ユーロドルは短期的高値に近い水準
〇先週のユーロドル、米金利低下によるドル売りの動きがユーロドルでも見られ、1.11台を上抜ける
〇5月安値を起点とした上昇N波動100%エクスパンションとなる1.1210も達成、週末1.1245まで高値更新
〇今週は7/17ラガルドECB総裁とエコノミストのレーンECB理事の講演に注目
〇米金利や日銀会合への思惑によるドル円の動きがユーロドルにも影響するため、ドル円の動きに注意
〇今週は1.1100レベルをサポートに、1.1300レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、ドル円が5円76銭もの大幅な円高を演じた動きに比べると301pipsのユーロ高と動きは小さかったのですが、それでもユーロドルの週間レンジが300pipsを超えたのは昨年11月7日週以来のことです。昨年秋以降はマーケットの主役がドル円となり、円の動きがクロス円にも影響する動きが続いていることからユーロドルの動きは比較的おとなしい展開が続いています。
先週は米国のCPI、PPIを中心に米金利の先高観を抑える経済指標が続いてことで米金利低下によるドル売りの動きがユーロドルでも見られ、なかなか超えられなかった1.11台を上抜けたことでテクニカルなユーロ買いも入ったとみられます。
今週はラガルドECB総裁とエコノミストのレーンECB理事の講演以外はそれほど大きな指標や発言はありませんので、ECB理事会を含む来週の金融政策ウィークまでは、基本的には大きな動きは出にくいはずですが、米金利や日銀会合への思惑でドル円に動きが出てくる場合には、そのドルの動きがユーロドルにも影響するでしょうから、ドル円の動きは今週も注意です。ただ、ドル円週報にも書いた通りで、短期的にはそろそろ目先の安値をつける(つけた?)動きになってくると見られます。
7月の会合ではFOMCもECB理事会も0.25%ずつの利上げがコンセンサスですし、7月についてはここから見通しに変化があるとは思えませんので、今週のユーロドルはテクニカルな観点からのみ考えることとします。
日足チャートをご覧ください。
ピンクのラインで示した三角もちあいを上抜け、4月の年初来高値を上抜けと、次々とテクニカルなポイントを上抜けてきましたが、5月安値を起点とした上昇N波動(ピンクのN)を考えた場合、フィボナッチ・エクスパンションで100%エクスパンションとなる1.1210も達成しました。
次のターゲットは127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションの1.1312となりますが、おそらく今回の上昇波動では、この1.13水準がターゲット兼レジスタンスとなると見ています。いっぽうでサポートはこれまで抜け切れなかった1.11水準がサポートとなります。
今週は1.1100レベルをサポートに、1.1300レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はユーロ円のチャートを見てみます。
ドル円でのドル売りに続いて、ユーロドルでもドル売りの動きとなってきたことから、先週もユーロ円は平行上昇チャンネル(ピンク)のサポートラインで止められました。テクニカルなターゲットは158.91であることは変わりませんが、今後上昇トレンドに回帰するのか、上がり切らずに下降トレンドに転じるのか、金融政策ウィークに向けて重要な7月下旬相場となってきそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月17日(月)
17:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:30 レーンECB理事講演 ☆
21:15 エルダーソンECB理事講演
7月18日(火)
(特になし)
7月19日(水)
15:00 英国6月CPI ☆
18:00 ユーロ圏6月CPI
18:00 ユーロ圏5月建設支出
7月20日(木)
15:00 ドイツ6月PPI ☆
15:45 フランス7月企業景況感
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値 ☆
7月21日(金)
08:01 英国7月消費者信頼感
15:00 英国6月小売売上高
7月23日(日)
**:** スペイン総選挙
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート
先週の概況
7月10日(月)
ユーロドルもNY市場が始まるまでは1.09台半ばで上下する展開が続きましたが、NY市場に入ってからはドル売りの動きから1.10の大台を突破し1.1001レベルでの高値引けとなりました。
7月11日(火)
ユーロドルはドル円のドル売りとともにユーロ買いの動きが出ていましたが、ユーロ円の売りも出ていたことから1.0977レベルの安値をつけ、上値が重たい地合いのままで引けました。
7月12日(水)
ユーロドルはNY市場までは小動き、米国CPI後のドル売りの動きから大幅高となり高値1.1140レベルと年初来高値を更新、2022年3月以来の高値をつけ高値圏での引けとなりました。
7月13日(木)
ユーロドルは前日大幅高の流れを受けて東京市場からじり高の動きとなり、NY市場に入ってからのドル売りの動きから一段高となり1.1228レベルまで上昇し高値引けとなりました。
7月14日(金)
ユーロドルは1.12台前半の狭い値幅の中で高値ももみあいが続きました。欧州市場前場に1.1245レベルの高値をつけましたがが、1日のレンジは40pipsに留まり、ユーロドルよりもユーロ円が取引の中心となっていた週末相場でした。
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