『来週は中国の主要経済指標と南ア中銀会合に注目。下落リスクに要警戒』
〇今週のランド円、米長期金利低下によるドル売り、南ア株の上昇に週後半にかけ7.76まで上昇
〇南ア円、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも継続、地合い強い
〇但し、7.80-90エリアに強力なレジスタンス、上値は徐々に重くなるか
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の下落を連想させる材料揃う
〇南ア中銀金融政策決定会合、現時点では「据え置き」か「25bpの追加利上げ」に見方割れる
〇引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.65
今週のレビュー(7/10−7/14)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.55円で寄り付いた後、週明け早々に、週間安値7.49円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)米6月消費者物価指数および、米6月消費者物価コア指数の市場予想を下回る結果や、(2)米6月生産者物価指数および、米6月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(3)上記1、2を背景とした米長期金利の急低下(新興国から米国への資金流出圧力後退)、(4)上記3を背景とした南アフリカ株の大幅上昇(6/20以来の高値圏へ急上昇)、(5)金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.71円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/15午前3時40分現在)では、7.67円前後で推移しております。
来週の見通し(7/17−7/21)
南アフリカランドの対円相場は、7/7に記録した安値7.46円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時7.71円まで反発しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表転換線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。但し、アップサイドには7.80ー7.90エリアに控える強力なレジスタンスが待ち構えているため、ここからの更なる上昇は容易では無く、上値は徐々に重たくなると考えられます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(先週発表された南ア6月製造業PMIは47.6と前月の49.2から一段と悪化→好不況の分岐点50を5ヵ月連続で下回る結果)や、(2)対米関係の悪化懸念(南アフリカとロシアの急接近を引き金とした対米関係の悪化リスク)、(3)南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の失速懸念(直近で発表された中国PMIが予想外に低下)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は中国の主要経済指標(中国第2四半期GDP、中国6月固定資産投資、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高)や、南ア6月消費者物価指数、南ア5月小売売上高、南ア中銀金融政策決定会合に注目が集まります。中国経済指標が市場予想を下回る場合には、上記3の裏付けとなるため、南アランドの下落要因となりそうです。
一方、南ア中銀金融政策決定会合については、現時点で市場の見方が「据え置き」か「25bpの追加利上げ」に割れているものの、仮に25bpの利上げに踏み切ったとしても、利上げに伴う南ア経済への下押し(スタグフレーション懸念が燻る中での追加利上げは景気への更なる下押し要因)が連想されるため、いずれの結果となっても南アランド売りで反応しそうです(据え置きの場合は11会合ぶりの利上げ見送りとなるため南アランド売りで反応。利上げの場合は南ア経済への下押しへの連想から南アランド売りで反応)。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.65
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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