4カ月連続のプラスだったことでドル売りの勢いは限定的だった。
自動車・同部品を除くと0.2%増(市場予想は0.3%増)、ガソリンを除くと0.3%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.3%増だった。また小売売上高の前年同月比は1.5%増、自動車・同部品を除くと0.6%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと4.2%増だった。

米FRBによる6月の鉱工業生産指数は前月比0.5%低下となり5月の0.5%低下(速報の0.2%低下から下方修正)から2か月連続のマイナスで市場予想の0.0%を下回った。製造業は0.3%低下なったが、5月分は速報の0.1%上昇から0.2%低下へ下方修正された。また設備稼働率は78.9%で5月の79.4%からから低下し、長期平均を0.8%下回った。
小売売上高と鉱工業生産が低調だったことは来週のFOMCにおける0.25%利上げを妨げるものではないが、金融引き締めによる景気減速を示すことでインフレの鈍化傾向が続くとの見方を強めたと市場は受け止め、来週の利上げ以降は利上げ停止へ進むのではないかとの見方が優勢となっている。

【日銀金融政策変更への懸念が後退】

日銀の植田総裁はG20財務相・中銀総裁会合後の会見で、長短金利操作の修正観測に関する質問に対して「物価目標達成見通しの前提が変わらない限りは全体のストーリーは不変」と述べた。総裁は「持続的・安定的な2%の物価目標に距離があるとの認識の下、長短金利操作の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」とし、目標達成の見通しについて「毎回の金融政策決定会合でチェックしていく」と述べた。
市場では来週7月27−28日の日銀金融政策決定会合において長短金利操作(YCC)における長期金利変動許容上限が現行の0.5%から引き上げられるのではないかとの懸念が強まっていたが、この発言により大きな修正はないとの見方が強まりドル円の上昇を支えた。

【米10年債利回りは低下、ダウは7連騰】

7月18日の米長期債利回りはまちまちだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の3.79%となった。米小売売上高が低調だったことで一時3.73%まで低下したが、NYダウの連騰を見て株買い・債券売りの裁定が働いたことで上昇に転じたがマイナス圏にとどまった。
30年債利回りは0.03%低下の3.90%となったが一時3.87%まで低下してから戻した。利上げに敏感な2年債利回りは0.03%上昇の4.77%だったが、一時4.68%まで低下してからプラス圏へ上昇した。
いずれも大幅低下は一服しているもののFRBによる追加利上げ姿勢が鈍るとの見方が優勢となった状況を反映して7月14日以降は概ね横ばいの様相だ。

一方でNYダウは前日比366.58ドル高と大幅上昇して連騰を7日に伸ばした。米大手銀行の決算好調やAI関連株の上昇が連騰に寄与したが、米FRBの利上げ姿勢が鈍化するものの景気減速は限定的との見方が楽観的な株買いを助長している。ナスダック総合指数も108.69ポイント高となり週末からの連騰で昨年10月13日安値20088.83ポイント以降の高値を14396.69ポイントまで伸ばした。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月14日に137.24円まで下げた後を138円割れは買われる持ち合いで推移している。14日夜と17日夜の139円台前半で売られているために138円台を中心とした持ち合いであり、7月17日夜高値139.40円を超えないうちは持ち合い下限の137円台後半を試し、ドル安感が強まるようだと7月14日安値割れから持ち合い下放れとなる可能性があり、その際は19日午後から21日午前にかけての間への下落を想定する。
ただし、7月17日夜高値を超えれば14日午前と18日夜の両安値をダブル底とした上昇期入りとして20日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月18日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開と一段安警戒とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月18日夜への下落時に30ポイント台へ低下したがその後の反騰でいったん60ポイント超えまで戻しているため、50ポイント以上での推移なら上昇継続とみて70ポイントを試す可能性があるとみるが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月18日夜安値137.71円を下値支持線、7月17日夜高値139.40円を上値抵抗線とする。
(2)138.50円を上回るうちは139.40円超えから139円台後半(139.60円から140円手前)を目指す上昇を想定する。139.75円以上は反落注意とするが、139円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)138.50円割れからは17日夜安値137.71円試しとし、安値更新からは14日午前安値137.24円試しとする。底割れ回避から138.50円超えへ戻す場合は上昇期に入る可能性があるとみるが、底割れからは136円、135円を順次試す下落期入りと考える。

【当面の主な予定】

7/19(水)
休場 インドネシア、マレーシア
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 8.7%、予想 8.2%)
15:00 (英) 6月 CPIコア指数 前年同月比 (5月 7.1%、予想 7.1%)
15:00 (英) 6月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (5月 11.3%、予想 10.9%)
18:00 (欧) 6月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 5.5%、予想 5.6%)
18:00 (欧) 6月 HICPコア指数・改定値) 前年同月比 (速報 5.4%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前月比 (4月 -0.4%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前年同月比 (4月 0.2%)

21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算 (5月 163.1万件、予想 148.0万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 21.7%、予想 -9.3%)
21:30 (米) 6月 建設許可件数・年率換算 (5月 149.1万件、予想 1500万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 前月比 (5月 5.2%、予想 0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演


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