ドル円 調整局面入りするも振れは大きいか (週報7月第3週)

先週のドル円は週初から一貫してドル売り+円買いの動きが継続、月曜高値から金曜安値まで5円76銭もの円高相場を演じました。

ドル円 調整局面入りするも振れは大きいか (週報7月第3週)

調整局面入りするも振れは大きいか

〇先週のドル円、月曜高値から金曜安値まで5円76銭もの円高相場
〇米金利低下と日銀のYCC修正思惑を両輪に一貫してドル売り・円買いの動きが継続
〇米CPI、PPIともに低下、7月FOMCで利上げ停止との見方再浮上により金利低下
〇今週発表の日本の総合CPIが前回3.2%から下がらない場合、YCC修正思惑が一段と高まる可能性
〇円先高観が強まれば次のターゲットは136.13だが、金融政策ウィークを控え今週はもみあいか
〇今週は136.75レベルをサポートに139.75レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週初から米金利低下と日銀のイールドカーブコントロール修正思惑を両輪に一貫してドル売り+円買いの動きが継続、月曜高値から金曜安値まで5円76銭もの円高相場を演じました。

米金利低下は米国CPIが予想よりも低かったことに加え、PPIも低く7月FOMCで利上げが打ち止めになるとの見方が再び広がってきたこと、イールドカーブコントロール(YCC)修正は前週の内田副総裁発言が先週になってから急に注目度が高まり円買い要因として取りざたされたことによるものです。

他にもシカゴ通貨先物の円売りポジションを見てもわかりますが、依然として12万枚近い高水準の円売りポジションが続いていることから7月最終週の金融政策ウィークに向けてポジション調整が入っていると考えられます。それでも金曜のNY引けで発表された火曜時点の円売りポジションにはほとんど変化が無く、ドル円、クロス円での円売りは持ったままという投機筋が多いことを感じさせます。

日銀がYCCの調整に動いたとしても日米金利差が0.25%拡大することはほぼ確実であり、絶対的な金利差を考えると、円売りポジションを持ち続けるという気持ちはわかります。ただ、あまりに高水準な円売りは危険水域に達していて、今回よりも円売りが膨らんだのは2018年1月まで遡りますが、その時は12万枚まで円売りが膨み、その後111円台前半から104円台半ばまで6%ほどの円高となりました。

今回も既に145円台前半から137円台前半まで5.4%ほど円高が進んでいますので、一波の動きとしてはそろそろいったんいいところにも思えます。今週は来週の金融政策ウィークに向けてブラックアウト期間となるためFOMCメンバーからの発言はありませんが、先週の米国CPI(3.0%)に続いて日本のCPIが発表され現時点では日米のインフレ率が逆転していることから、今週の日本のCPIは注目度が高まっています。総合CPIが前回の3.2%から下がらないとなると、YCC修正思惑が一段と高まる可能性がありそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

想定以上の円高ペースで一気に年初来安値と高値の38.2%押し138.24まで下抜けし、その後は同水準でいったん落ち着きどころを探っている動きです。円先高観が強まれば、次のターゲットは半値押しの136.13ということになりますが、上述の通りスピードが速いことを考えると、金融政策ウィークを控えて今週はもみあいになる可能性が高いように思えます。

それでも振れが大きくなってきているため、3円程度の週間レンジは考えておいた方がよさそうに思います。そうなると、一時的に半値押し水準に近づくような137円割れはありそうですし、上値は140円の大台は既にかなり上値が重くなってきていると見られます。

今週は136.75レベルをサポートに139.75レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月17日(月)
**:** 東京市場休場
11:00 中国4〜6月期GDP
11:00 中国6月鉱工業生産、小売売上高
17:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:30 レーンECB理事講演 ☆
21:15 エルダーソンECB理事講演
21:30 米国7月NY連銀製造業景況指数 ☆
**:** G20(14〜18日)

7月18日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国6月小売売上高 ☆
22:15 米国6月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国7月NAHB住宅指数 ☆
23:00 米国5月企業在庫 

7月19日(水)
07:45 NZ4〜6月期CPI ☆
15:00 英国6月CPI ☆
17:00 南ア6月CPI
18:00 ユーロ圏6月CPI
18:00 ユーロ圏5月建設支出
20:00 南ア5月小売売上高
21:30 米国6月住宅着工・建築許可 ☆
23:30 週間原油在庫統計

7月20日(木)
08:50 本邦6月貿易収支(通関)
10:30 豪州6月失業率
15:00 ドイツ6月PPI ☆
15:45 フランス7月企業景況感
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
20:00 トルコ中銀政策金利発表 ☆
21:30 米国7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
22:00 南ア中銀政策金利発表
23:00 米国6月中古住宅販売 ☆、景気先行指数
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値 ☆

7月21日(金)
08:01 英国7月消費者信頼感
08:30 本邦6月CPI ☆
15:00 英国6月小売売上高

7月23日(土)
**:** スペイン総選挙

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート

先週の概況

7月10日(月)
東京市場のドル円は週明けで新たなドル買いが出る一方で後場以降は戻り売りも出て行って来い、NY市場は東京朝方の水準で始まりました。NY市場では複数のFRB関係者のタカは発言にも関わらず金利上昇は限定的で早朝を除くと一貫して金利が低下した動きからドル売りとなりました。それ以上に円売りポジションの調整による円買いの動きが予想以上にドル円の水準を押し下げ、141.28レベルまで下落、安値引けとなりました。

7月11日(火)
ドル円は東京市場では米金利低下の動きとともに円買い戻しの動きを継続しました。140.16レベルの安値を見て米金利は欧州市場前場に下げ止まり、NY市場前場に若干の買い戻しを挟んだものの上値は重く140円前半での引けとなりました。

7月12日(水)
ドル円は円買いの動きが止まらず東京市場では株安の動きを見て円買いが先行、NY市場までじりじりと円高方向に動いていました。注目の米国CPIは予想よりも弱い3.0%と1年ぶりの低水準となったことから米金利が低下、ドル円は一時138.15レベルまで円高が進行し、そのままドル安値圏での引けとなりました。

7月13日(木)
ドル円は多少の上下はあったものの138円台半ばを中心として上下ともに攻めにくそうな展開がNY市場まで続きました。NY市場に入り失業保険申請数が予想よりも少なかったいっぽうでPPIは予想よりも低く、PPIに反応した米金利低下によりドル売り再開となりました。後場には137.92レベルの安値をつけ安値圏で引けました。

7月14日(金)
東京市場のドル円は日経平均株価が寄り付きから大幅安となった動きとともにリスクオフの円買いが先行、一時137.24レベルの安値をつけました。直後に株価が反転するとドル円も上昇、東京3連休前のドル円、クロス円のポジション調整も入り、NY前場には139.15レベルまで買い戻され、138円台後半で底堅い地合いで引けました。

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