基調はドル安へ転換、ただ底堅い値動きも(週報7月第3週)

先週のドル/円相場はドルが大幅続落。ザラ場ベースでは一時2ヵ月ぶり安値の137円前半まで下落する局面も観測されている。

基調はドル安へ転換、ただ底堅い値動きも(週報7月第3週)

基調はドル安へ転換、ただ底堅い値動きも

〇先週のドル円、週初はドル買い先行、その後は一貫した右肩下がりで一時137.25をつける
〇売られ過ぎへの反動から買い戻され、週末NYは138.80レベルで取引を終えて越週
〇日銀副総裁の発言、7月会合での修正期待に繋がり、為替市場では円買い要因に
〇米要人によるタカ派発言もあったが、インフレ指標不冴えで利上げ打ち止め予想、ドルの売り材料に
〇7/6から6営業日続落、直近高値から8円近い下落幅に、今週もドルの続落に要注意
〇短期的にはやや下げ過ぎ感も、7月最終週のFOMCなど睨みつつドルは底堅く推移か
〇今週は6月小売売上高をはじめ米経済指標、中国の重要指標の発表予定
〇G20財務相・中銀総裁会議等、注目材料目白押し
〇ドル高・円安方向は、145.07を起点としたフィボナッチ38.2%戻しの140.25レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、先週安値137.25をめぐる攻防に注目
〇今週のドル円予想レンジは、137.00-141.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅続落。ザラ場ベースでは一時2ヵ月ぶり安値の137円前半まで下落する局面も観測されている。

前週末は、米国が「ウクライナにクラスター弾供与」と発表したことが物議を醸す。またイエレン財務長官の訪中が終了するなか、自身は「一定の前進があった」と自画自賛していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は142.20円レベルで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。週間高値の143円ちょうどを示現した。しかし、以降は一貫した右肩下がり。ストップロスを巻き込みつつ、下方向のテクニカルポイントを次々割り込み、一時は137.25円を記録している。ただ、さすがに売られ過ぎことの反動からか週末の最終盤はドルの買い戻しも観測され138円台へ。週末NYは138.80円レベルで取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「ウクライナ情勢」について。
前者のうち、日本は7日付け日経新聞に掲載された内田日銀副総裁のインタビューが話題に。それほど目新しい内容ではなかったと思うのだが、「金利操作修正はバランスとって判断」と発言したことが7月会合での修正期待に繋がっていたようで、為替市場は円買い要因として捉えていた。一方、米国は週間を通してサンフランシスコ連銀総裁「インフレ抑制に利上げが不可欠」、ウォラー米FRB理事「今月末の会合で0.25%利上げしない理由はない」−−といった要人によるタカ派発言が少なくなかったが、発表された米消費者物価指数や同生産者物価指数などのインフレ指標が冴えず、逆に利上げ打ち止め観測が高まったようだ。こちらはドルの弱材料に。

対して後者は、幾つかの意味合いで11日から実施されたNATO首脳会議を中心とした、広義の欧州情勢が話題になっていた。そのひとつはスウェーデンの加盟批准に難色を示してきたトルコが一転、「批准手続き推進に同意した」こと。また明確な期限は明記されなかったが、ウクライナの加盟についてもNATOで事実上合意されている。一連の措置について、ロシアサイドはペスコフ報道官が「ウクライナに提供する安全の保障は危険な過ち」と警告を発したほか、同国外務省から「NATOで西側諸諸国は冷戦構造に回帰した」とする強烈な不満コメントが発せられていた。一方、それとは別に17日に期限切れを迎えるウクライナ産穀物輸出協定の延長有無も話題に。ただ、ロシアは「延長しない」との姿勢を崩しておらず、ギリギリまで攻防が続くことになりそうだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円の日足は、6日から怒涛の6営業日連続陰線。6月30日の直近高値145.07円を起点とした下げ幅も、およそ半月で8円近くに達する。当初は単なる調整と目されていたが、そうではなくリスクそのものが間違いなくドル安方向に転換したと言って間違いない。今週もドルの続落には要注意だ。しかし、短期的にはやや下げ過ぎの感があり、実際それもあり先週末はドルが反発に転じている。7月最終週のFOMCなど、日米金融政策決定会合をにらみ思惑交錯のなか、ドルは底堅く推移する可能性も否定できない。

引き続き日米欧の金融政策に関心を寄せる向きが多く、そうした意味では前述した7月最終週の日米金融政策発表が大きなイベントだ。市場筋の注目度も高い。日本については「7月にも日銀が政策修正に動く」といった期待感が根強く、しばらくは円を積極的には売りにくいといった声もあるなか、米国は今週発表される経済指標や企業決算などによって見方に変化が生じ思惑が交錯しそう。結果、レンジ内かもしれないが上下に振れる荒っぽい値動きには注意を要する。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先でも指摘したように145.07円を起点に、およそ半月で8円近くも下落。それを受け、移動平均では21日線を大きく下回ってきただけでなく、先週ザラ場ベースでは137円前半に位置する90日線や200日線に一時接近する局面も観測されていた。今週も同レベルをめぐる攻防にまずは要注意か。ちなみに、200日線などを下回った場合には、5月安値133.50円を起点とした上昇幅に対する76.4%押しの136.20-25円となりそう。

そうしたなか今週も、6月の小売売上高や7月のフィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標の発表が相次ぐ。また、別に中国の重要指標発表も週間を通して少なくない。そのほかG20財務相・中銀総裁会議の開催、米企業決算の発表なども予定されており注目材料は目白押しか。

そんな今週のドル/円予想レンジは、137.00-141.00円。ドル高・円安については、6月末145.07円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しにあたる140.25円レベルが最初の抵抗か。抜ければ141円レベルを目指す。
対してドル安・円高方向は、先週安値137.25円をめぐる攻防に注目。その少し下には90日線や200日線が位置している。割り込むようだと136.20-25円が視界内に。


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